久石譲

ひさいしじょう

久石譲は、日本の編曲家、指揮者、ピアニスト、作曲家。久石譲の名は、大学在学中に友人と話し合い、クインシー・ジョーンズの名前をもじり漢字に当てたものに由来。本名は藤澤守。宮崎駿スタジオジブリ作品の音楽で知られる。

久石譲

概要

ミニマル・ミュージックの旗手として、現代音楽から出発。ポップスの世界を経て、現在は本籍をクラシックに移し、「時代や国境を越えて聴かれ演奏される音楽を創作したい」と語る。

キャリアの中で数多くの映画音楽を中心に手掛ける。特に宮崎駿監督作品においては、『風の谷のナウシカ』以降、『風立ちぬ』まで29年間すべての長編アニメーション映画の音楽を担当。

北野武監督作品においても、『あの夏、いちばん静かな海。』から『Dolls』までの7作品の音楽を手掛けている。

来歴

1974年、テレビアニメ『はじめ人間ギャートルズ』の音楽を担当(当時は藤沢守名義)。実質的な商業デビュー作となる。

1975年には日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートのために、数々の映画音楽をオーケストラ用に編曲。1978年からは『ニュー・サウンズ・イン・ブラス』の吹奏楽編曲を長らく手掛けた。

1981年、全曲作曲とプロデュースを手掛けたミニマル・ミュージックのアルバム『MKWAJU』(ムクワジュ・アンサンブルに提供)が、日本コロムビアのBETTER DAYSレーベルよりリリース。同年に音楽を担当した舞台『近代能楽集』と共に、日本のミニマル・ミュージックの先駆的作品となる。

1982年に自身の事務所となる「ワンダーシティ」を設立(代表取締役は妻の藤澤文女)。本格的なソロアーティストとしての活動を開始。同年にファーストアルバム『INFORMATION』(ワンダーシティ・オーケストラ名義)をリリース。

1984年、宮崎駿監督による長編アニメーション映画『風の谷のナウシカ』の音楽を担当。この作品の音楽は当初、細野晴臣が手掛ける予定だったが、映画のイメージと合わないという理由で宮崎とプロデューサーの高畑勲が採用を取りやめ、イメージアルバムを手掛けた久石が本編にも起用。それまで有名ではなかった久石が、このことによって一躍脚光を浴びることになる。この際の経緯は高畑の著書『映画を作りながら考えたこと 1955〜1991』に記されている。また、金田伊功によるOVA作品『BIRTH』の音楽なども手掛けた。

1985年、自身のレコーディングスタジオ「ワンダーステーション」を設立。

1992年より3年連続で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。

1998年には1997年度芸術選奨新人賞(大衆芸能部門)を受賞した。同年の長野パラリンピック冬季競技大会では総合演出を手掛け、テーマソング「旅立ちの時」も作編曲した[38]。

2001年、宮崎駿監督作『千と千尋の神隠し』や北野武監督作『BROTHER』、フランス映画『プセの冒険 真紅の魔法靴』などの音楽を担当するほか、自身の初監督となる映画『Quartet カルテット』を発表した。

2004年、『ハウルの動く城』の音楽を担当するほか、第57回カンヌ国際映画祭において、オープニング・セレモニー作品『キートンの大列車追跡』の音楽と指揮を担当した。

2005年、『ハウルの動く城』で第31回ロサンゼルス映画批評家協会賞音楽賞を受賞。また、佐藤純彌監督作『男たちの大和/YAMATO』の音楽を担当した。

2007年、前年度(2006年度)の著作物使用料の分配額が最も多かった作品として「ハウルの動く城BGM」が、JASRAC賞の金賞を受賞。1999年の「もののけ姫BGM」(銅賞)、2003年の「千と千尋の神隠しBGM」(金賞)に続く3度目の受賞であり、BGMで2度目の金賞受賞は史上初。

2008年、『崖の上のポニョ』の音楽を担当。また、前年に担当した韓国ドラマ『太王四神記』の音楽で、アメリカの第10回国際映画音楽批評家協会賞テレビ部門ベスト・オリジナル・スコア賞を受賞し、スペインのUBEDA FILM FESTIVAL音楽賞Goldspirit Awardsテレビ部門にノミネートされた。中国映画『おばさんのポストモダン生活』の音楽で第27回香港電影金像奨(香港アカデミー賞)最佳原創電影音樂(最優秀音楽賞)を受賞。

2009年、音楽を担当した『おくりびと』が、日本映画としては初のアカデミー外国語映画賞を受賞。また、第85回箱根駅伝からの新テーマ曲『Runner of the Spirit』を手掛けた。これは自身初の吹奏楽曲である。同年、紫綬褒章を受章。

2010年、母校である国立音楽大学の招聘教授に就任。10月には自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『久石譲のLIFE is MUSIC』がニッポン放送で放送開始。

2013年、宮崎駿監督作『風立ちぬ』および、高畑勲監督作『かぐや姫の物語』の音楽を担当。同年、アメリカの映画芸術科学アカデミーの会員に招待された。

2016年に完成した長野市芸術館の芸術監督に就任。2019年3月に任期満了により退任。

2019年、劇場アニメーション作品『海獣の子供』の音楽を担当。

久石譲の代表作品

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