埼玉県越生町。都心から電車で1時間半ほど揺られた先にあるこの町は、観光地としての顔も持ちつつ、そこに住む若者にとっては「何もない」場所として映ることもあるだろう。
この町が生んだヒップホップクルー・SUSHIBOYSの2人は今、自分たちがかつて駆け回った思い出の地を再訪している。
儀式と空想が育んだSUSHIBOYSのスタイル
SUSHIBOYSのFARMHOUSEさんとサンテナさんがまず足を踏み入れたのは、五領児童公園。大人になってもMVの撮影などで使い続けているという、彼らにとっての聖域だ。
「何して遊んでたんだろうなあ、ここで」と呟きながら、語られる思い出は独特だ。エアガンで遊んだ記憶や、下水でザリガニを釣った話、さらには「エロ本が落ちていた」といった、少年時代の断片が次々と飛び出す。
段差から飛び降りる謎の競技「ブリーフ」
中でも印象的なのが、段差から飛び降りる「ブリーフ」と呼ばれる謎の競技だ。
「こっから飛べんのか、お前はできんのかっていう。これをやんないと、お前は一人前になれないみたいな」
そんな冗談めいた、けれど当時の彼らにとっては切実だったマインドの育成が、この小さな公園で行われていた。
「提供された遊び」への怒りが初期衝動となった
彼らの創作スタイルは、この「何もない」環境から生まれている。
大学生になっても児童館やスーパーのイートインコーナーにたむろしていた彼らは「ちゃんと働け」と白い目で見られることも多かったという。
しかし、その逆境こそが彼らのエナジーとなった。
あらかじめ用意されたレジャーはダサい
「東京に対してのヘイトの感情は結構あって。正直言うと、遊ぶ場所を提供されて遊んでいる奴らを見下してましたね」
スポッチャやカラオケといった、あらかじめ用意されたレジャーを楽しむ人々への反発。
その初期衝動は、地元の公民館でのレコーディングへと繋がる。子供の遊ぶ声が混じった初期の楽曲「原点」は、まさに越生の日常から絞り出されたリアルな叫びだったのだ。
歴史が訴えかけてくる、ソウルフードの味
撮影の後半、彼らは町の中華料理店「永楽」へと向かう。
かつては落書きをして嫌われていた「厄介者」だった彼らも、今や地元でワンマンライブを開催し、全国からファンを越生に呼び寄せる存在になった。
彼らが「蒸しそば」と呼んで愛する焼きそばを口にすると、感極まったような表情を見せる。
クラシックスタイルのラーメンと餃子、そして「蒸しそば」
「表面的な味じゃなくて、もう歴史が訴えかけてくる。ここにいたっていう過去の自分も、全てが旨みとしてやってくる」
「何もなさそうな町でも、誰かの思い出はある」
そう語る彼らの音楽には越生の景色、匂い、そしてそこで抗い続けた少年時代の記憶が、今も鮮烈に刻まれている。
彼らが「遊び」の延長線上で手に入れた、唯一無二のスタイル。その熱狂の源泉を、ぜひこの動画で見届けてほしい。
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