荒木飛呂彦さんの漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第9部「The JOJOLands」が、2月17日(金)刊行の『ウルトラジャンプ』2023年3月特大号(集英社)で連載開始された。
先月号の次回予告ページでは「これはひとりの少年が、亜熱帯の島々で、大富豪になっていく物語───。」と告知されていた本作。
新章の連載開始にあたって、筆者は久しぶりに『ジョジョの奇妙な冒険』第1部「ファントムブラッド」の原作漫画とTVアニメを見返した。
改めて思うことは、いつだって『ジョジョの奇妙な冒険』は、この辛く厳しい現実に立ち向かうため、気高く生きていくための勇気を与えてくれるということだ。
※この記事には、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のネタバレが含まれています。ご了承ください。
一番好きなのは、誰がなんと言おうと第7部「スティール・ボール・ラン」。理由は、この部の掲げるテーマが、最も現代社会に求められているものだと感じているからだ。 『ジョジョの奇妙な冒険』では、作者である荒木飛呂彦さんが明言している通り「人間賛歌」が描かれている。
第1部「ファントム・ブラッド」の物語は、英国貴族・ジョースター家の一人息子であり、本当の紳士を目指す主人公のジョナサン。そして、ジョースター家の乗っ取りを画策するディオ。この2人が出会うところから幕を開ける。
陰謀が渦巻く2人の青春。その最中、ディオは「人間ってのは能力に限界がある」「人間は策を弄すれば弄するほど予期せぬ事態で策がくずれさる」と吐き捨て、石仮面を被って“人間を超えた存在”である吸血鬼へと自らを変貌させる。
対してジョナサンは、勇気と知恵を振り絞り、あくまでも人間として立ち向かっていく。
(特に初期シリーズにおける)『ジョジョの奇妙な冒険』の世界観では、人間を超越する能力を手に入れれば、あるいはその能力を悪用すれば、自分の成就したい野望に向けて近道をすることもできる。
しかし、主人公であるジョナサンは、一歩一歩、誇りの道へと足を踏み出し、その歩みを止めずに自分の為すべきことを成していく。
人智を遥かに超えた異種族達との戦い(第2部「戦闘潮流」)にも、エジプトへと向かう50日間の旅(第3部「スターダストクルセイダース」)にも、街に巣食う邪悪を追う群像劇(第4部「ダイヤモンドは砕けない」)にも、ギャングたちの抗争劇(第5部「黄金の風」)にも、刑務所で巻き起こる陰謀(第6部「ストーンオーシャン」)にも、乗馬による北米大陸横断レース(第7部「スティール・ボール・ラン」)にも、記憶と家族を巡るサスペンス・ミステリー(第8部「ジョジョリオン」)にも。 第5部「黄金の風」のエピソード「今にも落ちてきそうな空の下で」やエピローグ「眠れる奴隷」の中でも語られるように、例え“運命”の奴隷として苦難の道を歩むことになったとしても、“真実に向かおうとする意志”さえあれば、いつかはたどり着ける。
それは必ずしも自分一人で成就するという形ではなく、その強い意志こそが、どこかの誰かに希望として伝わっていき、巡り巡って完遂されることとなる──『ジョジョの奇妙な冒険』で描かれているのは、そういう人生哲学だ。
その哲学に貫かれている『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するキャラクターたちの台詞や行動は、どんな苦難や試練、逆境の中でもあろうとも、立ち向かう勇気を奮い立たせてくれる。
先月号の次回予告ページでは「これはひとりの少年が、亜熱帯の島々で、大富豪になっていく物語───。」と告知されていた本作。
新章の連載開始にあたって、筆者は久しぶりに『ジョジョの奇妙な冒険』第1部「ファントムブラッド」の原作漫画とTVアニメを見返した。
