アニソンが前衛的になりすぎてユーザーを置いていってる
──最終的には、OxTの2人がいたから日本のアニメ業界の音楽が変わったと言われるようになるのが目標でしょうか?Tom それはすごいっすね(笑)。
オーイシ いや、でも、Tomくんの『けいおん!』の曲はヤバかったもん。もう7・8年ぐらい前かな。今ほどアニメが市民権を得ていなくて、バンドマンからしたら「アニメクリエイターって何?」っていう、B級品をみるような目線でした。
Tom 固定観念的にね。
オーイシ そう思い込んでいた所に『けいおん!』で完全にカウンターを食らった。当時、日本のロックを牽引していたバンド仲間たちが「『けいおん!』のOPヤバい」って言ってましたもん。Tom-H@ckが、そこでアニメソングにハイブリット感を注ぎ込み出し始めたってことを、時代に足をかけてアンテナを張ってる人たちはちゃんと気がついていたんですよ。僕も「なんだこいつっ!」て思ってました(笑)。
Tom OxTも将来的にそう言われるような結果は残したいよね。
オーイシ でも、当時の『らき☆すた』とか『涼宮ハルヒの憂鬱』とか、全部よ〜くできてたよね。
Tom あー、これオーイシのアニオタスイッチが入っちゃったよ(笑)。
オーイシ だって、あそこにさ、今みたいに「OPやEDに選んでもらえるための楽曲をつくろう」みたいなコンペ感なかったよ!(笑)
Tom 当時は、クリエイターが革命起こしてやろうっていう気概があったんだよね。
オーイシ みんながみんな「革命起こしてやるぜ、アニソンなめんな!」的な熱気を持ってて、最高に気持ちよかった。
Tom リアルな話、当時の僕はお金も実績も全然なくて。CD屋に有名な人がつくったヒット曲が並んでても「これなら俺のほうがぜんっぜんすげえんだけどな」っていう勘違いもあったんです。だから「なんとかしてやるぜ!」っていう反骨心を僕も持ってたし、それはみんなが持ってたように思いますね。
──2006年から2009年ぐらいでしょうか?
Tom そうですね。その頃のアニメ・アニソンは、それが許されるような市場だったんですよ。
──なぜ、今はそれが許されなくなったんでしょうか?
Tom もう過剰なものが飽和したんだと思う。過剰で当たり前だし、逆に聴き飽きたからもういいよってなっちゃった。
オーイシ 90秒で何回転調させるか、どれだけ言葉数入れるかってことばっか考えすぎて、楽曲に物語がなくなってきてるんですよ。
Tom そうそうそう。 オーイシ ゆゆしき事態だよ! 「作品が売れない」とか言うけど、そりゃユーザー離れるわ! って思ってます。
──前衛的なものが増えすぎていると。
オーイシ 音楽的な意味でのオルタナティブって、ユーザーさん側の過剰な解釈がないと売れないわけですよ。でも過剰さを求めてやり過ぎると物語を崩しかねないし、アニソンの場合はアニメ作品に対しての冒涜にもなりかねない。それがいま、あまりにも横行しすぎている気がするんですね。
だから、僕はそれを反面教師として『野崎くん』の「君じゃなきゃダメみたい」をつくったんですよ。90年代風の「これだ!」ってサビを持ってきて、それが「気持ちいいね!」って感じで受け入れられた。
Tom そうだね。どんなジャンルでも、一つのことを突き詰めすぎちゃうと、その反動で戻ってまた歴史が繰り返すから。
オーイシ ここにも一つの答えがあるんじゃないかなと。今は、新しさと古さの折衷が求められている。古すぎてもダメだけど、新しさを追求しすぎて一番置いてけぼりにしちゃいけないユーザーさんまで置いてけぼりにしてないか、と。今ね、鼻の穴めっちゃ大きくして言ってますけど!
──今のアニソンが、過剰さに偏りすぎて聴き手を置いていっているという状況で、OxTとしてはどういったスタンスで楽曲をつくっていかれるのでしょうか? OxTの曲からは、すごく正統なアニメの王道感も感じられるのですが。
Tom 王道感はある。
オーイシ 王道感はありながら、繰り返しになりますが、僕らのいいところは「カラフル」さだと思うので、まず作品ありき。そこからさらに、自分たちの輝きを出していきたいと思います。僕はTomくんのことを信頼しているから、彼を叩けば新しいことは出てくると思ってるんですよ。
──打出の小槌みたいな(笑)。
オーイシ そうですね(笑)。それで、音源でもライブでも、Tomくんの新しさをユーザーさんにちゃんと向けて大衆性を獲得するのが、ボーカリストの僕の仕事だと思っています。歌はもちろん、ライブの振り付けとか、その楽しみ方も含めて、そういう奥行きを出していくのが僕の役目なんですよね。
Tom いいバランスですよね。
アニソンという共通言語で誰も置いてけぼりにしないライブを
──これから初のアルバム発売、そして4月にはワンマンライブも控えられていますよね。Tom ライブに関してはもう、オーイシさんの大きな船に乗っているような安心感があるので、ポジティブな意味で「ストレス発散」という気持ちでいます。全部任せられるから、僕がMCで失敗してもカバーしてくれるだろうし、僕は楽しんでアーティスト活動できる。これが最高ですね。
オーイシ 船をつくる身にもなってみてくださいよ〜(笑)。でも、そう言ってくれるとありがたいです。
──どんなライブになるんでしょうか?
