ちゃんねる鰐の“生き物屋敷”でインタビュー　80種類の生き物を飼育するYouTuberの素顔

生き物系YouTuberというジャンル

──趣味でアップしていた頃と違って、YouTuberとしてやっていく上で、自分で決めたルールはありますか？

ちゃんねる鰐　自分が出したいもの、自己満足の動画ではなくて、視聴者の人が見たいと思うような、喜ぶような動画のネタづくりは心がけてますね。

YouTuberになりたい人って、自己紹介がしたいのか、デビューしていきなり質問コーナーをやるじゃないですか。でも、こっちからしたら知らない人の話を聞きたくはない。

僕のチャンネルの場合、僕の素性よりも生き物が見たくて来てると思うので、そういうニーズは考えて動画をつくっています。

飼育に関しても、珍しい種類の生物は論文を読んだり、動物園に電話したりと自分なりに研究したり識者に聞いたりしています。

──現在、YouTubeでも生き物系ジャンルは人気を博していると思います。鰐さんが動画を投稿し始めた当時はどうでしたか？

ちゃんねる鰐　それがあんまりいなくて。当時は、僕と同じようにあくまで趣味としてアップしている人がほとんどだったと思います。その中でそこそこ登録者がいる人はいましたが、いわゆる「YouTuber」として活動してる感じの人だと、爬虫類系だと1～2人だったと思いますね。

毎日の飼育について

ちゃんねる鰐　生き物の世話自体は1日で3～4時間だと思います。爬虫類が多いのもあって、実は毎日こまめに世話しなきゃいけないやつはそんなにいないんです。

──現在飼われている生き物は80種類位とのことでした。餌のルーティーンはどのように管理されているのでしょうか？ 「この子昨日あげたっけ？」みたいにはならない？

ちゃんねる鰐　ならないですね（笑）。覚えてるんです。

生き物を飼うのって、餌をやる時が一番楽しいと思うんです。だから僕は餌やり忘れるとかじゃなくて、むしろ「早く餌やりてえ」ってなっちゃうんですよ。常に「こいつ、こないだ餌あげたからまだあげられないな……」という気持ちなんです。

「こいつは3日に1回」って決めたら必ずそうするとかじゃなくて、体型やフンの出方とかを観察しながら、そろそろあげてもいいかなという感じで飼育しています。

意外かもしれませんが、個体を見てるのでそこまで綿密に管理するような感じでもないんです。

──なるほど。それは理にかなってますね。ちなみに、世話の中で一番時間がかかる作業は？

ちゃんねる鰐　水替えは大変ですね。魚もだし、例えばミズオオトカゲの大きな水入れは、ポンプを使って水を抜いて、軽くなったら洗って、またホースを引っ張ってきて水を入れて──みたいな。かなりの力仕事だと思います。 ──めちゃくちゃ大変そうです！

ちゃんねる鰐　筋肉はあった方がいろいろ便利ですね。でかい荷物を運べるのは大事です。 ──たしかに、鰐さんはガタイも良いです。

ちゃんねる鰐　前は鍛えてましたね（笑）。

餌、どうしてますか？

──飼育費は月どれくらいかかっているのでしょうか？

ちゃんねる鰐　毎日餌をあげる子はそんなにいないんで、餌代はそこまでかかってなくて、餌は月で4万円ぐらいかな。

──意外に少ないです！ そんなもんなんですね。

ちゃんねる鰐　そうですね。とはいえ、自分もなるべく安い店を調べて、そこでまとめ買いをするようにしています。あとは野生で捕まえたり、そもそも餌のゴキブリを繁殖させたりもしていますからね。それで結構安く済んでる部分はあると思います。

──餌を捕まえに行かれることもあるのでしょうか。

ちゃんねる鰐　そうですね。買ったり育てたりもあるんですが、ザリガニが大好きな子が多いんで、捕まえにいきます。カエルとか魚を食べるやつもいるので、それも捕まえて。ただ、野生だと寄生虫がいたりするので、一度冷凍してから与えています。

