富士葵のワンマンライブ「Aria」レポート 完全独立、駆け抜けた6年の軌跡

富士葵のワンマンライブ「Aria」レポート 完全独立、駆け抜けた6年の軌跡
富士葵のワンマンライブ「Aria」レポート 完全独立、駆け抜けた6年の軌跡
  • 31 images

VTuber富士葵(ふじあおい)の6周年ワンマンライブ「Aria」が、11月17日(金)に渋谷O-EASTで開催された。

11月7日に富士葵さんは、約3年間続いたLOGIC&MAGICによるサポートと、音楽レーベル「Acro」の所属を終了することを自身のYouTubeチャンネルで発表したばかり。

今回のライブは、富士葵さんと相棒のキクノジョーさんにとって、個人勢として初のワンマンライブ。チケット販売からカード会社への交渉など、すべてを模索をしながらの開催となった。
富士葵さんは今回のライブのテーマを「新しい扉を開いた先には何があるのか」と掲げ、「ステージなど何もかも一新して開催する」と話した(10月27日放送のHIMEHINAのハロウィン配信より)。

今回はそんなフリーとしてイチからライブを積み上げた彼女たちの「はじまりの音」である。そんな「Aria」の“空気”と“抒情”の一部始終をお届けする。

目次

ファンからのフラワースタンド エントランスから期待が高まる

当日は大雨予報があり、前晩から雨が降っていた。

そんな最中でも「晴れ女」を自称する富士葵さんのパワーが発揮されたのか、昼過ぎには雨雲は関東を通過し、一転して晴れ間に。会場である渋谷O-EASTの看板には、その痕跡ともいえる雨粒がついていた。

入口には、先日コラボを実施したHIMEHINAと、運営会社のLaLaから富士葵さんのイメージカラーである青色の花を中心にしたフラワースタンドが設置。ファンからも多く届いている。

左はHIMEHINA & Studio LaRaから。右はファンから送られたフラワースタンド。写真からも分かるようにファンから送られたものは、サイズが大きいことがわかる(筆者撮影)

その横にはファンからのフラワースタンドも設置されており、大きなファンアートが描かれたパネルとともにこちらも青を基調とした花に加え、キクノジョーさんをあしらったメッセージパネルがセットに。花はLEDのライトで照らされていた(外部リンク)。

こうしたフラワースタンドはVTuberのライブでは今や当たり前の文化となったが、それぞれの愛が詰め込まれていることがパッと見るだけでもわかる。

富士葵さんの自作パペット通称「アゴイちゃん」などの展示(筆者撮影)

会場内エントランスでは、8月に開催されていたポップアップストア「大葵菊祭」でも展示されていた富士葵さんによる自作パペットと、マイナースポーツ「モルック」で使用する棒・モルックが展示。ファンたちも食いつくように写真で記録を残していた。
【モルック】超白熱!!話題の新スポーツやったら盛り上がりすぎた…
開演30分前ですでに会場は20代から50代程度と見受けられる幅広い年齢層のファンが多数集まっており、幕前は富士葵さんの動画でおなじみの楽しげなBGMを中心に再生していた。

開演前のアナウンスで「写真撮影可」である旨が知らされると、複数のオーディエンスは喜びを表すように手を上げる。

その手には、グッズ・コマース・プラットフォーム「カレル」から販売されていた富士葵さんとキクノジョーさんのパペット(外部リンク)を持つ姿も見えた。

2ndソロライブ「シンビジウム」のサイリウムを持つ人も多い。中にはごく少数ではあるが、「富士葵生誕祭令和元年」サイリウムを持つ人も。いずれも開催は4年以上前。長きに渡って富士葵さんを応援してきた熱量の高いファンが多い。

