中洲のホストクラブに潜入しようとするも・・・
男らしさを学ぶために、ヒゲさんが飛び込んだのは夜の世界。お店は、博多の有名な歓楽街・中洲にあるホストクラブでした。「ヒゲドライバーのルーツを巡る旅」の重要なポイントだったものの、ヒゲさんが働いていたのはもう10年以上も前のこと。残念ながらそのお店はもうなくなっていました。
ただ、同じ系列店で、ヒゲさんもヘルプとして駆けつけたこともあるという「華士夜」というお店が今もやっているということで、事前に電話でアポを取ろうとするも、何度かけても誰も出ないため、夜になって突撃してみました。 しかし、やっぱりお店は開いていません。近くのキャッチのお兄さんたちに聞き込み調査を開始。 が、ホストクラブについて質問する男たちがあまりに怪しく映ったのか、あまり相手にされず・・・。 そもそも、中洲でホストクラブを扱っているキャッチは中々いないそう。そして、どうやら福岡は最近取り締まりが厳しく、ホストクラブは夜ではなく早朝営業が多いという情報も。
「華士夜」の入っているビル周辺を縄張りにしているキャッチの人が言うには「最近ビルにホストが出入りしてるのを見かけない」とのことで、諦めかけていた時、なんと、同じ系列店の別店舗「夜141」がすぐ近くに存在することが判明! 早速行ってみました。すでに0時近く。事情を説明すると、オーナーの許可もいるし閉店間際ということで、翌日出直すことに。
ついにホストクラブへ
そして翌日。オーナーに問い合わせてくれたそうで、お店出身で今東京で頑張っている人なら取材しても構わないという許可をいただき、ヒゲさんと筆者の2人でついに入店! ヒゲさん曰く、オーナーは中洲に複数の店舗を持っていて、とてもきっぷがいい方だったそう。オーナーの男気に感謝!テーブルには、親身になって協力してくれたホスト長の陸さんと、もう一人ルキさんという方がついてくれました。
陸さん
「Club 夜141」のホスト長。ホスト歴は10年以上だという。駆け出しの頃は、ひたすらピエロに徹して引き立て役として振舞っていたのだそう
一同 カンパーイ!!ルキさん
「Club 夜141」のホスト。別のお店から独立、バー経営などを経て再びホストに。落ち着いたキャラで、年上から人気
「この人が、昔系列店でホストとして働いていて、今は東京でミュージシャンとして活躍されているヒゲドライバーさんです」
「ヒゲ何さん?」
「ヒゲドライバー」
「あ、ヒゲドライバーさん。じゃあ早速ヒゲドライバーさんにコールでもしますか!
いきましょうまいりましょう、ぐーっとぐっとぐっといきましょうまいりしょう、ぐーっとぐっとぐっとまいりましょう!!」
「これがホストのコール!」(ホストクラブ初体験)
「ヒゲドライバーさんはなんでホストになったんですか?」
まずはこれまでの事情を説明。かくかくしかじか。
「男らしさを学びに。僕も、最初は人見知りで根暗だった自分を変えたくてこの世界に入ったので、気持ちわかります。それで、ホストやって男らしくなれたんですか?」
「いやー、だっていまだに童貞ですもん(笑)」
鋭く切り込むホスト長!
席に座ってものの5分も経たないうちに、ホスト長が鋭く切り込んでくれます。「失礼ですけど風俗とかは?」
「一度だけ。とある歌手の人で、神社の家系で、なんかそういう運勢的なのが見えるという人がいて。事務所の社長の村田さんが、僕が上京してきたことを話したら『一ヶ月以内に風俗にいくと仕事運が爆上がりする』と言われて」
「今まで溜め込んでた悪いものを全部放出しろと」
「忍者の習わし的な、初めて行く土地ではそこの女性を抱いてその土地のことを知るみたいな意味合いらしく。
それで村田さんから風俗に行った方がいいと言われて、行ったんですよ。でも、やっぱりピュアな恋愛をしたいという気持ちがあって、僕は最後までできなかった」
「でも、ホストにも童貞はいますよ」
「僕もホスト時代はむしろ積極的にネタにしてましたね(笑)。女性の食いつきがいいので」
「音楽やってる人はモテるイメージあるけど違うんですか?」
「ファンにはモテますし、実際ファンに手を出す人もいますけど、僕は『ヒゲドライバー』じゃなくて一人の人間として恋愛がしたいんです」
「まあ手出しちゃいますよね、普通は。でも、自分個人を見てほしいっていう気持ちもすごいわかります」
ホスト時代に出会った中洲の女性を歌っている曲
「ホストは大学の時にやってたんですか?」
「そうですね。1年くらい続けました。ドンペリ飲んでベロベロになっても、そのまま一応授業には出ていつも爆睡してました。授業終わって起きたらいつの間にか床で寝てたり」
「ホストをやってて良かったことというか、今につながってることはありますか?」
「こうしてネタにできるって意味でもやってて良かったですし、『東京ソーダ』っていう、ホスト時代にキャッチしてて出会った女性とのエピソードが元になった曲もつくれました」
「その子も中洲で働いていた水商売の子だった。お店に来てくれることはなかったけど、何度か声かけるうちに打ち解けて。普通に楽しくしゃべってるんだけど、目が虚ろな子でした。睡眠剤だと思うんだけどクスリが手放せないって言ってて。ある時から姿を見かけなくなっちゃったんですけどね」
10年打ち込める理由
「CD売れなくなったっていう話は聞きますけど、売れるまで厳しかったですか?」
「そうですね。ぶっちゃけ食べれるようになったのはここ3年くらいのことです」
「でもすごいっす。ミュージシャン志望でホストやってるってヤツも割といますけど、成功したって人の話聞いたことないですよ。売れたきっかけとかあるんですか?」
「アニメの曲がヒットしたことですね」
「やっぱり一発がデカい?」
「でも、その一発の大きなチャンスをつかみ取るまでに、10年近くかかってますから。いろんな実績をコツコツつみ重ねてきて、やっとものにした。音楽を始めたのはモテたかったからなんですけど、強い気持ちとかがないと、絶対続かない」
「ホストもナルシストじゃないとできないっす。まず自分に自信をもてるか、その上で努力できるかどうか。僕も、絶対売れるぞって野心があったから10年以上続けられてきたし、今の地位があると思ってます」
「ほんとその通りですね。僕も、音楽で世界を変えたいっていう野心を持ち続けてきたからこそ、今があると思う」
「同じグループにいたホストの先輩が、今音楽の世界で頑張ってるのは自分も嬉しいです」
「カラオケもあることですし、せっかくなら最後に自分の曲を歌ってもらえませんか!?」
「あー。『Kiss me』入ってますね。まさか、ホストクラブで自分の歌を歌う羽目になるとは(笑)」
ヒゲドライバーさんの恋愛観・音楽に大きな影響を与えた、亡くなったお父さんのこと、そして波乱万丈の『ヒゲドライバー』としての活動から現在へ至るまで──。
ねりまちゃん
「元カノが自分のことを友達に話す時に『教祖』って呼んでた」というところを何度も読み返しております
CKS
大長編ヒゲドライバーすぎる