「デビルズアヤコ」の名を持つ全豪No.1ヴァイオリニスト、石川綾子
石川綾子さんは、世界的に活躍するヴァイオリニストです。輝かしい功績を残している実力者なのですが、百聞は一見にしかず。言葉であれこれ語るよりも、まずは演奏を聴いていただきましょう。ボカロ「初音ミクの消失」を、ヴァイオリンで演奏してみた
この動画は2013年7月25日にニコニコ動画に投稿され、27日には「演奏してみた」カテゴリでデイリー1位を獲得。さらに、30日にはカテゴリ総合ランキングで1位を獲得し、31日には「演奏してみた」ランキングの1位から5位が石川さんの投稿動画で埋め尽くされるという快挙を成し遂げました。「初音ミクの消失」以外にも、きゃりーぱみゅぱみゅさんご本人(@pamyurin)もTwitterで絶賛した「にんじゃりばんばん」や、スタジオジブリの人気作『耳をすませば』の「カントリーロード」が人気で、ボカロ・ポップス・アニメ・クラシックと、ジャンル問わず華麗に弾きこなし、演奏動画を投稿しています。
また、ニコニコチャンネル「あやニコ」を開設し、定期的に生放送を行いトークや生演奏も配信。2013年8月の「Voca Nico Night4」にも出演し、初音ミクとのコラボライブを披露して会場を熱狂させました。
こうして見ると「なるほど、ニコニコ動画で人気のユーザーなんだな~^^」と思われるかもしれませんが、はじめにお伝えした通り、プロのヴァイオリニストなのです。簡単に経歴をご紹介すると、
などなど、ここではすべて書ききれませんが、この他にも数々の受賞経験がある実力派のヴァイオリニストです。情熱的かつ超絶技巧で弾きこなす姿から、シドニーにいた頃に「デビルズアヤコ」という愛称を付けられました。ニコニコ生放送でユーザーから付けられた「デビあや」というニックネームもここから来ていて、石川さんのお気に入りなんだそうです。・4歳でヴァイオリンを始める
・ロンドン音楽学校パーセルスクール(ウェールズ皇太子後援の名門校)に最年少で合格
・国立シドニー大学/シドニー音楽院にトップで合格、メリットスカラシップ受賞、首席で卒業
・オーストラリア政府より「Distinguished Talent Permanent Visa」(国際的芸術家のみに与える永住権)を授与される
・Performing Arts Challengeコンクールにて、エントリーした全ての弦楽器部門で優勝、各楽器部門の優勝者が競う全豪優勝者大会においても1位となり、弱冠18歳にして「全豪ベストパフォーマー」に輝く
一人ひとりの顔が見える演奏会「あや会」
今回開催された「あや会」は、コンサートとは違ったカジュアルなイベント。大きなホールで行われるようなクラシックのコンサートとは違い、客席は100名程度のスペースで観客とステージの距離が近く、また、石川さんの希望で客席の照明は明るめになっており、一人ひとりの顔が見える演奏会となりました。 この日演奏されたのは以下の6曲。どれもニコニコ動画に投稿されている人気の楽曲です。アンコール曲の演奏では、なんと客席に降り、会場をぐるっと歩きながら演奏。より近くで見る石川さんに、会場のみなさんはうっとりしていました。(目が合うとニッコリ笑ってくれるのですが、その破壊力といったらもうヤバいです!)#1:カントリーロード(ニコニコ動画)
#2:君をのせて(ニコニコ動画)
#3:剣の舞(ニコニコ動画)
#4:にんじゃりばんばん(ニコニコ動画)
#5:初音ミクの消失(ニコニコ動画)
#6:チャルダッシュ(ニコニコ動画)
曲の合間のMCでは、ファンの方から寄せられた質問に答えたり、逆に石川さん自ら客席に質問を投げかけたりと、「ファンミーティング」という名の通り積極的にコミュニケーションが交わされ、終始アットホームな雰囲気で進みました。演奏時は「デビルズアヤコ」と呼ばれるほどの迫力がありますが、MCでは天使のような“素”の石川さんを見ることができ、そのギャップも多くのファンを惹きつける石川さんの魅力です。 中でも盛り上がったのが、石川さんにまつわるクイズ大会のコーナー。「“デビルズアヤコ”と初めて紙面に掲載した現地の新聞社の名前は?」、「公式Facebookページで一番“いいね!”がついている写真はなんでしょう?」など、マニアックすぎる質問もありましたが、「100%勘でお答えください(笑)」と石川さん。それでも全問正解した方が2名いらっしゃいました!(すごい!)
