「女の子はいいお皿」チェリ子のイラストへのこだわり
──チェリ子さんといえば、魅力的な女の子のデザインが特徴的です。モチーフとしての女の子にどのような魅力を感じていますか?
チェリ子 実は、自分ではあまり強い思いはなくて、あくまで自分が得意なモチーフの一つみたいな感覚なんです。女の子そのものというより、女の子が持ってる小物や服、キャラクターのポーズなど、女の子と一緒に描いてる無機質な存在の方に思い入れがある気がするんですよね。
食べ物で例えると、描きたいものというメインディッシュがあって、女の子はそれらを乗せるいいお皿のような存在というか……。
──お皿?!
チェリ子 適切な表現ではないかもしれませんが、きれいなお皿の方がお料理も素敵に見えるという意味では、女の子=お皿のイメージが近い気がします。もちろん、自分のイラストとして女の子の存在を軽んじているわけではありません。
だから「顔を可愛く描こう」や「目を魅力的に描き込もう」とはあまり考えていないんですが、髪の毛やまつ毛、粘膜を描くのは好きで、気持ちを込めて描いている実感があります。
オリジナル作品「狙いうち」
──そうしたこだわりはどのように生まれたのでしょう?
チェリ子 髪の毛に興味を持つようになったのは大人になってからだと思います。自分自身、「やっぱり大人だからちゃんとした格好をしないと」と思いはじめて、ファッション雑誌とかを参考にするようになったんですけど、興味を持って見るとこんなに面白いんだなって気づきました。
よく考えると、髪の毛も人体の中では無機物寄りですから、こちらのコントロールが効くものという、意志がない存在に惹かれるのかもしれません。だから人体のパーツだと爪も好きですね。
──現実の身だしなみとして、髪や爪といった細部を整えるのが重要といった見方もありますし、人を魅力的に描く上でそれらにこだわるのは理にかなっているのかもしれません。
チェリ子 そう言われると、確かに細かなディテールへのこだわりがあるような気がしてきました! ずっと好きなアイドルがいるんですけど、その子たちを見ててもやっぱり気になるのは髪型とかですし。
ただ、こんなことを言いながら、私自身は1年以上美容室に行けてなくて……自分のことをほったらかしにしてしまうくらい、イラストに心血を注いでるということかもしれません(笑)。早く行かなきゃ。
オリジナル作品「星を結ぶ」
──これだけ緻密かつ魅力的に女の子を描かれているからには、とびきりの情念を込めいるのだろうなと考えていたので、「お皿」と表現されるのは驚きました。
チェリ子 たぶん情念があるのは女の子というモチーフに対してではなくて、“描くという行為”そのものになんだと思います。
今はチェリ子としてこういう作風に落ち着いてますけど、この先もしかして違う名前で活動して、全く別の作風になることがあったとしても、絵を描くこと自体には執着し続けるんだろうなと思います。
黒星紅白の画集との出会い 「画集つくりたい!」とSNSで暴れる
──5月14日には初の作品集『チェリ子画集 Capture-C』が発売されます。改めて画集として作品がまとまって本になることに対する思いを教えてください。
チェリ子 自分がイラストレーターという職業を意識したきっかけが、書店で黒星紅白(※)先生の画集を目にしたことだったんです。だから、自分でも画集を出せるのはとても感慨深いですね。
今でこそ、いろいろなイラストレーターさんが画集を出されてますけど、当時はそこまで数が多くなかったので、書店にイラストレーターさんの画集が並んでいるのも貴重だったんです。
チェリ子さん初の作品集『チェリ子画集 Capture-C』
チェリ子 うまく言えないんですが、当時の自分が受けた「イラストレーターの画集が書店に並んでいる!」という衝撃が、原体験として大きくて。イラストレーターとして活動する上で画集を出すのは大きな目標の一つでした。
実は、今までも画集を出すチャンスはあってお声がけいただくことはあったんですけど、いろいろな理由で頓挫してしまっていたので、今回は本当に念願叶っての機会でもあります。
※黒星紅白:イラストレーター。ゲーム「サモンナイト」シリーズのキャラクターデザインや小説「キノの旅」シリーズの挿絵などで知られる。
──念願の画集の刊行にあわせて個展「CaptureD-C」も開催されます。そもそも今回の画集や個展は、どのような流れで立ち上がったのでしょうか?
