でも、そんなの関係ねえ!
こうして、彼らのジレンマや葛藤が垣間見えてしまう一方で、本作最大の魅力は、そんな彼らの葛藤よりも、彼らの情熱の方が上回っていることだろう。劇中の候補者は皆、迷うよりも行動。とにかく政治活動に全力を注いでいるのだ。よく「なぜ立候補し続けるのか」と言われる彼らだが、その理由は「情熱」という言葉にあるのかもしれない。
映画の大半は、マック赤坂さんの活動を映したものだが、そこから見えてくるのは、とにかく「情熱」の一言。それは、もはや笑っていいのか、笑ってはダメなのか、と混乱してしまう程のレベルだ。本作の感想として「後味が悪い」と言われるゆえんは、恐らくここにあるだろう。
つまり時間芸術!?
「葛藤」と「情熱」。そして次に特徴的なのが、候補者たちが持つ折れない熱意。そのリアルな熱波は、スクリーンから噴き出してくる。しかし「泡沫候補」たるもの、そう簡単に政治を変える事ができないのでは、情熱の空回りなのでは……。そんな我々の不安や疑念を吹き飛ばす瞬間が、秋葉原駅前のマック赤坂さんの街頭演説のシーン。
安倍晋三現内閣総理大臣の演説に多数の支持者が集まる中、はす向かいで数名の関係者とともにマック赤坂さんが、民衆に問いかける。圧倒的劣勢のなか、世代を超えて、時空を超えて、もっとも最小な単位での革命が、スクリーンに浮かび上がる。
マック赤坂さんの高笑いと、その感動的な風景は。泣き笑い必須のシーンだ。それまで政治や選挙を浮き彫りにした作風が、純粋なヒューマニズム溢れるドラマへと還元される様は圧巻。
社会派映画と肩肘張らずに、是非とも登場人物たちの心模様に思い馳せて見てはいかがだろうか。きっと度肝を抜かれるだろう。笑えるか、笑えないかはあなた次第だ。
もちろん、映画は単にドラマとして消費されるだけでは、いずれは忘れ去られてしまうのも事実。
昔話のように、人から人へ、教訓や人のありようを届けられるような、そんな名作・快作を今年度も期待したい!
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上映情報
et cinema Vol.23
- 開催日
- 2015年5月10日(日)
- 場所
- et cetra えとせとら(新潟県柏崎市新橋3-29)
- 時間
- 10:30〜、13:30〜
- チケット
- 前売 1000円 当日1500円 (茶菓子つき)
- 問い合わせ先
- 0257-21-8558
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