春の陽気がうららかな5月某日、村上隆さん率いるカイカイキキの三芳工場ツアーを行うということで、私も参加させていただきました。
そして、世界中の評論家やコレクターから評価され、何千万円や何億円もの値段がつく 村上隆 さんの作品が実際に生み出されているのが、埼玉県入間郡三芳町にある「三芳スタジオ」。
「スタジオ」とはいうものの、こぢんまりとした個人アトリエのような場所ではなく、なんと工場施設を3つをぶち抜きで使用している広さのため、カイカイキキの人たちも「工場」と呼んでいるそうです。
随所に村上隆さんのこだわりが見て取れる面白い仕組みが考えられていて、「絶対一度見た方がいい!」とピクシブの片桐孝憲さんから誘われたのでした(感謝!)。
はじめから結論を言っちゃうと、まじでハンパない場所でした。美術に詳しくない人でも一目で分かるハンパなさなので、写真を多用しながら順を追ってレポートしていきます。
東京都の代々木にあるピクシブ本社前から14:00に出発しました。ピクシブの方々はみんな仲が良く、歓談しながらまるで修学旅行のようなテンションでバスは進んでいきました。
周りを見渡すと倉庫というか工場というか……つまりそれら以外なにもなかったのですが、なんとこの工場がカイカイキキさんの三芳工場だとのこと。 当日はカイカイキキさんの社員にして、ギャラリー・pixiv ZingaroやHidari Zingaroを運営する店長の當麻さんに案内してもらいました。
まず工場に入るには、靴を脱ぎかえなくてはいけません。そこで用意されたのが、村上隆さんが様々な種類のものを何足も何足も履いて、ようやくしっくりきたということで取り入れられている便所サンダル。
作品制作をする際も、みんなこの便所サンダルを履いて作業するとのこと。たしかに、サイズは一つしかないのになぜかどの人の足にも馴染んでいるようでした。 貨物用エレベータで二階へいくと、そこは工場とは思えないほどの綺麗な空間が。なによりも、広い。絵の具を用いて実際に作画を行うスペースと、PCが置かれたオフィスのような区画は扉こそないものの、区分されていて、それぞれがそれぞれの仕事に集中できるような工夫が凝らされていました。
制作フローはここでは割愛させていただきますが、ここまでつくるのに3年もの時間がかかっているとのこと。作品制作の途中経過は期間ごとにすべてアーカイブされ、どこがどんな意図で修正されているのか、どんな進み具合なのかを後から参照することができるようになっています。
その業績は輝かしく、米Time誌の"The World's Most Influential People - The 2008 TIME 100"(世界で最も影響力のある100人-2008年度版)に選ばれたり、サザビーズがニューヨークで行ったオークションにてフィギュア作品『My Lonesome CowBoy』が約16億円で落札されたり、世界遺産であるフランス・ベルサイユ宮殿で作品展『MURAKAMI VERSAILLES』を開催して国内外で波紋を呼ぶなど、常人の感覚では理解の範疇を越え、人生を30回やり直しても到達不可能なレベルでの偉業を成し遂げている作家です。
よほど凄い豪邸に住んでおられるのだろうな、と思っていたのですが(人の住んでる家を気にするのは貧乏人の悪い性ですね)、なんと家がないとのこと。
カイカイキキのスタッフさんが言うには「この工場にいることが一番多いですね」とのこと。え、家ないの? と疑問に思う間もなく、続けざまに「ここが村上のベッドなんですよ」と、村上隆さんの寝床を見せていただきました。
その一環として、この三芳工場では「三芳ファーム」と呼ばれる生き物を飼育・繁殖させる施設があります。ほぼすべてのスタッフが作品制作やグッズ制作、もしくは版権管理といった業務に従事していると思いきや、三芳ファームの管理を行っているスタッフさんもいました。
素人目には現代美術の事業とはあまり関係がなさそうに見えますが、その力の入れようは本気でした。
まず目を惹いたのが、新種サボテンゾーン。種類の違うサボテン同士の切り口と切り口をくっつけておくと、自然と組織が結合し、こういった畸形サボテンができ上がるそうです。合体させたサボテンの他にも、大なり小なり、見たこともないようなサボテンがビニールハウスの中でたくさん栽培されていました。 工場の一画にはオオクワガタとメダカを飼育している小屋もありました。
これがまたおびただしい数のオオクワガタで、年々繁殖に成功し、増え続けているそうで、管理はとても大変だそうです。
ワインクーラーの中には幼虫までいました。並のペットショップではとても太刀打ちできなさそうです。
とにかくシステマティックに、あらゆることが意味を持ち、何度も検証と実践を繰り返した設計のもと、みなさんは作品制作に当たっておられるのだなと感じました。多くの人間が携わり、寝食を共にしながら共同作業することが前提の中で、世界で評価される作品を連続してつくり続けることは並大抵の努力ではできないということでしょう。
なお、最後になりますが、三芳工場は外部の人には開放されていません。
今回、工場内部まで見学として入れたのは、大変貴重な機会でした。カイカイキキ、ピクシブの皆さんありがとうございました〜!
