Discordとスタジオの両方でアニメをつくる
今回の事務所設立は、制作の中心をオンラインからスタジオへ完全移行するものではありません。 むしろ、Discordで動いていたチームに新しい拠点をひとつ加えるようなイメージに近いです。
普段の制作はオンラインで進めながら、必要なタイミングでスタジオに集まり、議論したり作業したりする。そんな形で運用しています。
事務所には作業スペースのほかに、会議ができる部屋や、仮眠できるスペースもあります。長い制作の合間に少し休んだり、夜遅くまで議論したり、文字通り制作のための物理的な空間として機能しています。
ちょっとしたリラックススペースもあります
集まって会議ができるスペースも
制作の合間に、簡単なご飯をつくることもあります。余談ですが、ご飯は私がつくる場面も多く、これまでにローストビーフやカレーなどをつくってきました(この二つは特に大人気でよくつくります)。
大げさな話ではありませんが、同じ場所で食事をする時間は、チームの空気をつくるうえで意外と大事なものだと感じています。 Discordが制作を回すための基盤だとすれば、事務所はチームの文化を育てる場所なのかもしれません。
文化祭のような現場、でもビジネスはシビア
ここまでの内容から「beesは文化祭のノリみたいだな」と思った人がいるかもしれません。実際にそう言われることもあります(批判などではなく)。
個人的には実情もわりと近いと思います。Discordでは雑談が活発で、誰かが思いついたアイデアが、そのまま作品に反映されることもあります。自由に発言できる空気は、クリエイティブな仕事にとってとても重要です。
ただ、その空気を成立させるためには、裏側で様々な側面をロジカルに設計する必要があります。前提として、クリエイターの仕事は情熱だけでは続きません。制作費、ギャラ、スケジュール、契約──そういった部分が整っていなければ、長く持続的に制作を続けることはできません。
「採算度外視! 面白そうだし情熱一点突破!」みたいなものは一度きりの文化祭だからこそ成立しますが、ビジネスとして継続する上では、お金を含めた環境面を整えることは必須です。
そのため、案件の条件や制作費の設計についてはかなりシビアに見ています。
たとえスタッフが作品に魅力を感じていたとしても、スケジュールや予算の面で無理がある案件はお断りすることがあります。
もちろん、クリエイターとしては「やりたい作品」に出会うこともあります。しかし、無理な条件で受注してしまえば、そのしわ寄せは最終的に現場のスタッフへ向かいます。
短期的には作品に関われたとしても、それによって制作環境が悪化したり、次の仕事につながる体力を失ってしまっては意味がありません。
私たちは一つの作品をつくるだけではなく、チームとして継続的に作品を作り続けることを目指しています。“文化祭のような空気”を守るためにも、ビジネスとしての基盤はきちんと整えておく必要があると思っています。
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