オーイシ 僕は、アニソンは共通言語だと思っていて。イントロが鳴った瞬間にみんなで騒げる瞬発力があって、みんな作品が好きでライブに来ているんだなってステージにいても感じるんです。そこを大事に、さらに奥行きをプラスしてあげたい。
だから、このアニソンでどういう風に楽しめばいいかっていうのを、ライブでちょっとレクチャーをするんですよ。アメソンのユーザーさんからは盛り上がりたくてうずうずしてるエネルギーを感じるから、そこをナビゲートするのが僕らの役目。OxTでは誰も置いてけぼりにしないライブをしようねって話をよくしています。
Tom それはよく言ってますね。
オーイシ いろんな経路からライブに来てくださると思うんですよね。アニソンが好きで、作品が好きで、Tom-H@ckが好きで、オーイシマサヨシが好きで。その人達を誰も置いていかないのがOxTの務めであり、いいところだと思ってます。そのためにはなんでもします。作品を冒涜しなければ、自分たちが恥をかいてもいい。みんなを最高に楽しませたいですね。
──例えば、アニソンが好きだけどライブは怖いと思ってる人もぜひきてくれ、と。
Tom そういう人は逆に相当楽しめるんじゃないかな。
オーイシ ぼっち参戦も大歓迎ですし、むしろ仲間つくって帰りやがれ! オフ会でもしたらどうやねんって感じですよ!(笑)
目標は・・・宇宙!?
──これから、今までと違うこともやってみたい、といったお考えはありますか?Tom 俺あるよ! 今まではオーイシさんはボーカルとしてのみの参加だったけど、オーイシさんのギターと俺のギターを融合させて、OxTは真価を発揮する。だから、俺たちまだ本気出してないんですよ? まだスーパーサイヤ人になる前の段階。
オーイシ 正確には、片方ずつスーパーサイヤ人にはなってるけど、フュージョン前の状態ね。
Tom そうそう、フュージョン前。次の作品では、アレンジで有無を言わせないようなものすごいものをつくって、ギターも楽曲もめちゃくちゃかっこいいヤツをつくる!
オーイシ 確かに、OxTの真価はそこにあるような気がしますね。
──今まではボーカルとコンポーザーだったのが、ギタープレイヤー同士として新しいステージに立つんですね。
Tom 本気出したらすげーところまでいけると思いますよ。まかせてくれ!
オーイシ いっちゃいますか? ……宇宙。
Tom 宇宙!?
オーイシ 火星ライブ、やっちゃいますか。マクロスみたいに!
Tom マクロス!? 制作費やばそう(笑)!
オーイシ それはもう楽しみですね。次は宇宙でライブしよう!
Tom やっちゃいますか!(笑)
──お話を聞いていて、とてもワクワクしています。楽しみです。
オーイシ ただね、一つだけ注意点があって……
Tom なに?
オーイシ 僕ら、あんま仲良くないんですよ……!
Tom また! それ言うと本気にしちゃう人も多いんだから(笑)
──これだけ気さくな関係を見せられているので、さすがに信じません(笑)。今日はありがとうございました!
OxT // オクト
ユニット
オーイシマサヨシ(Vo)とTom-H@ck(サウンドプロデュース)による二人組デジタルロックアーティストユニット。
2013年にTom-H@ck featuring 大石昌良として「Go EXCEED!!」「Perfect HERO」の2枚のシングルを発表した後、2015年にはユニット「OxT」として発展的にリスタート。
OxTとしてのデビューシングル「KIMERO!!」を皮切りに、「Clattanoia」「STRIDER’S HIGH」と矢継ぎ早のタイアップ攻勢を展開中。
3/2にはOxTの「ダイヤのA」関連楽曲のベスト盤「ACE OF DIAMOND」が発売される。
特に2015年8月に発表したシングル「Clattanoia」では、iTunes Store・moraの2大配信サービスの両方で総合チャート1位を獲得。
Tom-H@ckが創りだす刺激的なサウンドプロデュースワークに、オーイシマサヨシの清涼感漂うボーカルが印象的で、
さいたまスーパーアリーナや横浜アリーナでの大箱イベントでのパフォーマンスでも集まったオーディエンスに抜群のインパクトを与えるなど、注目度は加速度的に増している。
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ライブ情報
OxT-1stワンマンライブツアー ~Hello!! New World!!~
- 東京公演
- 日時
- 2016年4月1日(金) 開場17:30/開演18:30
- 会場
- 新宿ReNY
- 大阪公演
- 日時
- 2016年4月16日(土) 開場16:00/開演 17:00
- 会場
- ⼼斎橋JANUS
- チケット
- スタンディング ¥3,800(税込)
【一般発売】
・キョードー東京
0570-550-799 http://www.kyodotokyo.com
・ローソンチケット
0570-08-4003 (Lコード:71647) http://l-tike.com/d1/AA02G07F1.do?DBNID=1&ALCD=1&LCD=71647&LCD=72030
・チケットぴあ
0570-02-9999 (Pコード:288-272) http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1602590
・イープラス
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002167724P0050001P006001P0030003P0030004
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CKS
強い×強い