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kz(livetune)× wowaka(ヒトリエ)対談 ロックスターの不在と音楽の行方

左:kz(livetune)さん/右:wowaka(ヒトリエ)さん

VOCALOIDのプロデューサーという同じ地点から活動を開始し、現在はダンスミュージック/ロックバンドと、それぞれ異なる領域で活躍を見せる2人のアーティストをご存知だろうか。

Google ChromeのキャンペーンCMソング「Tell Your World」で、初音ミクとともにその名を世界中に知らしめ、現在はソロプロジェクト・livetuneとして精力的な楽曲制作を行っているkzさん。

livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video

そして、「裏表ラバーズ」「ワールズエンド・ダンスホール」といった独創的なボカロ楽曲を生み出し、現在はロックバンド・ヒトリエのギターボーカルとして活動しているwowakaさん。ヒトリエは、7月1日には2ndミニアルバム『モノクロノ・エントランス』をリリースしている。

ヒトリエ 「モノクロノ・エントランス」トレーラー

EDMをはじめ世界中でムーブメントを巻き起こすダンスミュージックと、国内でも根強い人気を見せながらもファン層などの変化がめまぐるしいロック。どちらも大きな変化を起こしつつある、非常に熱量の高いジャンルである。

2人はなぜボカロというシーンから飛び出し、それぞれのジャンルで活動することを選んだのか。そして2人にとって、それらのミュージックシーンはどう見えているのか。

ボカロ発アーティストとしてそれぞれのジャンルで存在を確立しているkzさんとwowakaさん、異なる領域で活動するアーティストによる特別対談。

(取材・構成/鎌田篤)

ボカロをつくっていなければバンドもやっていなかった

──それぞれボカロPとして名前を馳せる中、その次のステップとして、無限にある選択肢の中から、ひとりでDJをやる、あるいは仲間たちとバンドを組む、という道を選ばれたのはどうしてだったんでしょうか?

kz 単純にもともとの音楽性かなと思いますね。僕は最初から打ち込みだったし、wowakaくんはそもそもバンドサウンドからスタートしてましたよね?

wowaka そうです。でも、kzさんのルーツもバンドだったと思いますが、どういうきっかけで今の音楽性にシフトしていったんですか?

kz もともとバンドが好きで、実際大学くらいまでバンドでドラムもやってたんです。ただ、ことあるごとに自分は集団行動が苦手だな、っていうのをいつも感じていて。

バンドって、趣味でやってるときから、ちょっと真面目にこれからのことを考えて頑張っていこうぜ、ってなる瞬間があるじゃないですか。あの瞬間になると、どうしても面倒くさかったという(笑)。今まで楽しくやってきたのに、スタジオ終わったあとに毎回反省会をして……みたいなあの空気がすごく嫌だったんです。

そんなときに、Justiceっていうフランスのアーティストに出会って。もともとDaft Punkとかも好きだったんですが、ロック畑の人がダンスミュージックに入るきっかけとしては、あのあたりのエレクトロサウンドがすごくフィットしているなと。

日本だと元気ロケッツだったり、CAPSULEとかPerfumeとか、自分がやりやすい音楽はこれだなと思って、そこからスタートしたって感じですね。

逆にwowakaくんはずっとロックをやっていて、そのまま今の活動まで?

wowaka そうですね。ただ、実はさっきkzさんがまさに言ったようなことで、僕も2回バンドをダメにしてるんですよ(笑)大学に入学した後に組んだバンドが、ちょうど同じようにうまくいかなくなったことがあって。

今はこうやって普通に活動してますけど、そもそもkzさんがいなかったら、僕、絶対ここにいないんですよね。というのも、ボカロをはじめたきっかけが、kzさんの「Last Night, Good Night」だったんですよ。

【ニコニコ動画】初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれました「Last Night, Good Night」