改めて思うことは、いつだって『ジョジョの奇妙な冒険』は、この辛く厳しい現実に立ち向かうため、気高く生きていくための勇気を与えてくれるということだ。
※この記事には、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のネタバレが含まれています。ご了承ください。
目次
勇気と知恵で困難に立ち向かう『ジョジョの奇妙な冒険』
筆者の青春は、間違いなく『ジョジョの奇妙な冒険』との青春だ。10代の頃から愛読し、多大な影響を受けてきた。一番好きなのは、誰がなんと言おうと第7部「スティール・ボール・ラン」。理由は、この部の掲げるテーマが、最も現代社会に求められているものだと感じているからだ。 『ジョジョの奇妙な冒険』では、作者である荒木飛呂彦さんが明言している通り「人間賛歌」が描かれている。
第1部「ファントム・ブラッド」の物語は、英国貴族・ジョースター家の一人息子であり、本当の紳士を目指す主人公のジョナサン。そして、ジョースター家の乗っ取りを画策するディオ。この2人が出会うところから幕を開ける。
陰謀が渦巻く2人の青春。その最中、ディオは「人間ってのは能力に限界がある」「人間は策を弄すれば弄するほど予期せぬ事態で策がくずれさる」と吐き捨て、石仮面を被って“人間を超えた存在”である吸血鬼へと自らを変貌させる。
対してジョナサンは、勇気と知恵を振り絞り、あくまでも人間として立ち向かっていく。
『ジョジョの奇妙な冒険』に通底するテーゼは、この2人の掛け合いに象徴されている。ディオ「あがいてもあがいても人間の努力には限界があるのさ! (中略)猿(モンキー)が人間に追いつけるかーッ、おまえはこのディオにとってのモンキーなんだよ、ジョジョォォォォーッ!!」
ジョナサン「……ちがう 信念さえあれば、人間に不可能はない! 人間は成長するのだ! してみせるッ!」 『ジョジョの奇妙な冒険』第1部「ファントムブラッド」単行本第5巻「炎と氷!の巻」より引用
(特に初期シリーズにおける)『ジョジョの奇妙な冒険』の世界観では、人間を超越する能力を手に入れれば、あるいはその能力を悪用すれば、自分の成就したい野望に向けて近道をすることもできる。
しかし、主人公であるジョナサンは、一歩一歩、誇りの道へと足を踏み出し、その歩みを止めずに自分の為すべきことを成していく。
シリーズを跨ぎ受け継がれていく『ジョジョ』のテーゼ
そのジョナサンの姿やテーゼはシリーズを跨ぎ、『ジョジョの奇妙な冒険』全体に受け継がれていく。人智を遥かに超えた異種族達との戦い(第2部「戦闘潮流」)にも、エジプトへと向かう50日間の旅(第3部「スターダストクルセイダース」)にも、街に巣食う邪悪を追う群像劇(第4部「ダイヤモンドは砕けない」)にも、ギャングたちの抗争劇(第5部「黄金の風」)にも、刑務所で巻き起こる陰謀(第6部「ストーンオーシャン」)にも、乗馬による北米大陸横断レース(第7部「スティール・ボール・ラン」)にも、記憶と家族を巡るサスペンス・ミステリー(第8部「ジョジョリオン」)にも。 第5部「黄金の風」のエピソード「今にも落ちてきそうな空の下で」やエピローグ「眠れる奴隷」の中でも語られるように、例え“運命”の奴隷として苦難の道を歩むことになったとしても、“真実に向かおうとする意志”さえあれば、いつかはたどり着ける。
それは必ずしも自分一人で成就するという形ではなく、その強い意志こそが、どこかの誰かに希望として伝わっていき、巡り巡って完遂されることとなる──『ジョジョの奇妙な冒険』で描かれているのは、そういう人生哲学だ。
その哲学に貫かれている『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するキャラクターたちの台詞や行動は、どんな苦難や試練、逆境の中でもあろうとも、立ち向かう勇気を奮い立たせてくれる。
この記事どう思う?
関連リンク
0件のコメント