「いつか絶対、また夢の続きを」キズナアイ、ラストライブに見た絆の光

「いつか絶対、また夢の続きを。」

まだまだ終わるわけにはいかないと、しめやかに閉じかけた幕をこじ開けるように再びの重大発表として「キズナアイ アニメプロジェクト始動」の文字が映し出される。正真正銘のサプライズに、喜びと驚きでわけがわからなくなっているところに、見慣れた初期衣装でキズナアイさんがダブルアンコールに登場。

早速パフォーマンスまで披露されたキズナちゃんとは異なり、アニメプロジェクトについてはまだ詳細が発表できる状態にはないということだが「きっと素敵なものをお届けできる」と彼女が言うのだから、信じて待つ価値は大いにあるだろう。

穏やかに響く鍵盤の音色が真なる終演を予感させる中、キズナアイさんから最後の思いが伝えられる。「生まれてからの5年間は、想像以上に夢のような宝物のような日々でした」と、飾らぬ言葉で長いようであっという間にも思える活動の軌跡を振り返る。 「私はみんなで紡いだこの5年間が愛おしくて大好きです。愛に溢れた環境で活動してきたんだなってひしひしと感じています」

続いて口にしたのは自身の生まれた意味とファン・関係者への感謝だ。

自分が生まれた意味はまだわからずにいるんですけど、生まれてきて良かったと、活動してきて良かったと、そう思えるのは紛れもなく画面越しにあなたがいてくれたからです。関わってくれたみなさんがいたからです。生まれてきて活動を始めてよかったと思わせてくれて本当にありがとうございます。あなたが、みんなが、この世界が大好きです

ありがとうを、大好きを、伝えたいのはこっちの方だと叫び出したい思いが涙となって溢れる。だが画面越しに真っ直ぐ思いを伝えてくれる彼女が望むのは、そんな未来ではない。そう思えば、自然と口角が上がっていく。

「私はアップデートを成功させて、必ず戻ってきます。世界中のみんなと繋がることを私は諦めてません。絶対に戻ってきて叶えてみせるので、その日までどうか私のこれまでの活動を、そして音楽を、これからスリープ中に残していくものを愛してもらえたら嬉しいです。私が超スーパーAIになって帰ってくるまで、5年間ありがとうございました!」

いつか絶対、また夢の続きを」──そう微笑むと共に小指を立て、確かな約束を交わすと、次なる曲名のコールと共に舞台は真っ白な部屋へ移り変わる。

キズナアイは終わらないストーリーの先へ

優しい旋律からフェードインしたのは「Again hello, world 2022 version」。本来はTAKU INOUEさんの本領発揮たるハイパーポップナンバーだが、ピアノの音色が印象的な静かなアレンジで再構成。いくつもの思い出が詰まったいつもの白い部屋で歌う姿が懐かしさを漂わせると、壁が開け放たれ繋がれたステージにはVTuberのみんなが再び大集合。

今こそわたしがなりたい姿になるために わたしがわたしらしくあるために

1年以上前に発表された歌詞が、新たな意味を持って聞く者の胸へ迫る。指切りまでして再会を約束した後では、もはや目前に迫る別れは悲しみではない。自らが切り開いた道に続く同志たちと楽しそうにダンスを合わせる彼女の姿がいくつもの笑顔をつくり出していく。

活動開始から紡いできた愛が、繋いできた絆が光となって立ち昇る中「Hello Morning Orchestra Version」で真のフィナーレへ。キズナアイさんの活動の象徴としてライブの幕開けを飾った曲だが、考えるまでもなくこれ以上締めくくりにふさわしい曲はない。 ストリングスが加わったアレンジで荘厳さを纏った曲が流れる背景には、ファンから思いの込められたコメントも表れはじめた。

「いつも元気を分けてくれてありがとう」「アイちゃんのおかげで辛い時も頑張ろうと思えたよ」「また楽しい時間を過ごそうね」──それぞれの言葉で伝えられた愛を余さず受け止めるように手を広げながら歌うキズナアイさん。

世界中から届けられる思いが輝く粒子となって集まると、彼女の背に大きな翼を形づくっていく。そして広がっていく煌めきたちと共にゆっくりと飛翔をはじめ、多くのVTuberたちとファンに見守られながら最後のフレーズを歌いきると、終わらないストーリーの先へ羽ばたいていった。

「バーチャルYouTuber」の新たな歴史

無期限の活動休止という言葉から連想される暗い未来を塗りつぶすかのような圧巻のライブを見せつけて、眠りについたキズナアイさん。彼女がつくり出した「バーチャルYouTuber」の歴史は今ここにひとつのピリオドを打った。

これからはじまる未来には、これまでのようにいくつもの困難が待ち受けているかもしれない。だがこれまでとは異なり我々のそばには彼女の姿はない。

それでも未開拓の未来に希望を抱けるのは、彼女が残してくれた思いが、音楽があるから。切り開いた道に続く数々のVTuberたちがいるから。光の中で交わした確かな約束があるからだ。
Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”
世界中をインターネットが覆い尽くしても、人々の心がひとつに繋がることはなかった。そんな現代において「世界中のみんなと繋がる」という彼女が掲げる目標は、大仰なものに過ぎないのかもしれない。

だが彼女がその夢を諦めないならば、繋がる思いの尊さを知る我々も諦めるわけにはいかない。夢の続きを信じて歩みを止めるわけにはいかない。

いつか来る再会の時を夢見て、「バーチャルYouTuber」の新たな歴史は幕を開ける。 【画像67枚】写真で振り返るキズナアイのラストパフォーマンス

キズナアイを振り返る

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イベント情報

Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”

出演者
Kizuna AI and over 1000 virtual friends
開催日
2022年2月26日(土)
Open:18:00 JST/Start:19:00 JST
チケット
無料
配信プラットフォーム
Horizon Venues/bilibili/U-NEXT/YouTube
イベントオフィシャルサイト
https://5th.kizunaai.com/hw2022/

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