チェリ子 私が「画集をつくりたい!!!!」とSNSで暴れていたのを、今回の画集や個展を手伝ってくださっている編集者やデザイナーの方々に発見されまして、そこから本当に画集と個展の話が進んでいきました。
私が騒いでいたのが発端ではあるんですけど、個展「CaptureD-C」の開催にあたっては本当にいろんな方々に協力していただいています。だからこそ「私も何かやらなきゃ!」という思いで、「会場で毎日ライブドローイングをやります!」と提案したところもあります。

この記事どう思う?
イベント情報
チェリ子 東京初個展「CaptureD-C」
- 開催期間
- 2025年5月8日(木)~13日(火)
- 時間
- 11:00 –20:00(最終日は19:00まで)
- 会場
- 〒150-8510 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 8/CUBE
- アクセス
- JR、京王、東京メトロ、東急、各線「渋谷駅」直結
- 入場料
- 無料
- 主催
- チェリ子、MORYARTI株式会社
- 共催
- Wimdac Studio、oriminart
- 協力
- 玄光社、株式会社ポニーキャニオン、うたごえはミルフィーユ製作委員会
■チェリ子個展『CaptureD-C』開催記念 チェリ子×山中拓也 特別トークイベント
『うたごえはミルフィーユ』にて、原作・シナリオを務める山中拓也氏を招き、チェリ子氏との対談形式でトークイベントを行います。チェリ子氏の仕事を間近に見る山中氏の視点を交えつつ、描かれるイラストの魅力や、画集、個展などについて語り合います。
日時:5月8日(木)18:45~19:45
場所:渋谷ヒカリエ 8/CUBE 会場内・オンライン配信
配信:YouTubeにてオンライン配信予定(後日詳細公開)
参加費:無料 人数:20名程度(現地)
参加方法:現地参加希望者向けにpeatixにて事前申込を実施します(先着)
事前申込開始 4月23日(水)18:00(予定)
山中拓也氏 プロフィール
1987年生まれのゲームプロデューサー、シナリオライター。2016年にはディレクターを務めたゲーム『Caligula-カリギュラ-』がリリース。アニメ化を果たしたヒット作となる。2020年からは企画・原作・プロデューサー・シナリオを務める音楽プロジェクト『MILGRAM-ミルグラム-』を展開中。今年7月には原作・企画・シナリオを務める音楽プロジェクト『うたごえはミルフィーユ』がアニメ化される予定(氏が脚本を担当する)。
■『チェリ子画集 Capture-C』解説トーク
チェリ子氏の初となる作品集『チェリ子画集 Capture-C』(玄光社)の発売を記念して、チェリ子氏自身より画集制作の裏側や収録された作品について解説するカジュアルなトークイベントです。
日時:5月9日(金)18:45~19:15
場所:渋谷ヒカリエ 8/CUBE 会場内
人数:10名程度(先着)
参加方法:イベント当日(5月9日)に、会場内の物販コーナーにて税込3,000円以上お買い上げいただいた方のうち、希望者に先着で参加券を配布します。
■個展『CaptureD-C』ギャラリートーク
チェリ子氏自身より、作品のポイントや込めた想いなどを直接お伝えしながら、会場に展示している作品を鑑賞する、カジュアルなトークイベントです。
日時:5月12日(月)18:45~19:15
場所:渋谷ヒカリエ 8/CUBE 会場内
人数:10名程度(先着) 参加方法:イベント当日(5月12日)に、会場内の物販コーナーにて税込3,000円以上お買い上げいただいた方のうち、希望者に先着で参加券を配布します。
関連リンク
チェリ子
イラストレーター
フリーランスイラストレーター。活動の原点であるMVイラスト制作をはじめ、現在ではキャラクターデザインや装画など幅広いジャンルにて活動中。個性あふれる髪型や衣装、小物は繊細かつポップ。かわいいだけではないその世界からは物語を感じずにはいられない。
[代表作]
和田たけあき(くらげP)『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!』MVイラスト
Ado『会いたくて』MVイラスト
『うたごえはミルフィーユ』(ポニーキャニオン×山中拓也/2025年7月テレビアニメ化)キャラクターデザイン
VoiSona『知声』キャラクターデザイン

0件のコメント