富士葵のワンマンライブ「Aria」レポート　完全独立、駆け抜けた6年の軌跡

アンコールもラストに　定番曲ではない、最後の曲は……？

「もっともっと盛り上がっていこう」という事で歌い始めたのは、「キミの声が聞こえる」。今回のライブは新アルバム『THINK YOUR WORLD』の収録曲を中心にしたセットリストになっており、この曲もアルバムに収録されたばかりの曲だ。 これまでのライブのセットリストの中でも、何度も「正解」や「答え」という歌詞が出てきたが、その中でもこの「キミの声が聞こえる」は前半「そんなものはわからない」と強調するような歌詞が続く。

しかし、葛藤しながらも前を見続けているのは、これまでのファンのおかげであるかのように「前向きになっちゃうのは君のせいだよ」「君の声を目指して生きるよ」というリリックが光って聞こえた。

3年、4年と生き残れば「長い方だ」と言われることのあるVTuberシーン。そんな中で6年間も活動を続けてきた富士葵さんならではの歌詞に思える。さらに「葵い灯で君の道を照らすよ」と声援を返して、応援をしたいという気持ちも一部には込められており、応援と応援返しを互いに切磋琢磨するかのように繰り返してきた、富士葵さんとファンの関係性をよく表した曲であるとも感じた。

「また絶対帰ってきたいと思ってます」と再びライブを開催する決意をみせ、最後の曲へ。

多くの場合、最後には「ユメ⇒キミ」を歌うことが多い一方、今回披露されたのは「秘密を聞いてよ」だった。

曲の冒頭、会場に音が流れないトラブルがあり、やり直しになる一幕もあったが、富士葵さんは動じる様子を見せることなく、本来の立ち位置に戻ったことに貫禄とプロ意識を感じた。ファンからの「かわいいよ！」という場を和ませようとする優しさも目立っていた。 曲の前に「あー楽しい時間は終わってしまうんだなー」と話していたように、富士葵さんの「まだ離れたくない」という気持ちが表現された楽曲だった。それを表すように富士葵さんも「ずっと」という部分に力が入っていた。

最後に富士葵さんは「ありがとうございました！ またねー」とファンに感謝を述べる。名残り惜しそうに会場に幕が降りきるまで手を振り、まだ終わってほしくない、ずっと続いてほしいと思うライブの終演だった。

帰りには、富士葵さんとキクノジョーさんの複製直筆サイン入りのメッセージカードが配布され、2人の感謝の気持ちを受け取った。 4年もの間、コロナ禍の影響を受けてきたライブ。ようやくその呪縛から離れ、ファンとVTuberの距離はより近くなることができた。今回のライブはそのお互いの声援が十分に楽しめ、愛さえも感じられる演目になっていた。

富士葵さんは完全独立し、これからよりファンと歩んでいきたいという意思をしっかりと受け取れる内容になっていたのは、間違いない。

なお、新アルバム『THINK YOUR WORLD』についてはCDはBOOTHにて販売（外部リンク）。配信は各種サイトでリリースしているのでこちらも要チェックだ（外部リンク）。