連載 | #1 ジョジョの奇妙な音楽

ジョジョの奇妙な音楽 vol.1 70年代ロックを知るとジョジョを3倍楽しめるッ!!

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ディープ・パープル/最凶の悪役たちとの宿命の対決

本題はここからです。

70年代当時、このレッド・ツェッペリンと人気を二分した(特に日本での人気が凄い)もう一つの代表的ハードロックバンドがいました。それが、ディープ・パープル。いつだってツェッペリンファンVSパープルファンで苛烈な対立を生み出すほどの存在でした。

(試しにツェッペリンやパープルのことが書かれている個人サイト群を覗いてみよう。「俺はツェッペリンファンじゃないけど」や「私はディープ・パープル側の人間ではないですが」といった注意書きをたっぷり満喫できるぞ!)

Deep Purple屈指の名盤「Made in Japan」から! ロックの王道を築いたのがツェッペリンなら、後のヘヴィーメタルのサウンドの原型を生み出したのは、ディープ・パープルとそのギタリスト、リッチー・ブラックモアだ!!

放映中の第4章に登場するキャラクター、墳上裕也のスタンド「ハイウェイスター」は、このディープ・パープルの名曲として有名ですが、実はもっと物語として深い、深い、根本的なところで、ジョジョとディープ・パープルは関わっています。

そう、DIO

ミスター絶対音感ことロニー・ジェイムズ・ディオは、ブラック・サバス(Black Sabbath)の2人目のボーカルであるとともに、ディープ・パープルを最も代表するギタリスト、リッチー・ブラックモアとのバンド・レインボー(Rainbow)のボーカルなのです。

「Danger, danger! the Queen's about to kill!」からはじまり「Kill the king! Tear him down!」でサビを迎える、剣と中世の世界観も含め、まさにヘビーメタルの重要なひな型をつくり上げたバンドだ!
ちなみにギターのリッチー・ブラックモアは、いたずらでホテルの他人の部屋にウンコするくらいにはロクデナシだ!! 作品のすばらしさと人格は、時に反比例するものなのだ!!!

そして、コアなジョジョファンなら知っているあのキャラクター、リッチー・・・ブラックモア!? そう、ブラックモア。第7部の序盤の最後における最大の強敵の名前じゃあないか! そして、あいつと戦ったのはジャイロ・ツェペリ…そう、あの戦いはレッド・ツェッペリンVSディープ・パープル、つまり70年代最強の2大ロックバンド同士の戦いだったのだ!(リアルタイム世代のコアファンらに怒鳴られないか、ちょっとコワいぞ!)

ブラックモアとの死闘は、第7部の物語の中でも一つの大きな区切りでした。そりゃあ漫画の展開もハイテンションになるというもの! 普通の漫画家なら「あくまでパロディーですよ」といってお茶を濁すところを、全くのド真面目にやってますからね、ジョジョという漫画は!!

よくよく考えてみるとですね、第1部ではウィル・A・ツェペリ(レッド・ツェッペリン)が道半ばでディオたちに殺されてしまうわけです。それが第7部には、今度はジャイロ・ツェペリ(レッド・ツェッペリン)がブラックモア(ディープ・パープル)に打ち勝つ。ロックファンとしてはこんなにファッキンホットな展開はないわけですよ(笑)。

さて、ここで唐突に、ディープ・パープル最大の名曲、「Burn」の聴き比べを始めましょう。利きワインならぬ利きBurn。(あ、ちなみに日本の老舗ロック誌「BURRN!」は、ディープ・パープルの「Burn」からきてますからね!)

ボーカルにデイヴィッド・カヴァデール、ギターにリッチー・ブラックモア! メンバーがコロコロ変わるディープ・パープルですが、この時代は間違いなく黄金期だ!

基本はこれ。『Made in Japan』に並ぶディープ・パープルの名盤『Live in London』から。率直に言って、この演奏は人類史的にヤバい。

うわっ、IMEが聖飢魔Ⅱ(せいきまつ)を一発変換したぞ! 嘘だろ!! それにしても閣下が実はこんなに歌がうまかっただなんて、ご存知でしたか?

(筆者の中では相撲解説者としても有名な)デーモン小暮のヘビメタバンドによるカバー! かなり頑張ってるぞ!
https://www.youtube.com/watch?v=9Q7Vr3yQYWQ

ボーカルのデイヴィッド・カヴァデール再登場!!! レインボーは「ブラックモアズ・レインボー」とも(正式に)呼ばれるが、ホワイトスネイク(Whitesnake)は「デイヴィッド・カヴァデールズ・ホワイトスネイク」と(たまに)呼ばれるくらいのフロントマンだ!!

そして登場、第6部のラスボス、プッチ神父のスタンド・ホワイトスネイク! これが、唐突に聞き比べを始めた理由だっ!

実は、元ネタとなったホワイトスネイクは、初期メンバーに、元ディープ・パープルのメンバーが3人もいたバンド。そして、ディオから意思を受け継いだ男のスタンドがほかでもないホワイトスネイクだなんて、なんという熱い展開なのか!

そしてこのプッチ神父は、物語の最後に自らのスタンドをステアウェイ・トゥ・ヘブン(単行本ではグラムロックバンド・クイーンの同名アルバムから「メイド・イン・ヘブン」に名称変更)に進化させるのです。
https://www.youtube.com/watch?v=9Q7Vr3yQYWQ

この、ジョジョのキャラクターのように、そしてギリシャ彫刻のように美しいロバート・プラント様(ボーカル)を拝めるライブ映像は、「The Song Remains the Same」からだ!

神父、ディープ・パープルがレッド・ツェッペリンにクラスチェンジかよ! うそやん! お前ら現実でも漫画でもに何世代も殴り合ってたやん!!(もしかして単行本でツェッペリンからクイーンにスタンド名が変更されたのは、そういった理由が関係しているのだろうか・・・深読みすぎか)

それにしてもこのステアウェイ・トゥ・ヘヴン、なんという美しい名曲か! プッチ神父といい、ジャイロ・ツェペリといい、聖職者にこそふさわしい、宗教的なにほひ(かほり)の漂う、70年代ロック最大最強の名曲の一つです。

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ジョジョの奇妙な音楽

みんな大好き『ジョジョの奇妙な冒険』。 アニメも大人気のジョジョシリーズは、キャラクターやスタンドの名前が音楽からとられていることも有名です。 ジョジョをさらに数倍楽しむことができるように、元ネタの音楽はもちろん、そのアーティストのキャラクター性や時代背景などを解説する連載です。

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