それまで、ボカロのことは知ってはいたものの制作者のことまで足を踏み入れたことはなくて。でも、kzさんの曲に出会って、曲単位でこれだけ素晴らしい物を発表できる人と場があること、パソコン1台で曲を自由に発表できるっていう可能性を知って、自分のバンドはうまくいってないけれど、楽器も弾けるし何かつくってみたい、って思ったのが僕がボカロをはじめたきっかけだったんですよ。

kz 2ヶ月くらい前にはじめてちょっと挨拶させていただいた時に、そのお話を聞いてビックリしたばかりでした(笑)。

wowaka ギターにのめり込んだきっかけは邦楽のオルタナのロックだったんですが、楽曲制作のきっかけをくれたのがボカロやkzさん、その時期に活躍していたプロデューサーの人たちでした。

──そして現在は「ヒトリエ」の一員として、バンドの皆さんと一緒に活動していらっしゃいますよね。

wowaka 自分ひとりで楽曲制作ができるという自信がついた状態で、本当に自分がやりたいこと、やらなければいけないことを思ったときに、自分には選択肢がバンドしかなかったんですよね。

やっぱり僕の「音楽熱」のきっかけは、どう考えてもバンドだったんです。バンドという概念もそうだし、音楽そのものとしても、それが世界一カッコいい集合体だと思って生きてきたから。

もちろん、ひとりで曲をつくっていた経験がなかったら、精神的にも音楽的にも今のバンドでうまくやっていくことはできませんでしたが。

kz 一度違うことをやって自分自身を俯瞰してみることで、こうしたら次はうまくいけるのかなというボーダーラインみたいなものをつくれますよね。

wowaka ひとりでボカロをつくっていなければ今バンドもやってないし、逆にバンドを2回ダメにしていなければボカロもやってないし。きっと、そういったことが積み重なって今の形になっているんだなって思います。

矢面に立つことの重要性

ロックバンド・ヒトリエのギターボーカルをつとめるwowakaさん

ロックバンド・ヒトリエのギターボーカルをつとめるwowakaさん

──ボカロのような、当時ゼロからはじまった新しいシーンから、ロックやダンスミュージックといった先行世代が多いシーンにあえて飛び込んでいった理由は?

kz 僕にとっては、先達のアーティストがいるとかいないとかはどうでもよくて、むしろ、逆にすごいヤツらがいたほうが向かっていく甲斐があるなと。ラスボスがいっぱいいた方が楽しいので(笑)。

あと、アーティストを見に来るというよりも、「場」自体をみんなで楽しむ雰囲気というのが僕はすごく好きだったので、それも含めてダンスミュージックっていいな、クラブイベントっていいな、というところがありましたね。

wowaka 僕の場合は、自分という存在をちゃんと矢面に立たせたかったという思いがあったからですね。

ボカロを2年やってきて、ちゃんと自分の歌、自分の声で勝負しないといけないんだな、とすごく感じて。それをやる上で一番自分の中でハマる手段がバンドだったという。

で、バンドをやる以上、そういったシーンに飛び込むのは必然だし、お客さんや他のバンドとコミュニケーションを取るというのは自分のやりたいことでもありましたしね。

kz 矢面に立つっていうのは、僕たちのようなインターネット出身の人たちにとって一番意識しなければいけないことですよね。

ネット上で曲をアップすると、リスナーの顔を見なくてもコメントという形で色々な意見をもらえるけれど、コミュニケーションというよりかは割とお互いに「放り投げ」になっちゃってるじゃないですか。

DJをやっていると、実際にお客さんの顔を見て感じることはたくさんあって、曲をつくる上でも、こういうつくり方をすればお客さんは盛り上がってくれるのではないかっていうことも考えられるようになったし。

やっぱり音楽をやる上で、まずはリスナーと向き合わなければ始まらないと数年かけて感じましたね。僕はもともと超コミュ障なんで、もちろん怖いのは怖いですが……今がんばって直してるんですけど(笑)!

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