連載 | #2 ジョジョの奇妙な音楽

ジョジョの奇妙な音楽 vol.2 70年代の前衛音楽とロックから学ぶスタンド!

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プログレッシブロック四天王から学ぶ、主人公とボスたちの戦い

さて、クイーンの一部の楽曲に電子音楽が混じっていましたが、あれはなんだったのか。これを紐解くキーワードが「プログレッシブ・ロック」です。

70年代にはちょうどよく「プログレ四天王」なるアーティストがおりますので、まずはここから紹介しましょう。

まずはこの曲、エマーソン・レイク&パーマのアルバム『タルカス』から、「イラプション」。

ジョジョ第一部の中ボス・タルカスはこの楽曲が元ネタだ! そしてこのサウンドは、どう聴いても「FF6」のオープニングとラスボスの楽曲じゃないか!
ちなみに第7部にちらっと登場するバーバ・ヤーガとその馬ナットロッカーもこのEL&Pの楽曲名(クラシックの名曲のグチャグチャなカヴァー)だぞ!

で、これ。ビートルズ解散直後、日本ではピンク・レディー全盛期の頃のアルバムだと言ったら、みなさん信じられますか? そう、これがプログレ。プログレッシブ(前衛的)なロックです。

プログレ四天王、お次はピンク・フロイド。誰もが目にしたことのある、あまりにも有名なこのジャケットのアーティストが、ピンク・フロイドだ!

筆者にとって、ピンクフロイドで一番好きな曲は、やっぱりこのTimeなんです

そしてそのピンク・フロイドの名曲の一つといえば…「シャイン・オン・ユー・クレイジーダイヤモンド」」! 東方仗助のスタンドだ!

冒頭が美しい。冒頭が重要。そこからは非常にレトロなようで超浮遊感漂うサウンドに。ちなみに日本語のアルバム名は「炎〜あなたがここにいてほしい」。第7部に出てくるノリスケ・ヒガシカタの愛馬の名前は「ホノオ」! しかも第8部には東方大弥(だいや)ちゃんが登場するぞ!

「ジョジョ」におけるピンク・フロイドの秀逸なネタの一つは、「アトム・ハート・マザー(原子母神)」というアルバムをつくっていることでして。吉良吉影のパパのスタンドが「アトム・ハート・ファザー」でしたね。そうです、あれは、仗助とパパという、ピンク・フロイド同士の戦いなんです(笑)。

そして四天王、第三の刺客はキング・クリムゾン! 第5部のラスボスのスタンド! いやぁ、プログレ勢もまた強いなあ!!

美しい……が、これはメタルではないか!? そう、プログレにもメタルの系譜と、電子音楽に通じる系譜があるのです

ドゥーーーームメタル(あえてシケった録音をされたメタル)! 当時からしてもあえてシケシケの汚い録音の轟音楽曲だ! ボリュームを最大にして聴こう! あと、Kanye WestのPowerも聞いて、後世への影響を学習しよう!

第5部のラスボスは多重人格でしたが、まさにキング・クリムゾンは「21st Century Schizoid Man(21世紀の精神異常者)」なんて楽曲をリリースしているくらいですからね。

プログレ四天王、最後はイエス。ドラマーの名前はビル・ブラフォード。そう、タルカスと同じく第1部の中ボス・黒騎士ブラフォードだ(多分)!

東方大弥ちゃんが主人公に向かってウンチク語ってた曲にして、ヴィンセント・ギャロ監督・脚本・撮影・主演・音楽という伝説のインディーズ映画『Buffalo’66』のテーマ曲! ギター、ヤバイ! ギターヤバイ! まさに轟音ドリルギター! そして3:40にもなってから初めて入ってくる遅咲きボーカルの、この退廃的なクリスタル感、またヤバイ! ちなみにアニメ第1部のEDにも起用されたyesの「Roundabout」も同じアルバムに入っているぞ!

このイエスの初期こそメタル系ながら、作風を変えるうちに電子音楽とロックの融合ともいえる、独特の世界に入っていきます。

最初の4分の美しさも格別だが、8:40あたりの展開はクッソヤバいぞ! 聴け、人類よ、これがプログレ変拍子だ!!!!! そして11:00からのピンク・フロイドばりの浮遊感。なんという名盤だ!!

さて、重要なお題です。このイエスの電子音楽的なサウンドは一体どのようにして生まれたのか。

結論を言いますと、これは、同時代のドイツのプログレッシブ・ロック(クラウトロック、宇宙音楽とも呼ばれる)との相互影響によって発生したサウンドです。

驚くことに……ドイツのプログレッシブ・ロックの一部のアーティストは、このイエス、エマーソン・レイク&パーマ、レッド・ツェッペリン、クイーンの時代に、実は今でいう「テクノ」を早くも始めていたのです。

貴様ら、初代ガンダムに「ルビコン作戦」ってのがあるよな。あれは、(たぶん)これだ!

貴様ら、『重戦機エルガイム』の主人公がなんという機体に乗っていたか覚えているか。よく聞け、「アシュラテンプル」だ!

デヴィッド・ボウイ(ディエゴ・ブランド―)でつながる、70年代の音楽シーン

第7部のDIO、ディエゴ・ブランドーのスタンドたるデヴィッド・ボウイの紹介だ!!