「開演時間が過ぎておりますが、間もなく開場します」のアナウンスに、オーディエンスは声をあげ、拍手し、その時がもうすぐ訪れようとしていることに喜ぶ。

アナウンスの後、1曲BGMが終わると、ライブがはじまると思ったのか、ファンたちに少し笑いのどよめきがおこる一幕もあった。

2人が駆け抜けてきた先の「Aria」

会場明かりが暗転すると、拍手が響き渡る。そして、富士葵さんとキクノジョーさんの6年の道のりを垣間見える映像が流された。

中央を歩く2人に、過去2人が経験してきた過去の映像が次々に左右に流れる。

動画を初投稿する様子を彷彿とさせるシーンや、2人がロケで撮影する様子など、映像が現れるごとに音声の定位が左右に流れていく。会場では、その左右に流れる音声につつまれ、2人の経験を疑似体験するような臨場感があった。
【Aoiの自己紹介】YouTuberはじめました!はじめまして!
時系列は進み、メジャーデビュー曲「はじまりの音」が勢いよく流れ去ると、2人は駆け出すように歩みを早め、衣装も「富士葵生誕祭令和元年」で公開された衣装(外部リンク)に。

「富士葵独立します」と2020年に事務所から独立した際のワンシーンも。

次の一幕では、キクノジョーさんの声から2ndソロライブ「シンビジウム」では席は飛び飛びで、声出し開催が難しい状況であったことも垣間見れた。
【特報】大切なみなさんへ【富士葵】
そして、扉の前にたどりついた2人。

完全独立という新たな扉の前で、富士葵さんとキクノジョーさんは互いの顔を見て、うなづいた様子をみせる。

これから始まるのは、2人とファンで道開いた新たなライブ「Aria」だ。

富士葵さんがその扉を開けた瞬間、そのロゴが画面に現れた。オーディエンスは「葵ちゃーん!」と歓声をあげ、彼女らを讃えるけたたましい程の拍手が鳴り響いた。 そして、階段の上に扉があるステージセットをバックに富士葵さんが登場。

彼女たちの新たな第一歩は「Revive the world」からスタート。キュートでポップなメロディーにのせ、富士葵さんはかわいらしい歌声と歌詞の「覗く」のフレーズに合わせて何かを除くような振り付けをみせる。

配信では「1曲目で早くも泣き出しそうだ!」というすでに感極まったコメントが多数。

間奏に入ると、富士葵さんはステージ上でオーディエンスに向けて手をあげ、大きくジャンプする。それに応じるようにオーディエンスは精一杯サイリウムを振り、「はい! はい! はい!」と声をあげていた。 1曲目の歓喜の余韻も間もなく、2曲目「テイストレス」のイントロが流れ始め、富士葵さんは「みんな来たねぇ! 」と喜びの声を上げ、合図に合わせてオーディエンスはそれに答えるように勢いよくサイリウムを振る。会場は青、紫、白の3色のサイリウムできらびやかになっていた。

色とりどりのサイリウム(筆者撮影)

「テイストレス」は加藤冴人さんが作編曲した軽快なメロディーや、かわいらしい振り付けに対して、富士葵さんが作詞した葛藤のような歌詞が特徴。抱えた気持ちや言葉をガムに例えて表現し、筆者もそのギャップに引き込まれる。

続く3曲目も新アルバム『THINK YOUR WORLD』のナンバー「永遠観測」を披露。鳴り響くロックなイントロに合わせて、富士葵さんは「もっと! もっと! もっと!」とオーディエンスを煽る。サビでは、富士葵さんのパワフルな歌声が披露され、彼女の持つ歌唱力の高さを改めて認識させられる。間奏では勢いよくジャンプし、オーディエンスと一体となって盛り上げた。

MCでは「みなさん! こんばんは!」と挨拶。

配信を含め、ライブを見に来てくれたファンに喜びと感謝を伝え、「みんな腰大丈夫?」と心配する一幕も。富士葵さんらしい、ホスピタリティを感じる場面だった。

1
2
3
4

SHARE

この記事をシェアする

Post
Share
Bookmark
LINE

1件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9403)

現地でライブ参加しました!
その時の感動が蘇ってくる素敵な記事でした。
これからも葵ちゃんのこと応援していきます!

コメントを削除します。
よろしいですか?

コメントを受け付けました

コメントは現在承認待ちです。

コメントは、編集部の承認を経て掲載されます。

※掲載可否の基準につきましては利用規約の確認をお願いします。

POP UP !

もっと見る

もっと見る

よく読まれている記事

KAI-YOU Premium

もっと見る

もっと見る

音楽・映像の週間ランキング

最新のPOPをお届け!

もっと見る

もっと見る

このページは、株式会社カイユウに所属するKAI-YOU編集部が、独自に定めたコンテンツポリシーに基づき制作・配信しています。 KAI-YOU.netでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

ページトップへ