ハハノシキュウからのみなさんへのアンサー(解説版)
※必ず音読するか、あなたの心の中で読んでください。その方がより一層楽しめますハハノシキュウ あれは仕事の休憩時間に仮眠して夢見たいと幽霊みたいに休憩室に幽閉されようとしてた時のことでした。KAI-YOU編集部からのダイレクトメールが解決法を求めるように意識が遠退いた一昨日の方向から届いたのでした。
そのまま記事になるとは知らずに僕は彼氏を血祭りにあげ、板付きのようなイカヅチを落としたのでした。会話中執拗に韻踏む彼氏にシンプルな返しをKAI-YOUのライターの手助けのつもりで誠心誠意、平均点以上の意見を添えてレーシングのようなスピードで返信をしたのでした。
休憩時間はもうほとんどありませんでした。
帰宅後を満たすように浴室から職質されそうな前髪を垂れ下げた僕がiPhoneを眺めると、ハハノシキュウがその知恵袋に凍てつくような返答をしてカタルシスを得るように語る自分を目撃するのでした。(変な表現ですが実際にこんな焦点でした)
しかも翌日にはテレビでもラップに免疫のない彼女へ現役のラッパーからアンサー、あったとか紹介されたらしいのです。仕事で視聴できず自問することしか出来ませんでした。
その夜にKAI-YOU編集部から、またメールがきて笑えるかなと思ったら腹減るはずの腹が減らなくなる自体になりました。
「例の記事ですが、「せっかくラッパーが相談に乗ってるんだから韻を踏んで返すべきなのでは?」という意見が多いので、改めて韻を踏んで書き直してもらえませんか?」と一回も韻を踏まずに「こんばんは」もなく困難なことを懇願してきたのでした。
コダック川口に「ドラッグなら好き?」と質問するような無茶振りです。
前振りが長引いて芋引いて、つまりは長芋を引いて、ここまで続いたわけですが、ここからが本来より四倍くらい問題がある本題の始まりです。
彼氏が会話中執拗に韻を踏んでくることに失望し知恵袋に質問し、豪傑同士が結合し曲げた鉄格子を別モンに変えるような質問主のフライパンの上で焼かれた不快感を、彼氏a.k.aラップが下手なガキが目玉焼きと一緒に食べるさまをけたたましく食器が擦れる音とともに想像して、僕は「別れた方がいい」と言いました。
しかし僕の経験上、「別れた方がいい」と言えば言うほど女は別れないのです。どうせ機嫌が直ってるサタデーナイトです。
韻を踏むのは1日2回までって言ってる間に焦げのついたフライパンを磨いたれよと言いたくなります。「別れた方がいい」と能書きを垂れても彼女の脳が聴いてくれないでしょう。
だからと言って「別れない方がいい、彼はいい彼氏だ」と認可しても鎮火したことにはなりません。そんなバケツに溜まった挫折のために仮説を立てて可決を取ろうと僕はがめつくことにしました。
ここまで僕の読みづらい文章をコントぐらいに音読してコンロぐらいに温熱していただいたあなたなら多少はお気付きになられていられると思います。
「インフルエンザレベルに韻踏むの変だ!と思っていた筈なのに意外と韻踏むの楽しいかも?」と諭した自分がいることに。
古文の授業で習うように元来、日本人は韻文を心地良く感じられる民族なのです。つまり、あなたが生理的に嫌っているものの正体は韻ではないのです。(この一文に韻がないことに寂しさがありませんでしたか?)
この始末を、細木数子のようにズバリと言うと、
“彼氏のフロウが生理的にキモい”のではないでしょうか?
フロウとはラップの仕方、言い方、踏み方です。「無理、ダメだから」と塗り固められた壁を飛び越えるくらいフロウがキモいのではないでしょうか?
「Yo!Yo!Yo! 俺はまるで糖尿病の大統領!」みたいな感じでしょうか?
間違った価値観が始まったと思っても無理はありません。まずは彼氏のフロウを格好良くする所からイマイチでも、今一度理解してみませんか?
という具合にさりげなく「別れない方がいいよ」的な話に持っていくと、大抵の女は嘘みたいに別れてくれます。最初から「別れた方がいい」と言ってはいけないのです。
読むだけで口喧嘩が強くなるコラム
いかがだろうか?これが、即興で韻を踏んでラップするフリースタイルはもちろんのこと、そのフリースタイルでラッパーとバトルを行うMCバトルの一線で活躍するハハノシキュウさんからのアンサーだ。
ハハノシキュウさんが言っている通り、「韻を踏む」ことはとても気持ちの良いもので、聴く方としても心地よい。ハハノシキュウさんからのアンサーを読んだあなたなら、多少は韻を踏むことの気持ち良さに気付けたと思う。
そんなハハノシキュウさんは、現在KAI-YOU.netで不定期ながら「読むだけで口喧嘩が強くなるコラム」を連載中。今のところ番外編を入れて全3回のコラムが掲載されているので、そちらもぜひチェックしてみてほしい。
ハハノシキュウ/『さっき初めて会った人の結婚式の祝辞』
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