連載 | #2 ジョジョの奇妙な音楽

ジョジョの奇妙な音楽 vol.2 70年代の前衛音楽とロックから学ぶスタンド!

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ジョジョの奇妙な音楽 vol.2 70年代の前衛音楽とロックから学ぶスタンド!
ジョジョの奇妙な音楽 vol.2 70年代の前衛音楽とロックから学ぶスタンド!
現在第4部のアニメを絶賛放送中の『ジョジョの奇妙な冒険』。

昔から多くの漫画やアニメには、本人が大好きな音楽アーティストの名前や楽曲名をもじる文化がありますが、荒木飛呂彦は名称のみならず、キャラクターの性格や物語そのものにも音楽に関する要素を入り込ませています。

この連載は、様々な角度からジョジョの物語と音楽の関係性を深く掘り下げることで、これまでの何倍もジョジョを楽しもうという企画です。

第1回はレッド・ツェッペリンディープ・パープル、AC/DCという3つの70年代ド王道ロックバンドを切り口に、数百年&次元を超えて戦い続けているキャラクターたち(と、現実のファン…)の話をご紹介しました。

今回は、その流れと表裏一体である、「別軸の70年代ロック」をご紹介。結果として(どう考えてもたまたまですが)、第2部を除くすべての章のボスたちの音楽的背景が補完されることになります。

文:AnitaSun(同人音楽超まとめ) 編集:新見直

グラムロックの血統とジョジョのキャラクターたち

第1回でもご紹介した、キラキラのコスプレ的衣装につつまれたド派手な70年代ロックアーティストたち。

人気キャラクターの一人・イワンコフさんからはじまり、同じくジャンプ作品である『ONE PIECE』で見たことあるようなないようなキャラクターたちが勢ぞろい。正直グラムロックを説明するのに、この映画は便利すぎるぞ(笑)

このムーブメントは「グラムロック」と呼ばれ、「社会に適合できない糞ダメ人間ズ+ハードロック+キラキラのコスプレ衣装(+たまにゲイ)」という、ロックミュージック像の黄金律をつくり上げたムーブメントです(あ、いろんなひとに怒られそう)。

そしてこのアーティストが「キラキラのコスプレ衣装を着飾る」という様式(実は昔からほそぼそあったのですが…ピエロ扱いを受けながら)は、そのままプリンスやマイケルジャクソンら、80年代以降のポップスターたちに引き継がれていきます。

いくつか事例とともに見ていきましょう。まずはマーク・ボラン率いるT.REX。

この曲、あとでスタンドとともにもう一度紹介しますよ

第1回と同じように楽曲はハードロック……だが、なにやら腐女子受けのする人物だらけで音楽もちょっとセクシーっぽいぞ!?
腐女子アゲイン! ハードロックだけどセクシーだ! そして『北斗の拳』のシンにそっくりのボーカルがいるぞ!

動画のタイトル表記は間違っている。「Mama We're All Crazee Now」ではなく、正確には「Mama Weer All Crazee Now(まま、ぼくたちみんなラリってるよ~~~)」だ! たのしいなあ!

おおーっ、派手だ! しかも見事に社会不適合、こいつはアウト!!
ここまではイギリスのアーティスト。ならばアメリカはどうか!

グラム・ロック界のブ男(だけどかっこいい!)代表、アリス・クーパー。筆者はコイツが大好きだ! このおじさん、最近BABYMETALと一緒に嬉しそうに写真撮ってたぞ! めっちゃ子供が好きそうで優しそうだもんな!

おおおおーーーっ、やはり派手だ!! そしてしっかり社会不適合!! 『ロッキー・ホラー・ショウ』っぽいぞ(←前後関係が逆)!

この「キラキラど派手な衣装」、「社会不適合者ズ(腐女子たちによってときどきゲイとされる)」、「ちょっと昔のカントリーやブルースが入り気味な、セクシーなハードロック」の要素が詰まったこの音楽ジャンルが、グラムロック。

まさに我々が考える「ポップスター」像をつくりあげたムーブメントです。(えっ、グラムロックを紹介しながらも「D」から始まるアーティストを紹介していないじゃないかって? まあまあ、慌てない、慌てない。今回の最後に登場します!)

このポップスター像は、グラムロックのみならず様々な音楽ジャンルに影響を与えておりまして、たとえばミシェル・ポルナレフのようなフレンチポップや

トゥートゥープマシェリーマシェリー・・・で有名なアーティストで、裸のおねーちゃんらを連れてステージに登場し、ちんこに帽子をかぶせて歌うフランスのポップスターだ! ご存じ『ジョジョ』ポルナレフの元ネタにして、また『ONE PIECE』からドフラミンゴの元ネタでもあるぞ!

キッスなどのヘビーメタルにも

エルメェス姉さんのスタンド・キッス。「ヘビメタバンドが『最近流行りのナヨッとした音楽ことディスコ』をやったらこうなったぞ!」というパロディーソング。PVも非常にシュールで妙におかしい。これがまさか彼らの代表曲になってしまうなんて…。
ちなみにキッスの仮装は、正確にはアーサー・ブラウンというヘビメタアーティストの元祖のような人の系譜であって、グラムロックの系譜ではない。 が、グラムロックが流行っていなければこんな仮装ダメ人間どもがここまでメジャーな舞台に出てこなかったであろう。 ど派手な仮装をここまで普及させたのは、間違いなくグラムロックなのだ。

波及するわけです。

さて、ここで大事な、大事なアーティストがグラム・ロックシーンに登場します。クイーン!