そして最後には、一人ひとりがコテハン(固定ハンドルネーム)を書いた紙を掲げて共に記念撮影をする「リアルコテハン撮影会」や握手会も行われました。まさに、今会いにいけるヴァイオリニスト! 最後までファンの方との距離が近く、石川さんの魅力がたっぷり詰まったファンミーティングとなりました。
終演直後の石川さんにインタビュー!
──今回のあや会、終わってみていかがでしたか?石川 すっごく楽しかったです! 今までのコンサートとは違う、新しい試みとして演奏やトークをさせていただきました。これから「あや会」をどんどんレベルアップして、もっと楽しい会にしたいと思っています。
──お客さんの顔が見えるように客席を明るめにされていたとのことでしたが、顔が見えると、演奏するテンションも変わってきますか?
石川 そうですね、お客様がどういう表情で聴いてくださっているかを見ながら演奏するのがとても好きなんです。あと、目が合ったらテンションが上がります(笑)。
──そうなんですね(笑)。やはり大ホールでは明るくても表情を見るのは難しいかと思いますが、距離感にもこだわられていたのでしょうか? 特に、最後の曲では客席の方に出られていましたが。
石川 実は、私はどんな大ホールでも1曲は客席に出て演奏しています。これは、席の場所によって聞こえる音が全然違うと思っていて、遠い席の方にも近くで音の響きを聴いてもらいたいからなんです。
──私もあんなに近くでヴァイオリンの生音を聴いたことはなかったので、感動しました!
石川 そう言っていただけると嬉しいです。今回来てくださったお客さんにも、「初めてヴァイオリンの生音を聴きました」って言ってくださる方がいて、すごく嬉しいなと思っています。 ──ちなみに、今回の6曲は、どういう考えで選ばれたのでしょうか?
石川 まず、ほとんどの方が私のコンサートは未体験の方だと思ったので、カジュアルに楽しんでもらいたいなと思いました。そして、小さい頃から「クラシック」というジャンルの壁をなくしたい、という思いもあって、クラシックあり、ジブリあり、ボカロあり、何でもありみたいな(笑)、ジャンルにこだわらない、バラエティに富んだ選曲になりました。
──その6曲の中で、一番テンションが上がった曲はどれでしたか?
石川 「初音ミクの消失」ですね。動画でもみなさんにたくさん聴いていただきましたが、生で聴いていただけて嬉しかったです。
──「初音ミクの消失」の動画はかなり反響があったかと思いますが、投稿される前と後で、何か環境の変化はありましたか?
石川 本当に多くの方に観ていただきましたが、だからといって私のスタイルは特別何も変わっていなくて、今まで通りにやらせていただいています。ただ、普段クラシックを聴かない方が興味を持ってくれて、あれをきっかけにヴァイオリンの音をたくさんの人に聴いてもらうことができたので、すごく嬉しいなと思っています。
──石川さんの武器であるヴァイオリンの音を、「クラシック」というより、「音楽」としていろんな人に聴いてもらいたいという気持ちがあるから、様々なジャンルの曲を演奏されているということなんですね。
石川 その通りです。これからもジャンル問わず、スタイル問わず演奏していきたいと思っています。
──「あや会」も新たな試みだったと思いますが、これから新しくチャレンジしたいことはありますか?
石川 先日、初めてバンドスタイルでコンサートをやらせていただいたのですが、これがすごく楽しかったんです。もっといろんな構成でやってみたくなりました。例えば同じエンターテイナーとして音楽の枠を超えて、ダンサーさんとかにも入ってもらえたらおもしろいかもしれません。従来のクラシックとは違うスタイルにも、どんどん挑戦していきたいと思います。
文:たかはしさとみ
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