にじさんじ・樋口楓、2年ぶりワンマンライブレポート 生バンド演奏と演出へのこだわり

ストレートなロックナンバーの連打

続く『Red Star』はレパートリーの中でも随一のファンキービート。ステージ上空にミラーボールもあらわれ、乱反射する赤い光線が降り注ぐと、会場を瞬く間にダンスフロアへ変換する。飛び跳ねながら歌う彼女に誘われるまま、オーディエンスがボルテージを高めていくなか「まだまだいけるか!」と更なる高揚を煽って『Sugar Shack』へ。本来ならば巨大なコール&レスポンスが巻き起こるラウドロックだが、今回はお預け。しかしステージの背景には叫びだしたい我々の気持ちが具現化したかのように歌詞が表示され、粋な演出に感謝と喜びを感じざるをえない。
Red Star【樋口楓オリジナル曲】
ここからは樋口楓の真骨頂たるストレートなロックナンバーの連打。『Be Myself』ではステージに火柱が上がると同時に、背景には火の粉が舞って一体感を強めると、荒々しく感情をぶつけるように歌う様に呼応してオーディエンスも拳を振り上げる。つづく『ステレオアイデンティティ』では揺らぐ自己の存在証明が明滅する照明によっても表現され、ハイスピードロックと共に疾走する独特の世界観が展開された。

「KANA-DEROのあの瞬間をもう一度!」という叫びから繰り出されたのは、2年前のワンマンライブで生まれた名曲『響鳴』だ。歪んだギターの音色とユニゾンし、未知なる世界に革命の旗を突き立てる覚悟を込めた絶唱に、フロアも全力で応えてみせ、今日一番の拍手が会場に響き渡った。

2年前のワンマンライブからの変化として最も大きなものの一つがメジャーデビューを経たことによってプロのクリエイター陣によって制作された彼女自身の楽曲が増えたことだ。それによってファンメイドの曲をライブで披露することがなくなってしまうのではないかと心配されることもあったそうだが、「ファンメイドの曲を歌うことは樋口楓の根っこだから、絶対にやりたかった。」と、どれだけ活動が変化しても変わらない、ファンと共に歩んでいく想いを改めて表明した。

つづいてステージに映し出されたのは、去年の夏を沸かせたにじさんじによるゲーム大会企画、にじさんじ甲子園決勝の映像だった。樋口楓監督率いるVR関西圏立高校と椎名唯華監督のにじさんじ高校の激戦はいまや伝説となっているが、球場にこだまする歓声にミニバットを叩く音が混ざって、いよいよここがどこだかわからなくなってくる。今度は樋口楓監督による選手たちへのメッセージが流れ始め、あの夏の思い出が熱気と共に蘇ったところではじまるのはあの曲しかない。『Victory West!』、しかも随所ににじさんじ甲子園での名言が散りばめられたスペシャルバージョンだ。儚くも煌めく青春を駆け抜けたあの夏の思い出を元気いっぱいに歌い上げ、永久に刻まれた灼熱の季節をステージ上で表現してみせた。
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