Queen – Radio Gaga

レディー・ガガの元ネタになった曲であることは、もはや言うまでもあるまい! ちなみにこの電子音の打ち込みは、80年代屈指のニューウェイヴアーティストたるトレヴァー・ホーン(アート・オブ・ノイズ)がやっているぞ。「Mr.マリックのテーマ」をつくった人だ!

彼らは格好といい、音楽性といい、グラムロックに分類すべきか非常に迷うアーティストですが、ボーカルのフレディー・マーキュリーがゲイなので、腐女子人気もあって堂々のグラムロック最強アーティストの一角として君臨することになりました。

左が初期のフレディー・マーキュリー。右が後のフレディー・マーキュリー

そしてなによりこのクイーン、第4部のラスボスたる吉良吉影のスタンド「キラー・クイーン」(クイーンによる同名の名曲)であるとともに、第6部のラスボスたるプッチ牧師のスタンド「メイド・イン・ヘブン」(クイーンのベスト盤)の元ネタ。さらに同じく第6部に登場する、DIOの息子の一人であるウンガロのスタンド「ボヘミアン・ラプソディー」の元ネタでもあるという、まさにレッド・ツェッペリン、AC/DCやディープ・パープル級の扱いを受けているアーティストなのです!

全英の腐女子が沸いたこの美青年。これが…

どうしてこうなった!! フレディー、大好きだ!!!

この「キラー・クイーン」が収録されているアルバムは『シアー・ハート・アタック』(吉良吉影の技名)という名前で、まさに吉良吉影そのものとも言っていいアルバムです。 この古いブルースのような要素との掛け合わせは、先述のロッキー・ホラー・ショウにも十分に取り入れられ、当時のディスコサウンドと合体して、結果的に現代のゲイ系パーティチューンの定番テイストとなるのです!

たとえばこの(名実・売り上げともに)00年代最高のゲイパーティチューンバンド、シザー・シスターズ。 名前からしてクイーンっぽいが、バンドメンバーもゲイ・ゲイ・ゲイ・バイ・ストレートの5人(一人ゲイが抜けたけど)。そしてアルバム1作目にこの曲。
そしてアルバム3作目にはこの調子だ! いやあ~、どことなくクイーンっぽい! お前ら本当にクイーンが好きだな!
このクイーンを解説するにあたって一旦紹介したい盤は『クイーンII』(現在は、ライブ盤を中心にもっとクイーンの魅力が詰まったアルバムがたくさんリリースされていますが、クイーンの音楽性の説明のため、ここでは一旦『クイーンII』を取り上げます)。

当時のハードロックやグラムロックの影響と、クイーンの特徴たる「ロックオペラ」が両者ともに非常に分かりやすく繰り広げられている一枚です。

神話級の戦いがあり・・・

伝説のオウガバトルってゲームがあったなあ

たとえば黒の女王が行進し…

やっぱり単純にグラムロックとしては括れないですよね・・!?

そして、そんなクィーンで筆者が最も推したい一枚を挙げるとすれば、『Live At The Montreal』。なにしろ、(筆者の知ってる範囲内では)かの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」が、最も聴きごたえあるのがこの音源だからだ!
これが第6部の敵キャラ「ウンガロ」のスタンドかどうかなんてことは、どうでもいいんだ! この2つの画像をよーく見比べるんだ! おまえら、本当にクイーンのことが好きだな!!

左:Queen『Bohemian Rhapsody』/右:The Protomen『Present: A Night of Queen』

『ロックマン2』の続編をつくりたい男たちが集まったクイーン風バンド、それがプロトメン。そしてできあがったのが、このアルバム『Act II』。『ロックマン2』とクイーンを足して2で割ったら邪悪な化学反応が起こったロックオペラだ! でも『ロックマン2』って、音楽じゃなくてゲームじゃないの!?

これだけ未だに後世に直接影響を与えまくっているクイーンが吉良でありプッチ牧師なわけですから、そりゃ強いわけですよ。実際2人とも空条承太郎に勝ち越していますからね!

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連載

ジョジョの奇妙な音楽

みんな大好き『ジョジョの奇妙な冒険』。 アニメも大人気のジョジョシリーズは、キャラクターやスタンドの名前が音楽からとられていることも有名です。 ジョジョをさらに数倍楽しむことができるように、元ネタの音楽はもちろん、そのアーティストのキャラクター性や時代背景などを解説する連載です。

2件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:1930)

フレディーマーキュリーはゲイではないし(バイセクシュアル、ハイここ!試験出るよー。かなり晩年までみなと港に女がいて衣装担当の側近が手切れ金渡すのに忙しかった)
全英の腐女子じゃなくてぜん日のクラスカースト上の子達だしほんとに切りないからもうよそこめんともぐだぐだで見るのもよそまた書きたくなるから

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:1929)

なんだか分からないがグダグダに間違ってるけど、マ、いいんじゃないかな。、、、

 クイーンがグラムか?と言われたのはごく初期だし、というか、グラムというジャンルは一時の単なる流行でいかにグラムから脱するかにみな苦労した。 
 ちなみに、音楽的な共通点、みたいなものは無い。GLAMOROUSというだけ。 
  
 クイーンのベスト盤でメイドインヘヴンと言うものは無いし……言い出せばきりがない。 
クイーンのところ見ただけでも(他にも沢山あるが)そうだから好きなポルナレフや盗作オンリーバンド、ツェッペリン(大好き)とか見ないで去ります。 
 いいんじゃないですか。

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