地上波番組への進出など、拡大を続けるバーチャルYouTuberムーブメント。
KAI-YOU.netではこれまでもその動向を追ってきたが、シーンの中心を担うのはキズナアイや輝夜月を代表とする美少女キャラクターたちだ。アニメやゲームといった既存のカルチャーと親和性の高いバーチャルYouTuberは必然的にトレンドの属性も似通い、結果として美少女/美男子のひしめくシーンを形成した。
ブームの発生から1年が経過し、NHKでの「バーチャルのど自慢」や初となるテレビアニメ「バーチャルさんはみている」など人気バーチャルYouTuberが勢揃いしての大型企画も数を増やしてきた。
集められたメンバーを見るとそれぞれが自身の活動を堅固なバックボーンにした強烈な個性を持つ美少女たちが中心であるが、その中に一際異彩を放つ黄色い豆がいる。それがピーナッツくんだ。
取材/文:オグマフミヤ 編集/企画:米村智水
時事ネタをモチーフにしたキャラクターが登場する独特の風刺性とシュールなコメディが特徴的なシリーズは現在70話以上にものぼり、海外向けチャンネルであるNHK Worldに取り上げられたこともある。「オシャレになりたい!ピーナッツくん」第1話〜10話まとめ
2017年末にバーチャルYouTuberブームが起こると、古参を名乗って堂々と参入。デビュー時期でいうと電脳少女シロと同期になり、これまでKAI-YOU.netでインタビューを行った輝夜月や月ノ美兎といった現在のトップスターたちは彼のだいぶ後輩といえる。
バーチャルYouTuberとしては原宿JKへの認知度調査や、人気YouTuber・デカキンとのコラボはじめ独特の活動スタイルで人気を博し、キズナアイとも複数回コラボするなどそのポジションを確かなものにしていて、そんな自らを「地固めが凄い」と評するほど。ピーナッツ先生と知る! はじめてのバーチャルYOUTUBER(初級)
バーチャルYouTuberの甲賀流忍者!ぽんぽこはピーナッツくんのショートアニメシリーズから独立したキャラクターで、現在はピーナッツくんとのユニット、通称「ぽこピー」として企業に属さない個人勢としては珍しい毎日動画投稿にも挑んでいる。
現在のバーチャルYouTuber界はブームの当初と比べて企業の進出が目立ち、人気バーチャルYouTuberはグループや企業に所属、もしくは最初から企業が開発・運営を行なっていることが当たり前の状態だ。
そうした発展の仕方が悪いわけではない。しかし、生身のYouTuberと比較した時に個人のクリエイティブ発表の場としての属性が薄い感覚は否めない。そうしたシーンにあって、毎日動画を投稿しながらも、企業にも属さず、美少女でもないという常識を逸したピーナッツくんのスタイルは存在感を増し続けている。
今回は激動のシーンにあって我が道を行くピーナッツくん本人と、ピーナッツくんのご主人様であり甲賀流忍者ぽんぽこのプロデューサーでもある兄ぽこさんにインタビューを敢行(KAI-YOU Premiumにて公開中)。
これまで明かされてこなかった活動の裏側と、古参として現在のシーンに感じていることをうかがった。
クレイジーなユーモアセンスを備えた5才のピーナッツという殻に詰め込まれた誠実と反骨の精神とは。
──バーチャルYouTuber界において独特のポジションで活躍されていますが、元々はショートアニメになっている冒険から活動をスタートされていますよね。そもそもなぜ「オシャレになりたい!ピーナッツくん」という冒険をはじめられたのですか?
ピーナッツくん タイトルの通りオシャレになりたいからですね。じゃあオシャレってなに? って言われると正直ぼくもまだわかっていないのですが、それを理解するために現実世界で流行っているものを感じさせる不思議なキャラクターたちに会う冒険をしているナッツ。
──時事ネタを反映した不思議なキャラクター達が跋扈しているあの世界はそもそもなんなのでしょうか?第67話「血に染まったDJ社長」(オシャレになりたい!ピーナッツくん)
ピーナッツくん ぼくが冒険しているあの世界はピーナッツ星と言います。ぼくは見た目の通り、原宿にルーツを持つ5才のピーナッツなので、100%のJKと少しの5才児たちという独特のファン層を形成していて、基本的にはその人達にしか見えません。
他のバーチャルYouTuberさんみたいに考察しがいのある世界観とか記憶喪失みたいな裏設定とかあったらよかったんですけど特にはないですね!
