連載 | #2 カイユウクリエイターズファイル

映像チーム・ONIONSKINインタビュー ──MVとアニメーションの可能性

Vampillia - endless summer
──ONIONSKINのMVを初めて見たのが「endless summer」だったので、ずっと手描きで続けているチームなのかと思っていたら、実に様々な手法で動画をつくられていて、良い意味で裏切られました。

田村 MVだけの話をすると──悪口とかじゃないんですけど──同じ手法や近いビジュアルのMVが年間いくつもあると、シーン全体に凝り固まったイメージが付いてしまう。そうなるとアーティストも観る人もつくる人も誰も得をしないでしょう。

先ほど小野さんも言っていましたけど、極端な話、僕らがつくったと認識されなくても良くて、単純にそのバンドのMVがかっこいいねって評価されるような環境があればいいんです。そういう点では、自分たちの表面的なブランディングに関しては、なるべく省いています。結果として、絶対譲れないみたいな部分は自然と残っていくものだから。

BiSだから何でもできた

──今回の「mirror mirror」では、Vampilliaの楽曲にボーカルとしてBiSが参加されたことでも話題になりました。ファンの間では、アニメになったBiSメンバーが本人たちに似ていると評判です。MVとしては特にどのあたりに気を配られましたか。

田村 「mirror mirror」の制作では、僕はあまりタッチしていなくて、小野さんにわざと丸投げしようと思っていました。前回が割と描いてもらうだけで、僕らがほぼディレクションをしていたので、小野さんの考えだけで、一人で本気を出したらどうなるのかを見たかった。

小野 最初はそのへんのバランスがよくわかっていなくて、絵柄にアドバイスをもらったりはしましたが、すごい悩んでいました。

BiSはアイドルなんですが、とにかく色んなことに挑戦するアイドルですよね。そんなBiSの持つハードコア感は表現しようと。裸になったりライブでめちゃくちゃやったりとか、アイドルの肩書きがあってそれができるのは、唯一BiSだけですよね。同時に、メンバーがそれを本意でやっているのか分からないという、本人たちのやるせなさも出したかった。

──お二人はVampilliaをどういうバンドと捉えていますか? MVでは花や森などの自然に関するモチーフが多く出てくるのが印象的でした。

田村 とにかくやる気が凄い。日本で一番やる気のあるバンドだと思いますよ。MVはつくったら世に出て評価されるものなので、僕らの中ではアップロードされたらそこで終わるんです。けれど、VampilliaのMVは感覚としてずっと自分の中に残るんですよね。単純にいい曲というのもあるんですが、つくっていて他にはない手応えを感じている。

小野 先に形を決めずに、勢いでつくっているというお話を聞いて、その時々でできることに全力を出し尽くす感じは、ONIONSKINにも通じるものがありますね。

花のモチーフはBiSさんたち、女性を描くということで使っています。「endless summer」は田村さんと菅谷さんに絵コンテで案を出してもらいました。森とか教会とか北欧的なイメージですよね。

田村 Vampilliaの音楽はノンジャンルであるといっていいと思うのですが、ブラックメタルがそのルーツになっていますよね。「endless summer」のMVの教会や森のモチーフは、ブラックメタルの定番モチーフなんです。あえて分かりやすく、関連性の高いもので接続しつつ、歌詞の内容とどう外していくかを考えてつくりました。教会も宗派によってデザインが違うんです。

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ONIONSKIN

東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻在学中の、田村聡和、菅谷愛、小野ハナによるアニメーションユニット。2011年春結成。クレイ、ロトスコープ、モーショングラフィックなど様々なアニメーション手法を用いながら、ミュージックビデオを中心に制作している。電子書籍『a nimation&motiongraphicsVIEW2012』のリリース等も行っている。

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