「音楽版YouTube」と評され、プロ/アマ問わず数多くの音楽を世に送り届けてきた配信サービス「SoundCloud」。
創業から10年を迎え、世界190カ国以上で利用されている人気サービスだが、ここ数年は経営難が伝えられており、アメリカ時間で2017年7月11日には173名を解雇したことを公式発表。これは、全社員の40%にあたると報道されている(外部リンク)。そのあまりにも深刻な状況は、いよいよサービス終了の危機ではないかという憶測を呼んでいる。
アーティストによる楽曲発表はもちろん、コアな音楽ファンにとっても屈指のdig場として機能しているだけに、ネット上では惜しむ声が続出。
メジャーレーベルの影響がなお強い日本の現状からは想像がつきにくいかもしれないが、海外アーティストはメジャーであっても無料で楽曲を公開することも多く、SoundCloudはその最前線を担ってきた。なお、代替サービスとしてはMyspaceやBandcampも挙げられるが、いずれも日本ではそこまで浸透していない。
数多くのメジャーアーティストも参加しているためか、Sony、Universal、WarnerといったメジャーレーベルもSoundCloudの株式を保有するほど。もはや音楽シーンにおいて無くてはならない存在となっている。
長く無料のサービスとして運営されてきたが、2016年には初の定額制サービス「SoundCloud Go」をリリース。収益化を試みたが、それでも続く経営難や大手企業による株取得を理由に、これまでにも「SoundCloudが買収される」という噂は度々話題に上がってきた。
例えば、2016年には音楽ストリーミングサービスの最大手「Spotify」、2017年には「Google」が買収に動いているという噂も広まったが、いずれも実現には至らないまま。
そして、今回のSoundCloudによる経営報告。もはや終了まで一刻の猶予も無いような状況だった。そのあまりに深刻な危機に際し、一部メディアはSoundCloudに残された時間は50日とも報じた(外部リンク)。Chance The Rapper ft. Saba - Angels
チャンス・ザ・ラッパーさんといえば、SoundCloudをはじめとするストリーミングサービスですべてのアルバムを無料でリリースし、「音楽を販売しないラッパー」として知られる人物。
海外では大きなフェスのヘッドライナーとして引っ張りだこ、世界の音楽シーンを語る上で今最も重要な人物の一人だと言える。
中でもストリーミング限定作品としては史上初めて全米チャートにランクインしたアルバム『Coloring Book』が高く評価され、購入できない作品は候補にも入らなかった「グラミー賞」も同時期にそれまでの規定を改め、2017年の「第59回グラミー賞」で最優秀新人賞を含む3冠獲得に至った。
音楽ビジネス、その権威を大きく揺るがせただけでなく、彼は流通や金銭に関する感覚も独特だ。
シカゴの公立学校の予算不足についてのイリノイ州知事との会談では、自身の出身地であるシカゴの学校制度の課題があがった。それを受け、個人資産から100万ドル(約1.15億円)の寄付を行った上、寄付プロジェクトを立ち上げ、220万ドル(約2億4500万円)の寄付金を集め上げた実績もある。
音楽的な人気だけでなく、コネクションやプロモーション戦略に長けたチャンス・ザ・ラッパーさんがもしSoundCloud復活へ向けて本格的な動きを見せるのであれば、今度こそ危機を脱することも可能かもしれない。
なお、音楽ストリーミングのTidalは2015年にJAY-Zさんが買収。その後全面的なリニューアルをしたのち、著名アーティストの独占先行配信に大きく貢献した。また、立場は逆となるが、Dr.Dreさんによるヘッドホンブランド/音楽配信サービスのBeatsはappleに買収されている。
ラッパーとストリーミングサービスがビジネスと密接に絡み合う現状、チャンス・ザ・ラッパーさんの発言の意味は大きいだろう。
創業から10年を迎え、世界190カ国以上で利用されている人気サービスだが、ここ数年は経営難が伝えられており、アメリカ時間で2017年7月11日には173名を解雇したことを公式発表。これは、全社員の40%にあたると報道されている(外部リンク)。そのあまりにも深刻な状況は、いよいよサービス終了の危機ではないかという憶測を呼んでいる。
アーティストによる楽曲発表はもちろん、コアな音楽ファンにとっても屈指のdig場として機能しているだけに、ネット上では惜しむ声が続出。
そんな中、今やアメリカのキーマンの一人であるChance the Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)さんが、SoundCloudについてなんらかのアクションを行っている旨をツイート。SoundCloud再建に向けて奮闘していると推測され、大きな反響を呼んでいる。I'm working on the SoundCloud thing