村上隆という美術家の本拠地
カイカイキキといえば麻布や中野ブロードウェイ、果てはベルリンにまでギャラリーを所有するアート・プロダクションとして知られています。そして、世界中の評論家やコレクターから評価され、何千万円や何億円もの値段がつく 村上隆 さんの作品が実際に生み出されているのが、埼玉県入間郡三芳町にある「三芳スタジオ」。
「スタジオ」とはいうものの、こぢんまりとした個人アトリエのような場所ではなく、なんと工場施設を3つをぶち抜きで使用している広さのため、カイカイキキの人たちも「工場」と呼んでいるそうです。
随所に村上隆さんのこだわりが見て取れる面白い仕組みが考えられていて、「絶対一度見た方がいい!」とピクシブの片桐孝憲さんから誘われたのでした(感謝!)。
はじめから結論を言っちゃうと、まじでハンパない場所でした。美術に詳しくない人でも一目で分かるハンパなさなので、写真を多用しながら順を追ってレポートしていきます。
ピクシブオフィス前からツアーバスで出発!
冒頭にも書いた通り、今回のツアーはピクシブさんとカイカイキキさんが共同で主催されたそうです。主にピクシブさんの社員さんやその友人・知人らが参加メンバーだったのですが、総勢すると44名。ツアーバスを1台丸々借りれる人数になりました。東京都の代々木にあるピクシブ本社前から14:00に出発しました。ピクシブの方々はみんな仲が良く、歓談しながらまるで修学旅行のようなテンションでバスは進んでいきました。
カイカイキキ三芳工場に到着! 作品制作の現場
道中、渋滞に巻き込まれながらも、高速に一回乗って、東京から1時間程度で目的地につきました。周りを見渡すと倉庫というか工場というか……つまりそれら以外なにもなかったのですが、なんとこの工場がカイカイキキさんの三芳工場だとのこと。 当日はカイカイキキさんの社員にして、ギャラリー・pixiv ZingaroやHidari Zingaroを運営する店長の當麻さんに案内してもらいました。
ここから世界に作品が届ける! 三芳カイカイキキの人たちの生活
カイカイキキのアトリエ、通称・三芳工場は多くのスタッフが24時間体制で作品の制作にあたっています。宿舎や仮眠室もあり、代わる代わる村上隆さんの指示のもと60名ものスタッフが常に制作に取り組んでいます。まず工場に入るには、靴を脱ぎかえなくてはいけません。そこで用意されたのが、村上隆さんが様々な種類のものを何足も何足も履いて、ようやくしっくりきたということで取り入れられている便所サンダル。
作品制作をする際も、みんなこの便所サンダルを履いて作業するとのこと。たしかに、サイズは一つしかないのになぜかどの人の足にも馴染んでいるようでした。 貨物用エレベータで二階へいくと、そこは工場とは思えないほどの綺麗な空間が。なによりも、広い。絵の具を用いて実際に作画を行うスペースと、PCが置かれたオフィスのような区画は扉こそないものの、区分されていて、それぞれがそれぞれの仕事に集中できるような工夫が凝らされていました。
システマティックな村上作品の制作環境
お話を聞いていると分業が徹底されているようでした。一つの思想のもと、得意な持ち場で各々が全力を出して一つの作品に取り組む、組織の効率化を追求した結果が見て取れます。 工場には多くの箇所に白いボードが配置され、今誰がなんの作業をしているか・やらなければならないのかが一目で分かるようになっています。 制作途中ではありますが、村上隆さんお得意の髑髏をモチーフとしたペインティング作品が置かれていました。3m×3mの巨大な作品です。制作フローはここでは割愛させていただきますが、ここまでつくるのに3年もの時間がかかっているとのこと。作品制作の途中経過は期間ごとにすべてアーカイブされ、どこがどんな意図で修正されているのか、どんな進み具合なのかを後から参照することができるようになっています。
本邦初公開! 村上隆の寝床
