Interview

  • 2023.11.20

Y2Kリバイバルの正体──cyber milk ちゃん × nyamura × 嚩ᴴᴬᴷᵁ「GALFY4」座談会

Y2Kがなぜユースカルチャーを席巻しているのか──ここには、そのヒントが散りばめられている。

GALFYxドン・キホーテで生まれたハイパーミュージックシーンの旗手たちによる楽曲「GALFY4」座談会を通して、文筆家・つやちゃんが紐解く。

KAMIYAcyber milk ちゃんnyamura嚩ᴴᴬᴷᵁMANONという、昨今のSoundCloud~ハイパー・ミュージックシーンを沸かせている女性5人でのマイクリレー曲「GALFY4」。

今作はファッションブランド「GALFY」と、ディスカウントストアのドン・キホーテとのコラボ曲の第4弾となる。本コラボシリーズはこれまでラッパーのPizzaLoveとアートディレクターのSEMが制作に携わってきたが、PizzaLoveがラッパーとして引退を発表。新たにSEMのみがトータル・プロデュースを手掛けた。

「GALFY4」MVの最後では、KAMIYAが映ると同時に本シリーズに別れを告げるかのごとくPizzaLoveもちらりと姿を見せており、時代の移り変わりを示唆する瞬間が捉えられている。

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「GALFY4」MVより

次の「GALFY」を飾る人物としてバトンを渡された5人の女性は、過去のシリーズと比べどこかサイバーな出で立ちだ。それは、今回キラキラしたユーロビート・サウンドを提供したMasayoshi Iimoriの影響もありつつ、彼女たちがこれまでそれぞれの作品で表現してきた独自のカラーでもある。

ギャルにルーツを持つ派手さ・強さ、Y2Kを取り入れたけばけばしさ、さらにはGALFYコーデを身につけることでのヤンキーっぽさ──それらをフューチャリスティックでサイバーな世界観としてまとめ上げるのは、この5人の個性に他ならない。

果たして、彼女たちが考えるギャル/Y2K/ヤンキー/GALFY、そしてハイパーとはどういったもので、そこにはどのようなカルチャー・価値観が根づいているのだろうか。今回の曲「GALFY4」を足掛かりに、cyber milk ちゃん、nyamura、嚩ᴴᴬᴷᵁの3人に座談会という形で語ってもらった。

3人とも、ヤンキーやギャルという概念について尋ねてみたところ「自分はヤンキーでもないしギャルでもない」と口を揃えて言っている。けれども、ヤンキーについてもギャルについても思い入れがあり、共感もあるとのこと。一体それは、どういう心境なのだろう。

目次

  1. cyber milk ちゃん × nyamura × 嚩ᴴᴬᴷᵁ GALFYのイメージ
  2. 「みんな同じ人間だし、切ったら血出るし」
  3. ギャルは多神教? 無数にある信仰
  4. 頭がおかしくなりそうな時は「僕はギャル!」と言い聞かす
  5. 「GALFY4」で表現された、5角形
  6. Y2Kリバイバルの正体──ヤンキーとギャルの交差点

cyber milk ちゃん × nyamura × 嚩ᴴᴬᴷᵁ GALFYのイメージ

──3人はこれまで同じイベントなどにも出ていますけど、今回の曲をやる前から面識はあったんですか?

nyamura あります。

cyber milk ちゃん この3人はあります。私は、「GALFY4」に参加してるKAMIYAさんとmanonさんは初対面でした。

nyamura 私もそう。

嚩ᴴᴬᴷᵁ KAMIYAさんだけはじめましてだった。レコーディングでは自分とmilkちゃんが一緒で、nyamuraちゃんとmanonちゃんとKAMIYAさんが一緒。

cyber milk ちゃん MV撮影で、初めて全員顔を合わせたね。

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──MVでは皆さんがGALFYを着ていて新鮮でした。そもそも、GALFYって皆さんどんなイメージでしたか? プライベートで着たことはありました?

nyamura 犬のイメージ。あと、色んな会社とコラボしてる印象もありました。たぶん実際に着たことはないと思う。

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cyber milk ちゃん 私は元々テレビで「ヤンキーが一番ほしい服」っていうのでGALFYが紹介されてるのを見て知ったのが最初。めっちゃ可愛い~と思って、たまに買って着たりもしてました。