— Lil Chano From 79th (@chancetherapper) 2017年7月13日
瀬戸際の状況が続くSoundCloud
スウェーデン出身のアレクサンダー・リュングさんが2007年に公開したSoundCloud。メジャーレーベルの影響がなお強い日本の現状からは想像がつきにくいかもしれないが、海外アーティストはメジャーであっても無料で楽曲を公開することも多く、SoundCloudはその最前線を担ってきた。なお、代替サービスとしてはMyspaceやBandcampも挙げられるが、いずれも日本ではそこまで浸透していない。
数多くのメジャーアーティストも参加しているためか、Sony、Universal、WarnerといったメジャーレーベルもSoundCloudの株式を保有するほど。もはや音楽シーンにおいて無くてはならない存在となっている。
長く無料のサービスとして運営されてきたが、2016年には初の定額制サービス「SoundCloud Go」をリリース。収益化を試みたが、それでも続く経営難や大手企業による株取得を理由に、これまでにも「SoundCloudが買収される」という噂は度々話題に上がってきた。
例えば、2016年には音楽ストリーミングサービスの最大手「Spotify」、2017年には「Google」が買収に動いているという噂も広まったが、いずれも実現には至らないまま。
そして、今回のSoundCloudによる経営報告。もはや終了まで一刻の猶予も無いような状況だった。そのあまりに深刻な危機に際し、一部メディアはSoundCloudに残された時間は50日とも報じた(外部リンク)。
音楽界の権威を揺るがしたチャンス・ザ・ラッパー
そんなSoundCloudに対して、声を上げたのがチャンス・ザ・ラッパーさんだ。海外では大きなフェスのヘッドライナーとして引っ張りだこ、世界の音楽シーンを語る上で今最も重要な人物の一人だと言える。
中でもストリーミング限定作品としては史上初めて全米チャートにランクインしたアルバム『Coloring Book』が高く評価され、購入できない作品は候補にも入らなかった「グラミー賞」も同時期にそれまでの規定を改め、2017年の「第59回グラミー賞」で最優秀新人賞を含む3冠獲得に至った。
音楽ビジネス、その権威を大きく揺るがせただけでなく、彼は流通や金銭に関する感覚も独特だ。
自身のサイト「ChanceRaps.com」でのグッズ収益をメインにしていることをインタビューでも明かしているほか、転売されているライブのチケットを自身で買い取って定価で再販売を行ったり、チャンスさんがレコードショップで購入したCDやレコードをシカゴの街中で配り歩くなど、モノの価値を問い直させるような行動への注目も大きい。Watch @chancetherapper visit Chicago's Reckless Records, buy some tunes and give them away. ?https://t.co/ccknlrz9wD
— billboard (@billboard) 2016年8月11日
政治的人脈や支援活動も
オバマさんが大統領として参加した最後の公式晩餐会へも出席するなど、政治的な人脈もある。それはシカゴの上院議員だった父のケン・ベネットによる人脈も大きいだろう。シカゴの公立学校の予算不足についてのイリノイ州知事との会談では、自身の出身地であるシカゴの学校制度の課題があがった。それを受け、個人資産から100万ドル(約1.15億円)の寄付を行った上、寄付プロジェクトを立ち上げ、220万ドル(約2億4500万円)の寄付金を集め上げた実績もある。
音楽的な人気だけでなく、コネクションやプロモーション戦略に長けたチャンス・ザ・ラッパーさんがもしSoundCloud復活へ向けて本格的な動きを見せるのであれば、今度こそ危機を脱することも可能かもしれない。
なお、音楽ストリーミングのTidalは2015年にJAY-Zさんが買収。その後全面的なリニューアルをしたのち、著名アーティストの独占先行配信に大きく貢献した。また、立場は逆となるが、Dr.Dreさんによるヘッドホンブランド/音楽配信サービスのBeatsはappleに買収されている。
ラッパーとストリーミングサービスがビジネスと密接に絡み合う現状、チャンス・ザ・ラッパーさんの発言の意味は大きいだろう。
海外アーティストの動向が気になる
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