もはやいまさら説明する必要は皆無だとは思いますが、村上隆さんといえば現代美術というアートの分野において、世界的にも有数のアーティストとして知られています。その業績は輝かしく、米Time誌の"The World's Most Influential People - The 2008 TIME 100"(世界で最も影響力のある100人-2008年度版)に選ばれたり、サザビーズがニューヨークで行ったオークションにてフィギュア作品『My Lonesome CowBoy』が約16億円で落札されたり、世界遺産であるフランス・ベルサイユ宮殿で作品展『MURAKAMI VERSAILLES』を開催して国内外で波紋を呼ぶなど、常人の感覚では理解の範疇を越え、人生を30回やり直しても到達不可能なレベルでの偉業を成し遂げている作家です。
よほど凄い豪邸に住んでおられるのだろうな、と思っていたのですが(人の住んでる家を気にするのは貧乏人の悪い性ですね)、なんと家がないとのこと。
カイカイキキのスタッフさんが言うには「この工場にいることが一番多いですね」とのこと。え、家ないの? と疑問に思う間もなく、続けざまに「ここが村上のベッドなんですよ」と、村上隆さんの寝床を見せていただきました。
驚愕の張り紙を発見
村上隆さんはあまりのハードワークゆえに、時に体調を壊されることもあるそうなのですが、この張り紙には驚愕しました。文字通り命を削りながら作品制作に取り組まれているということでしょう。ちなみにPOMさんというのは、村上さんが飼われている犬の名前です。オオクワガタやメダカを飼育 三芳ファーム
村上隆さんの事業構想として「公園」をつくる、という目標があるそうです。それもかなり大規模なものを考えられているそうなのですが、実はその下準備はすでにはじめられているそう。その一環として、この三芳工場では「三芳ファーム」と呼ばれる生き物を飼育・繁殖させる施設があります。ほぼすべてのスタッフが作品制作やグッズ制作、もしくは版権管理といった業務に従事していると思いきや、三芳ファームの管理を行っているスタッフさんもいました。
素人目には現代美術の事業とはあまり関係がなさそうに見えますが、その力の入れようは本気でした。
まず目を惹いたのが、新種サボテンゾーン。種類の違うサボテン同士の切り口と切り口をくっつけておくと、自然と組織が結合し、こういった畸形サボテンができ上がるそうです。合体させたサボテンの他にも、大なり小なり、見たこともないようなサボテンがビニールハウスの中でたくさん栽培されていました。 工場の一画にはオオクワガタとメダカを飼育している小屋もありました。
これがまたおびただしい数のオオクワガタで、年々繁殖に成功し、増え続けているそうで、管理はとても大変だそうです。
ワインクーラーの中には幼虫までいました。並のペットショップではとても太刀打ちできなさそうです。
村上隆 カイカイキキ三芳スタジオツアーまとめ
他にもたくさんの場所を案内されたのですが、何よりも凄いのはその施設の広さや綺麗さではなく、会社組織としての純度の高さでした。とにかくシステマティックに、あらゆることが意味を持ち、何度も検証と実践を繰り返した設計のもと、みなさんは作品制作に当たっておられるのだなと感じました。多くの人間が携わり、寝食を共にしながら共同作業することが前提の中で、世界で評価される作品を連続してつくり続けることは並大抵の努力ではできないということでしょう。
なお、最後になりますが、三芳工場は外部の人には開放されていません。
今回、工場内部まで見学として入れたのは、大変貴重な機会でした。カイカイキキ、ピクシブの皆さんありがとうございました〜!
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2件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:3457)
面白い!!!
匿名ハッコウくん(ID:1789)
すげーーーーーっ!!