ファンはフォロワーの2割「目の前に現れるまで信じない」
──1997年生まれの佐藤さんの口から「mixi」や「前略プロフィール」という単語が出てくるのが驚きでした。そもそもSNSを使い始めたきっかけは何だったんですか?佐藤 高校1年生のとき、当時やっていたバンドの活動を告知するために、しぶしぶTwitterを始めたのが最初です。リツイート機能があるから、簡単に広めてもらえると思って。
今でこそ複数のSNSを使ったり、それが仕事につながったりしてますけど、もともとはSNSに顔を出すのが嫌だったんですよ。だって怖いじゃないですか。知らない人たちばかりの世界に名前や顔を出すの。
──意外ですね。ちなみにインターネット自体に対しても怖さはあったんですか?
佐藤 インターネットそのものには早い段階から触れてました。小学生の頃から家にPCがあって、その頃からMobage(モバゲー)やGREE(グリー)など、ネットでゲームをすることには抵抗がなかったんです。チャットのやりとりも、自分が話さなければ名前や年齢もバレないので。
流行りに乗って「前略プロフィール」や「mixi」も使ってましたけど、今でもSNSだと思っていなくて、「みんながやっているから、なんとなくやっていたサービス」くらいの認識でしたね。 ──今ではどのSNSも使いこなして、数多くのフォロワーを抱えています。もっともフォロワーを増やすのに苦労したSNSはどれですか?
佐藤 ないです(笑)。最初は自分でもわからないうちに、勝手に伸びていったんですよ。そのあとは特性を理解した上で楽しむようにしていきました。たとえば私の場合、Twitterは自分を身近に感じてもらう、Instagramはファンの方とのコミュニケーションや私の写真、YouTubeはコスメやファッションの見た目にフォーカス、TikTokはCMに近い認知と、目的別に使い分けてます。
──結果的にすごい量のフォロワーがいますが、たくさんの人に見られていることへの恐怖はないんですか?
佐藤 ないです! だって実際に40万人もいるわけないと思ってますもん(笑)。バンド時代に、ライブで恵比寿のLIQUIDROOMがパンパンになったとき、本気でビビりましたから。「ここに来ている人は、みんな私のことを知ってるの!? 好きなの!!?」って。
リアルで確認しないことには信じられないんですよ。フォロワーのうち、私のことが本当に好きな人の数は2割だと思っているので。だから、40万人が目の前に現れる日まで、数の多さに恐怖を感じることはないと思います。
「SNSで嘘をつくインフルエンサーは消えていく」
──佐藤さんの肩書きである“インフルエンサー”は、一般的にはまだまだ新しい職業です。ご自身の中でインフルエンサーの定義はありますか?佐藤 「誰かに真似をされる人」です。服装や見た目、持ち物、行動とか、その人の趣味嗜好・一挙手一投足が他者の行動に影響を与え、広がる──それがインフルエンスの意味だと思うので。
ファンの方々がたくさんいるだけでは、インフルエンサーじゃないかなって。結果的に、その人を中心にしてお金やモノが動いていかないと。
──お金やモノを動かすインフルエンサーは、一方で、新しい職業であるがゆえに、うがった見方もある印象です。海外では、インフルエンサーを多数起用して大々的に宣伝して人を集めたけれど開催できなかった音楽フェス「FYRE」の事例もありました。インフルエンサーに欠かせない条件とは何だと思いますか?
佐藤 めちゃくちゃ簡単なことなんですけど「嘘をつかないこと」ですね。1を発したら120まで到達できるくらい、大きく広く拡散されるのがSNSなので。
飲んでないのに飲んだって言ったり、使っていないのに使ったって言ってオススメしたり、本当に小さな嘘が大きな嘘になる。だから、これからはどんな小さな嘘もつかない人だけが「インフルエンサー」って呼ばれていくんだと思います。 佐藤 最近はYouTuberやタレントなど、そもそも「インフルエンサー」と呼ばれる人が増えましたよね。どんな業界でも数が増えれば自然に淘汰されるというか、信頼のある人に絞られていくはずです。嘘つきが消えていくと思います。
──SNSの影響力を認識した上で、嘘なくSNSを使うべきだと。「ネオインフルエンサーラボ」公式サイトのトップページにある“間違ったSNSの使い方や捉え方”も、「嘘をつく」を指しているんですか?
佐藤 もちろん嘘をつかないのは大前提。それだけじゃなくて、SNSを世界の全部だと思っちゃうのは間違ってるし、危険だなって。
たとえば自分の友達同士が、似たような空や同じ場所の写真をアップしていると、「私抜きで遊んだの?」って不安になっちゃう人もいるじゃないですか。でも本当は、たまたまそうなってるだけかもしれない。
個人的にSNSはSNSであって、必ずしも日常の延長線上ではないので。だからこそ、SNS上の情報だけに振り回されないのが健全な使い方だと思います。
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