──本日同席していただいてるチャンチョさんのように、不思議な世界から誕生してキャラクターとして独立される方もいらっしゃいますね。 チャンチョ ピーナッツくんの相棒のチャンチョです。本日はお招きいただきありがとうございます。
ピーナッツくん チャンチョはピーナッツの中身で、いつもぼくに寄り添ってくれています。あんまり寝てないみたいで目の周りがくまだらけなのがちょっと心配なんですけども。
──黒いのはくまだったんですか。
ピーナッツくん そうです、『NARUTO -ナルト-』の我愛羅と一緒です。
──ものすごくしっくりきました。忍者といえば同じくショートアニメのキャラクターからスピンアウトした存在として、甲賀流忍者!ぽんぽこさんもいらっしゃいますよね。
ピーナッツくん 込み入った事情をここでドロップさせてもらうと、ぽんぽこさんはぼくの世界では怪盗ぽんぽこというキャラクターですが、ぼくのご主人様である兄ぽこさんの妹でもあるというややこしいポジションの人です。2分でわかるぽんぽこ
ピーナッツくん 彼女も単独でYouTubeチャンネルをやってますが、動画にはぼくらもよく登場していて、今は一緒に毎日動画投稿にもチャレンジしています。
なのでぼくにとってはすごく仲が良い友達ってところですかね、血縁関係あるのかなってくらい作風も似てますし。
ピーナッツくん だいぶ早いほうだと思いますよ。具体的にはのじゃおじさん(※)が出てくる1ヶ月くらい前ですかね、キズナアイちゃんを見てビビッときたのを覚えているナッツ。
※のじゃおじさん:バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさんことねこますさんの愛称のひとつ。2017年11月より活動開始。
──”ビビッと”と言いますと?
ピーナッツくん これはぼくが住むべき世界だなという直感ナッツ!
それからのじゃおじさんがYouTubeに動画を投稿しはじめて、全体がドンと盛り上がっていったんですが、その頃は少し様子を観察していたんです。
その後にいちから(※)って会社がいっぱいバーチャルYouTuberみたいなのを出すってニュースを見て「うわー企業も参入してくるぞ!」って驚異みたいなものを感じて、ぼくも改めて参入していこうと決めました。
※株式会社いちから:月ノ美兎などの所属するバーチャルライバーグループ・にじさんじを運営する企業。
──バーチャルYouTuber界への参入で、動画の再生数などに変化はありましたか?
ピーナッツくん 目に見えて変わりましたね。バーチャルYouTuberというシーンに加わっていくことで、それまでと違って誰かと比較されて見られるようになったんです。多少面白いことをやっている自信はあったので、そうして並べて見てもらえることで数字も出てきたのかなって思うナッツ。
──全体として美少女キャラクターで構成されるバーチャルYouTuberシーンにおいて、ピーナッツくんは見た目もさることながら強烈なキャラクターで独特のポジションを築かれていますよね。そんなご自身の立ち位置についてはどう分析されていますか?
ピーナッツくん 大勢が集まる企画では営業にきたお笑い芸人みたいになんでもやらせられるっていう立ち位置だと思うんですが、それによってみんなができないことをやれるので結果として独特のポジションを築くことに繋がっているんじゃないでしょうか。
ぼくやぽんぽこさんは失敗しても特に失うものもないので、他が躊躇するところをガンガンやっていけるナッツ!
そういう違いも生み出せるので放送作家とか制作側の人に優しい存在だと自負しています。番組構成に優しい系バーチャルYouTuberってところナッツ。
──まだ5才なのにさすがの考察力です。独特といえばターゲットにしている層も特徴的で、原宿JKへの認知度調査を行うなど原宿とJKに並々ならぬこだわりを見せていますが、一体なぜなんでしょうか?ピーナッツくん!原宿JKで知らない人マジで0人説
ピーナッツくん 元々は「原宿のJKに流行ったらイケる」っていうぽんぽこさんのアドバイスを受けての発想ナッツ。
ぽんぽこさんがJKや女の子文化が好きで、JKを観察したいがために誰とも知らぬJKのTwitterをフォローしていたりする不思議な人なんですが、ぼくがこういう活動をするにあたって彼女が言ってきたのが、とりあえずJKウケを狙えということでした。
そういった方針のもと続けてきたわけですが、バーチャルYouTuberのファンは男性の比率がとても多くて、実際そういう層にウケやすい美少女がたくさんいるという中で、原宿JKにウケそうなのがぼくくらいしかいない状況になっているので結果的に良い差別化ができていますね。
──ニコニコ超パーティーなど対外的な企画への出演も積極的な印象ですが、外での活動は普段と意識することが違ったりするのでしょうか?
