コミケ代表が語る中止と「エアコミケ」の展望　各同人イベント代表者の座談会も

同人誌即売会「コミックマーケット98」（C98）の中止に伴い発足した「がんばろう同人」プロジェクト。その一環として開催される「エアコミケ」や事前企画である「エアコミケ準備室」。

こうしたWeb上で展開されるリアルイベントの代替企画について4月12日、開催中の「ニコニコネット超会議2020」の中で「エアコミケ準備室 開幕式」と題したニコニコ生放送が配信された。

番組にはコミックマーケット準備会の共同代表・市川孝一さん、ドワンゴの伴龍一郎さんが出演。

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の拡大防止の観点から中止を決めた経緯、想定される中止の影響、さらには5月2日（土）から5日（火）に開催される「エアコミケ」当日の企画構想などを明らかにした。

「エアコミケ」と「エアコミケ準備室」とは何か？

「エアコミケ準備室 開幕式＠ニコニコネット超会議2020」お付き合いいただきありがとうございました。延べ11万人弱も見ていただき感謝しております！ 皆さんも是非、#エアコミケ で遊んで下さい！ #エアコミケ準備室 #ネット超会議2020 #参加 pic.twitter.com/mazvIW4ojs

— コミックマーケット準備会 (@comiketofficial) April 12, 2020

リストバンドキャンペーンや冊子版カタログの電子書籍の発売など、複数の企画が予定されている「エアコミケ」。

コミケ申込時に使用する同人総合ポータルサイト「Circle.ms（サークルドットエムエス）」やとらのあなやメロンブックスなど各同人ショップが協力。

エアコミケ期間は「Circle.ms」に掲載されたWebカタログのサークルページから、同人ショップのECサイトに飛んで購入できる仕組みを検討している。

市川さんによれば「リアルでは中止になってしまったけど、何かを残したい。エア（ネット上）ではあるけど、コミケが開幕して閉幕するのが大切」と意義を語り、前日の設営日からツイートなどで盛り上げていきたいとコメント。

中止となりましたが、コミックマーケット98の準備会公式紙袋（大）を担当させていただきました。裏面は男の子です。GWにエアコミケとして同人ショップ各店舗で配布されるとのことです。日々変化している状況ですので準備会の最新情報をご覧下さい。どうぞよろしくお願い致します。 pic.twitter.com/XpCdYWqZEh

— 夜汽車 (@YOGISYA) April 13, 2020

中止となった #コミックマーケット98 の、準備会公式紙袋（小）をデザインさせていただきました。
めちゃくちゃ光栄です…。

一部だけチラ見せ。
２枚目は袋の側面。各面、１カ所だけトナカイじゃないものが混ざってますので探してみてください。#C98 #エアコミケ準備室 #ネット超会議2020 #参加 pic.twitter.com/x2kNCKGgo5

— トナカイフサコ (@fusakonomanga) April 12, 2020

当日企画第1弾としては、5月2（土）から5日（火）の期間中、「C98」で販売予定だった紙袋を、とらのあな・メロンブックスで配布する（税込3000円以上の購入した場合をを予定）。

イラストは夜汽車さん（サークル：IKADA）とトナカイフサコさん（サークル：旅するトナカイ）が担当した。

「エアコミケ」事前企画では同人誌即売会の代表が集結

参加方法の詳細は、添付画像と下記を参照下さい！https://t.co/bENizlBfgL#エアコミケ準備室 #ネット超会議2020 #参加 pic.twitter.com/N5cvdmq2wC

— コミックマーケット準備会 (@comiketofficial) April 13, 2020

もう1つの「エアコミケ準備室」は、いわば「エアコミケ」に向けた事前企画だ。

「エアコミケ当日」に向けて創作を続けるクリエイターの活動やエアコミケ参加宣言を、各種SNSで「ニコニコネット超会議2020」期間中に常時紹介していく（外部リンク）。

対象となるのはTwitter、Instagram、YouTube、ニコニコ動画、ニコニコ生放送に、「#エアコミケ準備室 #ネット超会議2020 #参加」 （外部リンク）のハッシュタグを付けて投稿されたものだ。

また同人文化をサポートする企業の活動を紹介するほか、それぞれの同人誌即売会の代表を交えた座談会が、4月17日（金）19時からニコ生で放送される。

コミックマーケット、赤ブーブー通信社、スタジオYOU、コミティア、博麗神社例大祭。国内の同人誌即売会の代表が何を語るのか──非常に貴重な機会になりそうだ。

コミケ中止の経緯、2月までは希望もあった

番組では新型コロナウイルスの影響で3月27日に開催中止を発表した経緯も説明されている。

市川さんによれば、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染や、海外での感染拡大が報道された2月時点で、通常とは異なる空気が漂っていたという。 2月下旬には準備会メンバーが集まって中止の可能性について検討したが、その後26日に政府から発表された自粛要請に対するショックも大きかった。

自粛は2週間では終わらなかったものの、5月開催のため中止を決めるには至らず、実際、準備会としても開催に向けて希望もあったと振り返る。

開催に向けた「3密」のハードル、コミケでは実現不可能

カタログの入稿も終わった3月15日、準備会として中止や延期を含め「通常通りに開催できないという判断」への可能性を公式サイトで発表。

どんな可能性も残した状況だったが、3月19日に行われた政府の専門家会議を受けて、コミケ開催のハードルは非常に高くなってしまう。

アルコール消毒やマスク着用を促すことはできるが、人と人の間隔をあけて並ぶなど、いわゆる「3密」（密閉空間／密集場所／密接場所）を避けて開催するのは、1日あたり20万人前後が訪れ長蛇の待機列を形成するコミケにとって実質不可能に近い。

そうした中で迎えた3月20日からの3連休。このとき開催／中止となったイベントへの反応をみつつ、下旬には改めてビッグサイトと話し合いの場が設けられた。

コミケ中止を正式発表、返金については「エアコミケ」前までに

「この数週間で状況が変化して大変だった」と語る市川さん。準備会は3月27日に「C98」の中止を決定した。 一方で、すでに発売が決まっている冊子版のカタログについて「ぜひ買っていただきたい。その売り上げが『C99』にも影響する」と説明。

同時に、中止に伴う参加サークルへの返金については「4月末までには各種状況を報告できる予定」と、「エアコミケ」前には詳細がアナウンスされるようだ。

史上初、ネット上だけの「エアコミケ」を楽しみに

非営利ではあるものの、前回75万人を来場したことからもわかるように、開催に伴って多くの人や多額のお金が動くのは間違いない。

市川さんも中止によって想定される経済的影響に言及していたが、同人誌を印刷する印刷会社はもちろん、東京ビッグサイト近辺のホテル、設営会社、警備会社と、多岐にわたる。

だからこそ番組中、「同人誌があるならどんどん書いてほしい」「新刊を同人ショップで通販してもらうだけでも違う」「カタログは買ってほしい」と、たびたび呼びかけていた。

およそ11万人が視聴した「エアコミケ準備室 開幕式」。市川さんは「期間中は例年通り朝4時に起きたり、自分の中でも盛り上げていきたい」とエアコミケへ早くも意気込む。

コミケの歴史上初めて、ネットだけで開催される「エアコミケ」。

当日までにどんな盛り上がりを見せるのか、KAI-YOUでもメディアとして関連情報を発信しつつ、参加者として当日までの期間を楽しみたい。