──そんなに捕まるものなんですか？ ちゃんねる鰐　もう20年ぐらいやっていますからね、サッサッと（捕まえます）。ザリガニも1日でバケツ一杯分ぐらい捕れちゃう。

──餌と言えば、生き餌を与えることについて、視聴者の反応も若干賛否が分かれがちです。鰐さん的にはどう受け止めてらっしゃいますか？

ちゃんねる鰐　生き餌しか食べない子もいるので、生き餌をあげるのは生き物を飼う上でしょうがないと思ってるんですよね。ただ、かわいそうという気持ちはもちろんあったほうがいいと思います。それは尊重すべき感情だと思うんですけど、僕らも肉を食べてるし、頭ごなしに批判するのも違うと思う。 ちゃんねる鰐　獲物を捕まえに行って食べる様子も、生き物が本当にいきいきとしている姿も見てほしいという考えです。僕もネズミや鳥が生きたまま食べられるのは見てても「かわいそう」が勝っちゃう時もあります。本来、それが自然な生態なんですけどね。

費用面、一番かかるのは…？

ちゃんねる鰐　費用面では、温度調節のためにエアコンをつけっぱなしにしてる部屋が多いので、どうしても電気代はそこそこかかっちゃう。1年で50数万ほどでした。

逆に水道は年8万円、だから月に数千円ですね。驚かれるような維持費はそこまでかかってないと思います。

実は床材に結構お金がかかるかもしれませんね。エミューの飼育ケースは、下に藁を敷いてるんですけど、鳥って毎日ぶりぶりぶりぶりたくさんうんこするんで！　床材は毎日か2日に1回の頻度で交換してます。藁の場合、1回の床材交換で1000円分ぐらい使います。

──生き物の購入費用はどうでしょうか？

ちゃんねる鰐　10万円いかない時もありますけど、100万ぐらい一気にいくときもあります（笑）。

最初の頃はバンバンと買ってたんですけど、もうだいぶ生き物も増えてきて。もう家の中にスペースもなくなってきたので、今は月に1、2匹ですね。

それでも増えていく一方なんです。常にどうやってスペースを確保するか考えながら、しょっちゅう模様替えしています。

──家を案内していただいて思ったのですが、家具の配置から部屋の全てが、生き物中心の設計になってるじゃないですか。玄関のドアからして、水槽でほとんど開かなかったり（笑）。この家は生き物優先で、人間は寄り添うぐらいみたいな。

ちゃんねる鰐　そうですね（笑）。俺はあくまで世話係なんです。

生き物優先の生活

──と生き物を見せていただいた中で、ヤフオク！のお話も結構出てたと思うんですは、購入する時はオークションが多いんですか？

ちゃんねる鰐　一番多いのは生き物の即売会です。「生き物のコミケ」みたいなイベントに、全国のいろんなショップが一堂に会するんです。そこで一気にいろんな生き物見れるんですよね。

その中で面白い生き物、珍しい生き物がいたら買ってしまう感じです。

ヤフオク！は、爬虫類は出せないんですよ。生き物って、両生類までは法律上動物扱いされていないんです。

けれど、爬虫類以上は動物扱いされてるので動物愛護法に守られてるんですね。だから通販での取引はダメで。ちゃんと直接自分で見て「この子可愛い」と思った子を買ってくださいと決まっているんです。

それもあって、爬虫類は主にイベントで、両生類のカエルまではヤフオクを利用することもあります。

──生き物の即売会というと「レプタイルズイベント」みたいなものですね。

ちゃんねる鰐　そうです。浅草とかでやってます。

事前にSNSなどで入荷情報をチェックして「こいつは絶対欲しい」とか決めて、イベントも朝早くから並んで待つ時もあります。

でも現地で「うわ、この子欲しい」ってなることの方が多いですね（笑）。一期一会。

──飼育する生き物を選ぶコツやポイントはありますか？

ちゃんねる鰐　自分に「ビビっ！」てきて、欲しいっていう生き物を飼うのが一番です。でも、その中でも痩せすぎてないかとか──爬虫類だと共食いで噛まれたりして、指が取れてしまっている子もいるんです。「指とび」って言うんですけど。

例えば、ヒョウモントカゲモドキ（レオパードゲッコー）だと尻尾に栄養を蓄えてるから、尻尾がプリッと太ければ健康状態が良い。やっぱり元気な子のほうが良いと思います。ショップの人にも「餌は何を食べてますか？」とか「餌食い良いですか？」と聞くことも大事ですね。