ピーナッツくん 外の企画に出る時はとにかく爪痕を残そうとは思ってます。よく出張出演しているぽんぽこさんのチャンネルの時も外の活動だと思っていて、そうした場所では一般ウケみたいなものを意識したりもします。
その分、自分のチャンネルではぼくの面白いと思っていることを濃縮するというような意識の違いがあったりするナッツ。
ピーナッツくん あまりないナッツ! ぼくは元々YouTuberさんたちみたいな個人で発信する力を持っている人を尊敬しているので、テレビに出れて感激! とかはそんなにないナッツね!
はじめてテレビに出たときは多少思うところはありましたけど、今回の企画に特に思い入れがあったりはしてないです。チャンネル登録者もめちゃくちゃ伸びるわけじゃないですしね!
本当にアニメ然としたものであったら違ったとは思います。「バーチャルさん」はテレビアニメとは言っていますが、バーチャルYouTuberが集まってのお祭りみたいなものなので。
──それでも出演オファーを受けたのはなぜなのでしょうか?
ピーナッツくん 自分のコンテンツを充実させるっていう本筋の活動に重きを置くのはもちろんなんですが、大きな対外的なイベントとかにも多少は出ておかないと存在感薄れるナッツからね! そういったことは師匠であるデカキンさんにもアドバイスを受けていたりもするナッツ!ピーナッツくんにdisられてデカキン、ガチギレ
──ということは出演をセーブすることもあるのでしょうか?
ピーナッツくん もちろん、手当たり次第に受けてきたわけではなくて、セーブするって観点でもありますし、企画が合わないなと思えば断ることもありますナッツ。ブランディングってやつです。
──全体を見据えたセルフプロデュースなんですね。プロデュースといえばこれまで24時間配信という前代未聞の企画をぽんぽこさんと共に主催し、2度も成功されています。そうした大勢を巻き込んだ企画の時は、古参として業界を引っ張っていこうという思いもあるのでしょうか。【24時間生放送】2枠目 ぽんぽこ24 リターンズ
ピーナッツくん そうした大型企画を主催するのは第一に自分達をもっと知ってもらうためというのがありますけど、普段見られてはいないけどものすごくクオリティの高い人たちにスポットライトが当たってほしいという気持ちもあるナッツ。
ぼくやぽんぽこさんは普段からものすごく他のバーチャルYouTuberさんの動画を見ているので、世間が知らない面白い人達がまだまだいるのをよく知っているんですよ。だからこそそうした人達と一緒に盛り上がりたいという気持ちでやっていますし、なにかエールになればなによりと思ってるナッツよ。
ピーナッツくん やっぱり原宿での誕生日イベントですね。ファンの方の熱気を直接感じることが出来て、本当に感激したナッツ。ぼくらは社員やスタッフがいないから、数少ない友人がイベントの運営を手伝ってくれたんです。
これ以上ないアットホームな雰囲気で、いつもアウェイ感を感じながら活動しているぼくにとっては、とても居心地のいい空間だったナッツよ。
ぼくの活動はぼくが面白いと思うことを突き詰めてやってきたんですけど、それを面白いと思ってくれる人がこんなにいっぱいいるんだって分かって、ぼくはこの人たちのために頑張ればいいんだなって思えました。
──そうしたオリジナリティ溢れる活動を続ける一方で、活動の本筋であるショートアニメももう70話以上にも及んでいます。
ピーナッツくん 長く続けられてはいますが、まだまだぼく以外のキャラクターの認知度が低いのがちょっと悩みどころですかね。 ピーナッツくん ご主人様は物語として進めている以上いつか完結させるつもりでいるみたいですし、やがては映画にしたいと目論んでいるみたいナッツ。
──映画! スクリーンでのご活躍が今から楽しみです。
ピーナッツくん 乞うご期待です。打倒ピクサー!
──そんな波瀾万丈の大冒険を経て3D化やリアル原宿でのイベントなど様々なことを成し遂げられてきましたが、これからはどんな活動を計画されていますか?
ピーナッツくん ゆるキャラですね。
──……ゆる?
ピーナッツくん ぼくは見た目が見た目なのでゆるキャラ界でも通用すると思うんですよ。なのでゆるキャラグランプリにVTuber界からの黒船として出場したいと思っているんです。
その為には準備がまだまだ必要なんですけど、やがてはあっちの世界の親分であるふなっしー親分に一泡吹かせたいナッツ!