まずはグラムロックを振り返りましょう。映画『ベルベッド・ゴールドマイン』から。
主人公はデヴィッド・ボウイをイメージしたキャラクターらしいですが、デヴィッド・ボウイには「俺はこんな奴じゃない」とばっさり否定されています。が、「当時の腐女子が抱く」デヴィッド・ボウイとグラムロック像を知るには最高の教材。

キラ淫靡な男同士の世界観! みんな、思い出したな、これがグラムロックだ。なんと分かりやすい!

この映画には、星降る夜の下で繰り広げられる、デヴィッド・ボウイとマーク・ボランのホモシーンもあるぞ! そりゃボウイ本人はこの映画の存在を嫌がるに決まっている(笑)。

そして第7部に登場し、スタンドをDIOに盗られてしまうのがフェルディナンド博士。その容姿を思い出しながら、デヴィッド・ボウイの超名作アルバム『ロウ』のジャケットをご覧ください。

スタンド名は「スケアリー・モンスター」。これもデヴィッド・ボウイの楽曲ながら、そこはさして重要ではありません。より重要なのは、このアルバム『ロウ』!
こ…この曲は…ド、ドイツのプログレ……!??

そう、これがグラムロック最大のアーティストにして、20世紀で最も影響力の大きいアーティスト(NME誌)、デヴィッド・ボウイだ!

もちろん、直球のグラムロックの曲も多数あります。

ってあれっ。直球…グラムロック…? プログレっぽくないか…?

彼はT.REXのマーク・ボランとタッグを組んで「グラムロック2大巨頭」として歴史に名を残しているわけですが、その上でジョジョの第7部を思い出すと、すごいことになっているんですよね。

たとえば、デヴィッド・ボウイが元ネタとなったディエゴ・ブランドーと、T.REXの同名楽曲から名付けた「20th Century Boy」をスタンドに持つマジェント・マジェントがタッグを組んで、カントリーの王者たるブルース・スプリングスティーン(ウェカピポのスタンド名「レッキング・ボール」は、偶然にも後にブルース・スプリングスティーンの曲名に!)と戦っている訳です。

まさにグラムロックVSカントリーミュージックの頂上決戦。これを漫画に描くのは正直とんでもない勇気だぞ(笑)!

今回のまとめ

今回はグラムロック、プログレッシブロックをそれぞれ解説しつつ、最後にその間に立つ天才デヴィッド・ボウイをご紹介することで、第1回に続いてジョジョの主人公やラスボスたちを彩る音楽世界をご紹介しました。

さあ、まとめだ!

第1回:
レッド・ツェッペリンは正義。ディープ・パープルは魅力的な悪役。そしてAC/DCはレッド・ツェッペリンを絶対に殺すマンだ!

第2回:
クイーンは必ず空条丈太郎に勝つ! プログレ四天王、ボス格キャラ多すぎ! そしてデヴィッド・ボウイはやっぱすごいわ!!

以上!

率直に言って、コアなフーリガン的ロックファンたちから刺される気がしてならない無茶苦茶な結論だ!!

次回からは、第3部、第7部、第4&8部それぞれの物語と音楽を、キャラクターたちと旅をするように追っていくことで、全5回の連載とする予定です。

最後はこの曲、デヴィッド・ボウイの晩年の楽曲(何十年、最前線で活躍しているんだ!)を聞きながらお別れです。

ありがとうございました!
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AnitaSun

同人音楽サークルBitplane主催

Bitplane、愛新覚羅溥儀の名義で活動もするITエンジニア・作曲家。 2014年4月にWebサービス「同人音楽超まとめ」をリリース、同年11月にはpixivと共同でweb同人音楽即売会「APOLLO」を立ち上げ、ネットで大きな話題を生む。
http://bitplane.info/
http://dm-matome.com/

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ジョジョの奇妙な音楽

みんな大好き『ジョジョの奇妙な冒険』。 アニメも大人気のジョジョシリーズは、キャラクターやスタンドの名前が音楽からとられていることも有名です。 ジョジョをさらに数倍楽しむことができるように、元ネタの音楽はもちろん、そのアーティストのキャラクター性や時代背景などを解説する連載です。

2件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:1930)

フレディーマーキュリーはゲイではないし(バイセクシュアル、ハイここ!試験出るよー。かなり晩年までみなと港に女がいて衣装担当の側近が手切れ金渡すのに忙しかった)
全英の腐女子じゃなくてぜん日のクラスカースト上の子達だしほんとに切りないからもうよそこめんともぐだぐだで見るのもよそまた書きたくなるから

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:1929)

なんだか分からないがグダグダに間違ってるけど、マ、いいんじゃないかな。、、、

 クイーンがグラムか?と言われたのはごく初期だし、というか、グラムというジャンルは一時の単なる流行でいかにグラムから脱するかにみな苦労した。 
 ちなみに、音楽的な共通点、みたいなものは無い。GLAMOROUSというだけ。 
  
 クイーンのベスト盤でメイドインヘヴンと言うものは無いし……言い出せばきりがない。 
クイーンのところ見ただけでも(他にも沢山あるが)そうだから好きなポルナレフや盗作オンリーバンド、ツェッペリン(大好き)とか見ないで去ります。 
 いいんじゃないですか。