あらゆるメディアで膨大な情報が発信される中、もっとも視覚的・感情的に強く訴えかけるダンスの力が、今、広告業界で改めて注目されている。
昨年で言えば、50人からなるダンサーと映像・テクノロジーによる壮大なパフォーマンスを東京から世界に発信した『リオデジャネイロオリンピック』閉会式セレモニーや、社会現象となったドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の人気に一役買った“恋ダンス”動画の一大ブームの影響もあるはずだ。
そして、また一つ、クリエイティブとテクノロジーが硬く握手を交わして誕生したダンス動画プロジェクトが新たに話題に。映像に隠された何重もの仕掛け、その起爆剤はPerfumeだった。
Perfumeとパナソニックがコラボしたダンスムービー
日本のダンスムービーの歴史に新たに刻まれたのは、PerfumeとパナソニックがコラボしたMVのショートver.「『Everyday』-AWA DANCE edit-」。振付は、前述のリオオリンピックセレモニーや恋ダンスも手がけたMIKIKO先生が、映像は、同じくリオオリンピックセレモニーの演出を手がけた真鍋大度さんらが率いるライゾマティクスリサーチが、そして作詞・作曲は中田ヤスタカさんが手がけている。
モーターで作動する泡やオブジェ内部に仕込んだLEDの発光パターンを細やかに調整した、ライゾマティクスリサーチによる幻想的な世界観を実現させる演出。そして、「全体的に浮遊感のある、ぷかぷかして見える振付を目指しました」とMIKIKO先生が語る特徴的な振付がかみ合い、まさに泡を表現したダンス映像に。
パナソニックとコラボした“広告”であり、なおかつPerfumeらしい作品として完全に仕上がっている。
動画を見たファンからは、楽曲やダンス、演出すべてにおいてむしろ「これまでのPerfumeの中でも相当尖ってる」「ライブの演出が楽しみ!」と、大きな反響を呼んでいる。
しかし、このコラボキャンペーンはそれだけでは終わらなかった。続くコラボ企画第2弾として、なんとそのPerfumeのダンスを、プロスポーツ選手、そしてパナソニック社員が“完コピ”した映像が公開された。
どうやって? ダンスの素人がPerfumeを完コピした驚きの映像
「『Everyday』-AWA DANCE edit-」のMV公開時、のっちさんはインタビューで「私たち自身、踊っていてすごく楽しいから、見ているよりも、実際に踊って、体を動かした方が楽しい気がします」と語っていた。その言葉通り、Jリーグ・ガンバ大阪の遠藤保仁選手、東口順昭選手、倉田秋選手、ジャパンラグビートップリーグ・パナソニックワイルドナイツの山田章仁選手、そしてパナソニック洗濯機の担当社員という「Team Panasonic」が、AWA DANCEに挑戦。なんと、“寸分違わぬ”完コピを披露した。
実は、ここには大きな仕掛けが。彼らのダンスは、すべてCGで制作されているのだ。
ダンスの振付にも隠された秘密が
当初、あ〜ちゃんは泡ダンスについて「ちょっとコンテンポラリーっぽいというか。不思議なところもありながら、少し懐かしい感じのダンスも入っていたりして。サビは軽快だよね」と語っていた。しかし、実は振付の方にも、当初Perfumeも知らなかった秘密があった。
Perfumeの3人は、「まさかこれに意味があったとは」と一様にビックリした様子。
「Perfumeは普通に踊っているけど、実はその裏には洗い方や機能の動きが隠されている振付をしてほしい」という特殊なオーダーを受けたMIKIKO先生。しかし、一つ一つの動きに名前をつけることで、違和感なくダンスに取り込めたという。
メインの振付は、「泡洗浄」「たたき洗い」「もみ洗い」「押し洗い」「においスッキリ」の5種類だ。全体的につかめそうでつかめない「泡」を表現したダンスにしつつ、サビの部分に、「泡洗浄」とか「たたき洗い」という洗濯機の機能や洗い方をモチーフにした振付を取り入れました。一つ一つの動きにきちんと名前を付けながらできたので、始めたら意外とやりやすかったですね。Panasonic×Perfume「Everyday」インタビューよりMIKIKO先生
泡洗浄
たたき洗い
もみ洗い
押し洗い
においスッキリ
「Team Panasonic」によるダンスムービーにはその名前も表示されているため、よりわかりやすいだろう。
実はその後、洗濯物を干す時の動きとして、「しわを伸ばす」「物干し竿にかける」「風になびく」という振付も追加で入れていて、最後に決めポーズという構成になっています。叩き洗いのシーンの裏の音が、「タン・タタン・タン」と太鼓を叩いているような感じだったので、そこのリズムを解読するのが意外と難しかったんですけど、振付がしっかりハマると、自分でその音を叩いているみたいで気持ちいいんですよね。同上
種明かしを聞くと、振付の一つ一つの意味がわかってくる
今回の「Everyday」のAWA DANCEについて、「洗濯機の独自機能と洗い方の動きを組み合わせて覚えることができるので、踊っていてすごく楽しいと思います」とMIKIKO先生も太鼓判を押している。
ファンは3Dデータでモーションキャプチャ、というわけにはいかないので、是非「Team Panasonic」のダンスムービーで「泡洗浄」と洗い方の動きをセットで覚えて、楽しみながらダンスに挑戦してみてほしい。
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