小澤亜李が語る「ヒゲドライバーの妻」視点
ヒゲさんのとんでも惚気エピソードが飛び出してきたところで、小澤さんが合流。ここからはお二人の生活についても掘り下げていきます。
ヒゲドライバーさんと小澤亜李さんの夫婦2ショット
──小澤さん、改めてご結婚とご出産、おめでとうございます!
小澤亜李 ありがとうございます! KAI-YOUさんは例の居酒屋企画以来ですよね。お久しぶりです!
ヒゲドライバー ……。(微笑みをたたえて小澤さんを見つめている)
──前回の取材ではヒゲさんとの初対談の瞬間を見届けさせていただいたわけですが、あの時、結婚観とか、家族観の話で盛り上がっていましたよね。
小澤亜李 当時、初対面のコミュニケーションで恋愛トークをすることが多くて。あの時点ではレコーディングに立ち会ってもらった程度だったのでヒゲさんの人柄は全然知らなかったんですけど、理想の家族像があること自体はいいなと思いました。理想の家族像があるという人もあまり会ったことがなかったので。
──ヒゲさんはその時「理想の家族像は『クレヨンしんちゃん』の野原家で、自分は野原ひろしになりたい」と話していましたよね。
ヒゲドライバー ……。(黙って頷きながら小澤さんを見つめるだけで、口を開く気配なし)
小澤亜李 覚えてます。なんならその後、2人でご飯に行った時も同じことを言っていて。
でも私が『クレヨンしんちゃん』に詳しくなくて「みさえが怒っててひろしは足臭いんでしょ」くらいの知識なので(笑)、その核心みたいなものがよくわからなかったんです。喧嘩もあるけど仲がいい、幸せな家庭というくらいの意味合いなのかなと。
──小澤さんには、理想の家族像はあったのでしょうか。
小澤亜李 自分の結婚についてあまり考えていなかったので、理想の家族像も特になかったです。ただ、いつか信頼できるパートナーと出会いたいという気持ちはずっとありました。
世界で一番、私のことを好きだと思ってくれる人。それがなかったら一緒にいられないだろうと考えていました。結婚するかどうかは、後はその人とのことだろうな、と。
──じゃあヒゲさんは、小澤さんのパートナー像にフィットしていたと。
小澤亜李 そうですね。ヒゲさんは何事も否定しないんです。悩みを話すとアドバイスしてくれる人が多かった中で、ヒゲさんに相談すると「頑張ってるからそれでいいんだよ」って、ただ認めてくれるんです。それがすごく心強くて。
それで甘えちゃう人もいるのかもしれないですが、私は自分自身に厳しい方なので、認めてもらってまた次から頑張れるんです。
──小澤さんもヒゲさんも表舞台で活躍されるクリエイターで、子育てには色々とハードルも感じられたかとも思うのですが、ヒゲさんのそういった寛容な人間性は、出産の決意にも関わりましたか?
小澤亜李 仕事を頑張りたい気持ちはあったし、私の方は子どもも絶対にほしいという気持ちはなかったです。ただ、子育てをする過程ではきっと自分も成長するだろうと思ったし、ヒゲさんとなら頑張ってみようかなと思えたのはありました。
──ヒゲさんとお子さんとの暮らしはどうですか?
小澤亜李 ヒゲさんってめちゃめちゃ子育てや家事をしてくれる人なので、すごく助かってます。唯一、ヒゲさんは普段、仕事のこととか雑談も何も話してくれないので、私が一方的に怒ってます(笑)。
ヒゲドライバー 僕にとって亜李ちゃんや子どもとしゃべっている時間って、唯一自分の中で音楽から離れている時間なんですよ。外で仕事しない分、家の中全部が作業場みたいになるのもイヤで、亜李ちゃんにまで仕事の話をしたくはならないというか……。
小澤亜李 でもたとえば、私はなんとなく気になったニュースの話もどう思った? って話したいんですよ。でもヒゲさんにそういう話をしても「知ってるよ」で終わるんです!
