ネット発の架空組織「SCP Foundation」(SCP財団)の二次創作作品が、YouTubeなどで相次いで非公開になっている。
SCP財団は7月、同サイト上で適用しているCCライセンスについてクリエイティブ・コモンズ・ジャパンに問い合わせた内容を公開。
この内容を巡って、二次創作作品への影響を鑑みて非公開化する動きが発生。10月になって話題を呼んでいる。
都市伝説をテーマにしたインターネットカルチャー「SCP財団」
SCP財団は、都市伝説や現代ファンタジーをテーマにしたインターネットカルチャー。
アメリカの匿名掲示板・4chanを起源として、Wikiサイトで有志によって異常な存在・物品を「確保、収容、保護」する架空の組織を舞台とした共同創作が展開。
現在は日本語など様々な言語で、支部という形をとったサイトが運営されている。
作品利用についての意思表示ツール「クリエイティブ・コモンズ」とは
クリエイティブ・コモンズとは、著作権者が作品の利用について意思表示するためのツール。
このライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させ、受け手はライセンス条件を参照しながら再利用することができる。
SCP財団Wikiは、クリエイティブ・コモンズの定めるライセンスに沿って運用されており、二次創作についてもその作品にライセンスを付与して公開することを求めている。
SCP財団「ライセンス上の懸念が生じる可能性」
今回話題となったのは、このライセンスの運用についてのSCP財団の問い合わせに対してのクリエイティブ・コモンズの回答。CCライセンスの部分的な適用の可否についての内容となっている。
SCP財団によれば、この回答は「これまで日本語圏のSCPコミュニティでライセンス利用に関して共有されてきた内容・見解と大きく異なるもの」だったため、質問と回答の要約をWiki上で公開している(外部リンク)。
SCP財団は、二次創作などサイト外のSCP関連作品について「ライセンス上の懸念が生じる可能性」があると説明。
一方、サイトとしては対処を求めず「必ず最新のバージョンのライセンスガイドをご確認いただき、必要に応じて各自の判断」で対処するよう、理解を求めていた。
一体何が問題になっているのだろうか。
SCP財団の二次創作物におけるライセンス運用を巡り物議
端的に説明すると、今までSCPの創作物を含めた二次創作を制作した場合、SCPに関する部分にのみライセンスを適用して表示すればよい(二次創作物自体はライセンスの下、誰でも利用可能なものとしなくてもよい)と理解されていた。
しかし、今回の質疑の内容を受けて、二次創作物自体に対してライセンスを適用して表示をする必要がある(つまり、SCPの二次創作物そのものをライセンスに基づいて誰でも利用可能なものとしなければならない)のではと、コミュニティを中心に物議を醸したのだ。
その前提には、二次創作物に他の著作物も使用している場合(例えば解説動画に使用している音楽など)、そこの権利をクリアにしなければライセンス表示をできないのではないか、という懸念がある。
また、二次創作物をライセンスの下、誰でも利用可能なものにすることに対する忌避感もありそうだ。
YouTubeやBOOTHではSCP財団関連作品の非公開が相次ぐ
こうしたSCP財団の発表やライセンスの運用の解釈を巡って、二次創作の制作者たちがそれぞれの判断で作品を非公開にしているというのが、一連の流れとみられる。
現在、創作物の販売サイト「BOOTH」では、それまで販売されていた同人シナリオが非公開に。YouTube上のSCPに関連した動画なども非公開になっているようだ。
SNS上では、相次ぐ作品の非公開に対して動揺が広がっている。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:10635)
クリエイティコモンズのどのライセンスの話なのかか記事ではわからないですね…