──そうなんですね。ライブでお見かけするcyber milk ちゃんさんの衣装とはテイストが違うので、意外です。

cyber milk ちゃん 私、Dogっていうアパレルのお店が好きで、そこにGALFYが売ってたんですよ。ロゴも可愛いし、私は自分のアイデンティティや個性を表現するような服が好きなので、「ヤンキーの憧れの服」というイメージがあって好きだったな。

嚩ᴴᴬᴷᵁ わたしは、高1の時くらいにテカテカ素材のジャージを探してて、それに似たブルゾンがGALFYにあって買ったのが最初。反抗期だったのかな? 強くなりたかったんです。でも犬だからちょっと可愛い、みたいな。

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nyamura 今回MV撮影で実際に着てみて、生地がめっちゃ良かったんですよ。自分が着たのが和彫りみたいなデザインで刺繍もすごくしっかりしてて。あとあと値段見たらセットアップで2万7千円とかして、そりゃしっかりしてるわって。色違いで水色もあってそっちがほしくなった(笑)。

「みんな同じ人間だし、切ったら血出るし」

──GALFYはヤンキーのイメージがあるという話が出ましたけど、皆さんはヤンキーではない……ですよね?

nyamura 自分はヤンキーっぽさは全然ないかも。ヤンキーは恐い。なんかドンキ行ったりしたら溜まってて、すごい見られたりするし……でも意外と仲良くはできる。優しいし、何も考えずにしゃべることができるというか。

──そもそも「ヤンキーっぽさ」とは何なのか?という話もありますが。悪い感じ……?

nyamura 悪くはないかな……? 単純に、文化の違いだと思う。

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──ヤンキーは、どちらかというとヒップホップのコミュニティに多い感じがしますよね。

nyamura ゴリゴリのラッパーみたいな人は、本人がそうじゃなくても地元の友達にヤンキーが多いですよね。

──nyamuraさんは兵庫県神戸市の出身ですよね。ヤンキーはいますか?

nyamura いや、マジでいない(笑)。兵庫だとやっぱり尼崎の方に行くといるんじゃないかな。

cyber milk ちゃん 私はヤンキーとあまり関わりはないんですけど、あの人たちの破天荒さとか社会への反骨精神は自分にもあるので、そういった精神的な共通点はある気がする。

ヤンキーを見て、ああいう風にいたいなって思うし。あまり人と同じことをしたくないというか。あと、そういう精神性だけではなく、金髪で派手な外見みたいなところも可愛くて好きかも。

──ご自身の中にも、ヤンキーのような破天荒さや社会に対する反骨精神はあると思いますか?

cyber milk ちゃん どちらかというと、「ある」というよりも「そういたい」という感じ。

──なるほど。嚩ᴴᴬᴷᵁさんは?

嚩ᴴᴬᴷᵁ 自分もヤンキーではないかな。でもみんな同じ人間だし、切ったら血出るしな~。うーん……自分にはないものを持っているから惹かれるところもあるのかも。

普段はヤンキーとは全然絡みがないんですよ。ヤンキーいるかなと思って成人式に行ったらいなくてしょんぼりして帰ってきたし。でもやっぱりあの人たちは友達とか家族を大事にするから、素敵だなって思う。幼馴染にギャルの子がいて、その子もそんな感じ。

ギャルは多神教? 無数にある信仰

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──ややこしいワードとして、今度は「ギャル」も出てきましたね。ヤンキーとギャルは違いますか? 皆さんはご自身を「ギャル」だと思いますか?

nyamura 私はヤンキーでもないしギャルでもないと思う。ギャルの“ふり”はできるんですよ。外ヅラだけならギャルになれるんだけど、しゃべったらどうしても陰キャが出ちゃうから。

「ギャル」って種類がいっぱいあるじゃないですか。白ギャルに黒ギャルにたくさんいるけど、私は2000年代に流行った髪の毛めっちゃ盛っててリボンつけてる「姫ギャル」がめちゃくちゃ好きで。(ブランドでは)LIZ LISAとか大好き。ほんとに可愛い。そういう人たちのネイルが好きで、私も今回の撮影用にちょっと姫ギャルっぽいネイルをやったんです。

そういうのはやるんだけど、実際にギャルと話すと……持っていかれる。

──持っていかれる。

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