ヒゲドライバー ニュースを見て何も感じないわけじゃないんだけど、ちょっと距離を置きたくなる情報も多いからさ……。
小澤亜李 私はもっと色々語りたいのに。ヒゲさんに限らず他の人にもそういう話題を振るし、色んな人の意見を聞いてみたいだけなんですけどね。家で仕事をしてることがほとんどなので、仕事の話もしないしニュースの話もしないとなると、話題がない! それが悩みですかね。
──擁護するわけでもないですが、ヒゲさんはご自身の中のいろんな考えや葛藤を、音楽として昇華してきたから、という側面もあるのかもしれませんね?
ヒゲドライバー あー、そういうこともあるのかもしれませんね。人とも話して、音楽にもして、というわけにもいかないというか。
小澤亜李 別に音楽にするならそれはそれとして、私にも話せばいいじゃん、とは思いますけどね(笑)。
──これまでご家族やご友人、村田社長といった方々に取材を重ねてきましたが、それでもかつてないほどの、ヒゲドライバーのプライベート感がすごい。
今明かされる、こじらせヒゲドライバーの結婚秘話
──もとはヒゲさんのオリジナルアルバム『ヒゲドライバー 4UP』に参加されて「マカロンが食べたい」で客演されて2人の2017年の対談が実現したわけですが、ご結婚以来、アーティストとしてのヒゲドライバー像は、小澤さんの中では深まっていますか?
小澤亜李 私はたまにヒゲさんの曲を調べて聴いていいなって思ったりするけど、作品の曲とか、細かい部分はあまりわかってないので、いいメロディーだなぁくらいで聴いています。
結婚後は、伊津村紫役をつとめている『Re:ステージ!』という作品の中で、自分にとっては大事なタイミングで曲を書いてもらったんですが、ずっと私がどんな気持ちで向き合ってきたのかを話していたので、その時の思いとか苦しみとか、大事な気持ちをしっかり曲に昇華してくれていたので、そこはやっぱりすごいなと。
──それでいうと……小澤亜李その人に贈られた曲もあると聞きましたが、それはどう受け止めましたか?
小澤亜李 私がドライなのかもしれませんが、まず「ありがとう」っていうのと、やっぱりアーティストってこういう時に曲をつくるんだ〜と思いました(笑)。
ヒゲドライバー そんなことないよ、なかなか珍しいと思う(笑)。
小澤亜李 ヒゲさんってそういうことしなそうだなと思っていたので、余計にそう感じたのかも。漫画みたいなことするんだなって。でも、言葉よりも音楽の方が気持ちを伝えやすいのかなと思って受け取りました。
ヒゲドライバー そういうわけでもないんだよね。なんて言えばいいんだろう……こんな歌も贈ったよねっていうのを、一つのイベントにしたかったんですよ。一見バカみたいだけど、僕の中では真剣に考えたんです。初めての誕生日とかプロポーズとか、人生に何度もない瞬間を音楽にして残しておけば、特別になるじゃないですか。だから亜李ちゃんのためでもあるけど、自分のためにつくった側面もあるんですよね。
──そういうロマンチストなところも、ヒゲさんらしいですよね。
ヒゲドライバー こじらせ続けてきたヒゲドライバーも人を好きになって結婚するんだってストーリーを、何かに残しておきたかったんです。
小澤亜李 逆にプロポーズの言葉は、何の捻りもなかったけどね。
ヒゲドライバー いやあ、結婚を前提にお付き合いしようという話をしてたので、あまり改めて言えることってなかったんだよ。だからこそ歌っていう特別なものを贈って、イベントとして刻みつけようと。
小澤亜李 歌にしても、その前の誕生日にもつくってくれたから。「あ、二度目だ」って思ったもん。
ヒゲドライバー まあそこは、ミュージシャンだからやっぱりプロポーズにも音楽だよなって思っちゃったんだよね。
──……これは口にするべきじゃないのかもしれないですが、その話を聞いて実はすごくテンションがあがったというか「さすがヒゲドライバー」と思ったのは、ヒゲさんの言う通り、別にそれミュージシャンの普通でもないですよね。そこはやはり、かつて「童貞である」ということを強いアイデンティティにして創作の原動力としてきたヒゲさんのこじらせが健在だったのだなと。
小澤亜李 なるほど(笑)。
ヒゲドライバー あーでも、それはそうかもしれない。現実が見えてない、理想を求める「童貞のヒゲドライバー」で臨んでたということかも。しかも1曲目のタイトルが「大好き」、2曲目が「愛してる」という(笑)。
──それでこそヒゲさんですよ!
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