好感度調査「好き嫌い.com」の危険性と現代性 アンチとファンの対立が激化

ファンvsアンチ「好き嫌い.com」で激化する争い

一方で私たちが有名人や著名人に抱く好感度というものは、本来は「好き」と「嫌い」の2つで単純に表せるものではない。感情とは本来重層的であり、グラデーションがある。

「好き嫌い.com」は、それをあえて二極化してラベリングしている。その単純明快さが成功要因のひとつではありつつも、その結果を絶対的な数値として、人物・キャラクターにダイレクトに紐づけられる形で可視化してしまっている。

それによって、実質的に匿名掲示板のように機能しているコメント欄で起きているのは、「好き」の極致である“ファン”と「嫌い」の極致である“アンチ”による、見るに耐えない壮絶なる舌戦だ。

当人たちはそれが楽しいのかもしれない。しかし、HIKAKINさんが動画の中で「我々からすると地獄みたいなサイトなんですよ」と評したように、タレントの側からするとその活動や精神面に影響を与えかねない、大きな火種を抱えているサービスのように思える。

「好き/嫌い」を押す前に考えなくてはいけないこと

HIKAKIN「地獄みたいなサイトなんですよ!これ」/画像は「オワタ…ヒカキン嫌い51%!?!?!?!?」のスクリーンショット

人は誰しも、自分の価値観が正しいか確かめたい、もっと言えば正しいと思いたいという心理を抱いている。特に憎しみ、悲しみ、怒り、妬み、恨み──負の感情を抱いていれば尚更だ。

当然、「好き嫌い.com」の投票結果は、あくまでも「好き嫌い.com」を閲覧しているユーザーのみの集計であり、ある種のバイアスがかかっている。

その上で「好き嫌い.com」では、可視化された「好き/嫌い」の数字の下、自分の価値観を押し付け合う不毛な争いが繰り広げられている。

自身の考えとはそぐわないコメントに対して熱くなってしまう前に、「自分と他人の価値観は、異なっていて当たり前」だという前提のもとに見るべきサイトだろう。

客観的なデータや専門家による批評でもなく、再生数やフォロワー数のような単純な数でもない、「好き/嫌い」という感情が重要とされている今だからこそ、冷静なふるまいを心掛けたい。

超情報社会を生きる

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4件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9530)

好き嫌いを選ばせるのが純粋に良くない。安全じゃない。明らかに対立させる事を目的にしてる。恐らく、広告収入の為?あるいは快楽的?人として良くない事だと思う。検索すると色んな所で出てくるから、早めに規制してほしい。モラルの低下や誹謗中傷などの社会的問題を引き起こしてしまう。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:8329)

運営も嫌い派を調整して好き派を煽っているのでこのサイトはとても酷いです

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6815)

好き嫌いで投票する事自体は問題なくて、コメントを書かせる事、投票と反対側の意見を表示させる事が対立を生むため問題に思える。銃が悪いのではなくてそれを正しく扱えない人間の方だからねいつの時代も

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