連載 | #6 カルピス ゲンエキ[現役]インタビュー

ラテアーティスト 松野浩平ゲンエキインタビュー「巨大掲示板で武者修行していた」

ラテアートとはコミュニケーションツール

━━ラテアートは仕事として成立しているかと思いますが、まだまだ一般的な職業としては認知されていないかと思います。松野さんは、仕事を得るための自己ブランディングはどのように行っているのでしょうか?

松野 僕の場合は、ラテアートがお客様と繋がるためのコミュニケーションツールの一つなので、極力、目の前のお客様といろいろお話をして、一杯一杯ちゃんと向き合いながらつくっていこうとしています。

また最近は似顔絵ラテアートもつくるのですが、ある程度しゃべりながら描いた方がその人の良さを出せるので、そうやって人の内面も知りながらその人の求めるラテアートを描いています。

もちろん拡散性や話題性を考えるとインターネットやTwitterも重要なのですが、僕の場合はあえてリアルを大切にしていることが他者との差別化ポイントなのではないかなと思います。

━━なるほど。自分自身をどう見せるか、どういうスタイルでいくかを踏まえて、松野さんは今後、技術者・職人であるバリスタとして業界をつくっていくのか、エッジングのジャンルをつくり伝統を継承していくのか。どちらなのでしょうか?

松野 今はどちらも両立させたいという思いです。それこそ、職人として人に教えていくようなことをしながら、やっぱりタレント的に楽しく場を沸かせるのも楽しいと思います。

ライバルであり、仲間でもあるじょーじ氏と磨く技

━━ラテアートを通してコミュニケーションを図っていく上で、描かれるもののアイデアをどのように出しているのでしょうか?

松野 僕の場合は身近にすごくデキるじょーじさんがいたので、「こんなんおもしろくない?」と言いながらアイデアを出していて、そうした中で3Dラテアートが生まれたりしました。

━━お互いの得意分野が違うからこそ、上手く補完しあえるのでしょうか?

松野 そうですね。やはり彼のほうが、3Dラテアートみたいな奇抜な発想が多いですし、僕はわりと似顔絵などのリアルなタッチのものが得意なんです。

お互いそれが影響し合い、うまいこと双方のレベルを高め合っているのかなと思います。

━━そうして生み出されたラテアートを通して、これまで人に何か大きな影響を与えたことはありますか?

松野 昔、大阪のイタリアンレストラン時代に、あるキャラクターを描いたところ、それを受け取った女性が涙を流したことがありました。

その日は女性の誕生日で、彼氏から「彼女はこのキャラクターのことが好きだから、これを描いてほしい」と言われて、そのお客様を喜ばせたいという気持ちもありましたし、ちゃんとおめでとうという想いを形にして伝えたいと思い、精一杯描きました。

その体験が、この道にどっぷりはまったきっかけかもしれないです。

自然と足が向くような、居心地のいいカフェをつくりたい

━━今後、ラテアートというものを一般に広めていく上で、どういう心持ちで取り組む必要があると思いますか?

松野 やはり出す以上は、自信を持って出さないとお客様に失礼ですし、お金をちゃんともらっている以上、「これが自分のなかで最高の出来だ!」というものを常に出し続けることだと思います。

ありがたいことに徐々にいろいろなメディアに出演したり、経歴も重ねてきているので、その活動をより広げていくためにも、自分もトークや技に磨きをかけ続けています。

━━技を磨き続けた先には何があるのでしょうか?

松野 そうですね……。最終的にはラテアートに特化した、居心地のいいカフェをつくることが目標ですね。

━━居心地のいいカフェってどういうところでしょうか?

松野 ふとしたきっかけで行きたくなるというか、自然と足が向くような……。

人に紹介したいけれども、誰にも紹介したくないという、すごく微妙なニュアンスなのですが、誰かに必要とされるカフェであればいいなと。

━━最後に、ゲンエキで活躍する松野さんから「これから社会人になって頑張る」「第一線で戦おう」としている人に対して、投げかける言葉はあるとすれば、それはなんですか?

松野 そんな、上から言えるような人間じゃないですけど、やはり笑顔あってこその人生ですし、それは自分にも相手にも大切なことなので、何か仕事で辛いことがあったりするかもしれないですけど、辛い時は笑顔を大切に

━━笑顔でピースですね!

松野 笑顔でピース、いいですね! それ、長澤まさみさん(長年カルピスのテレビCMに出演)に言われたかった(笑)。
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カルピス ゲンエキ[現役]インタビュー

全9回まで展開したカルピスの「ゲンエキインタビュー」では、様々なジャンルで活躍する現役の方々をゲストに、ロングインタビューを敢行。 声優の内田真礼さん、諏訪部順一さん、水瀬いのりさん、Pileさん、アニソンを中心に活動する歌手のLiSAさん、プロ棋士の橋本崇載さん、ラテアーティストの松野浩平さん、サイクルフィギュアの佐藤凪沙さん、プロレスラーの丸藤正道さんにご出演いただきました。 それぞれの来歴や仕事への意識、そして他ではなかなか聞けなかったら青春や初恋についてのぶっちゃけトークまで、カルピスを飲みながら赤裸々にお話いただきました!

関連キーフレーズ

松野浩平

ラテアーティスト

10月5日生まれ。兵庫県出身。
現在、原宿のカフェ『Reissue』にて、店長である"じょーじ"こと山本員揮氏とカフェ運営に携わる。また、フリーランスのラテアーティストとして、数多くのテレビやイベント出演などを通し、ラテアートの普及を行う。
日本最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2015」内で開催された「アニメラテアート王選手権」にて初代チャンピオン獲得。

2件のコメント

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editoreal

AOMORI SHOGO

ゆるふわな人かと思ったら目力つよすぎる

nimnao

にいみなお

味が落ちてもしまっても仕方ないって割り切れるのはすごい。

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