男性VTuberグループ「ホロスターズ」がファンの心に残したもの──6名の配信活動終了に寄せて

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ヒガキユウカ

圧倒的な歌唱力で、全てを塗り替える律可

1期生のシークレット枠としてデビューした律可さんは、ホロスターズの音楽を牽引する存在。

これまでもホロスターズのまわりで何かが起こったときには「おれは音楽で伝える」という一貫した姿勢を示しており、ギター1本の弾き語りで調りつ師の心をときに癒し、ときに励ましてきました。トークは常に落ち着いたテンションで、ともすればドライな印象も受けますが、その胸中には誰よりも熱い思いを抱いていました。

律可さん/画像はホロスターズ公式サイトより

VTuber業界全体でも随一と言える歌唱力を持ち、ホロスターズにおける音楽面のクオリティを底上げしてきたほか、自身の全てのオリジナル曲の作詞作曲を担当。

森カリオペさんとの共作「spiral tones」や、アキ・ローゼンタールさんの2026年誕生日記念3Dライブで披露された「JANE DOE」のコラボカバーも界隈で話題になりました。

アキ・ローゼンタールさんとのコラボカバー

初期から難しい立ち位置にあったホロスターズ。しかしコラボ先などで律可さんが歌いはじめた瞬間、それまでの空気が塗り替わるように、驚きと感動のコメントが殺到するのを筆者は何度も目の当たりにしました。

2023~4年ごろは喉の不調や声帯の手術などで思うようにパフォーマンスできない時期も長くありましたが、それでも折れずに、歌を届け続けてきたのです。

律可さんにとって、音楽とは人とつながるためのもの。セッション歌枠「RiTunes Labo」はまさにそれを体現した企画です。ゲストは幅広く、ホロライブプロダクションからはAZKiさんや鷹嶺ルイさん、プロダクション外からは緑仙さん、星乃めあさん、歌衣メイカさん、さらには歌い手、楽器奏者など多岐にわたる音楽家とともに、その場限りの音を届けました。

2025年、「MadTown GTA」に参加した際はRitunes music barを開業。企画期間中に3回のライブイベントを開催し、歌い手やバーチャルシンガーはもちろん、普段歌をメインとしない活動者の貴重なステージもプロデュースしました。

律可さん作詞作曲の楽曲「明日も」

さらに特筆すべきチャレンジとしては「Vtuber歌唱王」「Vスト6律可杯」の企画・主催が挙げられます。

前者は「実力派Vsingerによる頂上決戦」と銘打つ、歌唱力を競う音楽祭。ダブルMCに星街すいせいさんを迎え、計2回の開催の中でホロライブ、にじさんじ、いれいす、あおぎり高校、Neo-Porte、ぶいすぽっ!、ライブユニオン、無原唱レコードなどさまざまな所属の面々が参加しました。

「Vスト6律可杯」は、彼のもう一つの顔であるゲーマーな部分を活かした大会。律可さんはホロライブプロダクションにおけるマスターランク最速到達者で、“ホロスタ蟲毒”を勝ち抜き第1回獅白杯への出場も果たしていました。当日は大会設計や進行について指摘する声も多くありましたが、律可さんが遂げた偉大な挑戦のひとつとして挙げておきたいと思います。

第一回 Vtuber歌唱王

推しがいがある有言実行の騎士・岸堂天真

自由人で、長年追っていても予測できない言動で楽しませてくれる天真さん。

岸堂天真さん/画像はホロスターズ公式サイトより

ホロスターズきっての企画屋でもあり、人狼系ゲームを中心に様々な組み合わせでメンバーを招集しては、ゲームマスターとして愉悦する様から「暗黒騎士」と呼ばれることもしばしば。彼が主催した「ホロスタRUST」にはENメンバーも参加し、貴重な国際交流の機会にもなりました。

ホロスタRUSTでのワンシーン

ソロ配信ではひとつのゲームを極めるまでやりこむタイプ。『マリオカート8 デラックス』と『スト6』に関しては、彼の配信タグにも含まれている「修行」という言葉がぴったりなのめりこみ具合で、特に『スト6』の全キャラマスター(2024年12月時点)とアルティメットマスター、このふたつの偉業を達成したVTuberを筆者は他に知りません。

ちなみにデビューから7年ほどは「見習い騎士」でしたが、アルティメットマスターを達成したことで、一般騎士……ではなくインターン騎士に昇格できたそうです。細かいポイントですが、こういった些細なワードチョイスにも、天真さんのユーモアが光っていました。

岸堂天真さんの『スト6』配信

やりこみ気質は、クリエイティブ面でも発揮されました。

2022年の誕生日には、新作乙女ゲーム『わたしの騎士は図々しい』をプレイ。見慣れないタイトルですが、それもそのはず。これは天真さんがストーリーから画面まですべて自作した、天真さんを攻略するゲームなのです。

自身の各衣装を駆使して夏祭りや文化祭、初詣など学園モノ定番のイベントを表現しつつ、グッズ用の書き下ろしイラストをスチルとして活用したり、記念の歌ってみたMVをゲーム内エンディングに持ってくるなど緻密な演出盛りだくさん。ルート分岐場面ではYouTubeのアンケート機能を使ってリスナーを巻き込み、配信の概念を覆すようなエンタメを届けてくれました。

自作ゲーム『わたしの騎士は図々しい』配信

2作目『わたしの騎士は騒々しい』はエンディング分岐の数に合わせて歌ってみたMVを4曲分用意、3作目『わたしの騎士がわからない』ではバトルロワイヤルを舞台にしたシリアスな世界観にするなど、ファンを飽きさせない工夫にも余念がありません。

普段は効率厨であることから「効率騎士」とも呼ばれる天真さんですが、ゲームのプレイスタイルや「わた騎士」の制作からもわかる通り、岸メンに「やる」と伝えたことは愚直にやりきる一面があります。これも、天真さんを推していたくなる理由です。

なお、同じ日に配信活動終了を迎える花咲みやびさんとのユニット「花岸」は、ホロスターズの中でももっとも関係性が濃いユニットとして知られていました。

2022年には童話コンセプト、2026年にはヴィランコンセプトでおそろいの新衣装を発表。ふたりの定期ラジオ企画「花岸れいでぃお」は、先日第100回をもって堂々終幕を迎えました。決して息ぴったりというわけではなく、実際「花岸れいでぃお」も、日程の勘違いや寝坊などで片方が欠席することも珍しくありませんでした。

直近に行われたヴィラン衣装発表の段取りでさえ、認識の齟齬があった模様。どちらかが相手に合わせるタイプのユニットとは真逆で、各々がわが道を突き進みながら、気づけばいつも同じ目的地にたどり着いている。そんなふたりでした。

花咲みやび×岸堂天真「チグハグ⇔フローリィナイト」
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