──まさかそんな意外な野望をいただけるとは思ってもみませんでした。
ピーナッツくん これがぼくのスタンスなんです。これまでも自分の思うとおりにやってきましたし、これからもふざけた感じでやっていくナッツー!
KAI-YOU.netではこれまでもその動向を追ってきたが、シーンの中心を担うのはキズナアイや輝夜月を代表とする美少女キャラクターたちだ。アニメやゲームといった既存のカルチャーと親和性の高いバーチャルYouTuberは必然的にトレンドの属性も似通い、結果として美少女/美男子のひしめくシーンを形成した。
ブームの発生から1年が経過し、NHKでの「バーチャルのど自慢」や初となるテレビアニメ「バーチャルさんはみている」など人気バーチャルYouTuberが勢揃いしての大型企画も数を増やしてきた。
集められたメンバーを見るとそれぞれが自身の活動を堅固なバックボーンにした強烈な個性を持つ美少女たちが中心であるが、その中に一際異彩を放つ黄色い豆がいる。それがピーナッツくんだ。
取材/文:オグマフミヤ 編集/企画:米村智水
シーン最重要人物は、地固めが凄い5才のピーナッツ?
ピーナッツくんは2017年7月から「オシャレになりたい!ピーナッツくん」と題したショートアニメの投稿をYouTubeで開始。時事ネタをモチーフにしたキャラクターが登場する独特の風刺性とシュールなコメディが特徴的なシリーズは現在70話以上にものぼり、海外向けチャンネルであるNHK Worldに取り上げられたこともある。
バーチャルYouTuberとしては原宿JKへの認知度調査や、人気YouTuber・デカキンとのコラボはじめ独特の活動スタイルで人気を博し、キズナアイとも複数回コラボするなどそのポジションを確かなものにしていて、そんな自らを「地固めが凄い」と評するほど。
現在のバーチャルYouTuber界はブームの当初と比べて企業の進出が目立ち、人気バーチャルYouTuberはグループや企業に所属、もしくは最初から企業が開発・運営を行なっていることが当たり前の状態だ。
そうした発展の仕方が悪いわけではない。しかし、生身のYouTuberと比較した時に個人のクリエイティブ発表の場としての属性が薄い感覚は否めない。そうしたシーンにあって、毎日動画を投稿しながらも、企業にも属さず、美少女でもないという常識を逸したピーナッツくんのスタイルは存在感を増し続けている。
今回は激動のシーンにあって我が道を行くピーナッツくん本人と、ピーナッツくんのご主人様であり甲賀流忍者ぽんぽこのプロデューサーでもある兄ぽこさんにインタビューを敢行(KAI-YOU Premiumにて公開中)。
これまで明かされてこなかった活動の裏側と、古参として現在のシーンに感じていることをうかがった。
クレイジーなユーモアセンスを備えた5才のピーナッツという殻に詰め込まれた誠実と反骨の精神とは。
“オシャレ”になりたい!と叫び続けるピーナッツくん
──本日は宜しくお願いいたします。失礼ですが自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか? ピーナッツくん こんにちナッツー! ピーナッツくんです! YouTubeに「オシャレになりたい!ピーナッツくん」というショートアニメをいっぱい投稿している一方で、相棒のチャンチョやお友達のぽんぽこさんと協力してYouTube活動もしていて、バーチャルYouTuber界にも幅をきかせているナッツ。──バーチャルYouTuber界において独特のポジションで活躍されていますが、元々はショートアニメになっている冒険から活動をスタートされていますよね。そもそもなぜ「オシャレになりたい!ピーナッツくん」という冒険をはじめられたのですか?
ピーナッツくん タイトルの通りオシャレになりたいからですね。じゃあオシャレってなに? って言われると正直ぼくもまだわかっていないのですが、それを理解するために現実世界で流行っているものを感じさせる不思議なキャラクターたちに会う冒険をしているナッツ。
──時事ネタを反映した不思議なキャラクター達が跋扈しているあの世界はそもそもなんなのでしょうか?
他のバーチャルYouTuberさんみたいに考察しがいのある世界観とか記憶喪失みたいな裏設定とかあったらよかったんですけど特にはないですね!
──本日同席していただいてるチャンチョさんのように、不思議な世界から誕生してキャラクターとして独立される方もいらっしゃいますね。 チャンチョ ピーナッツくんの相棒のチャンチョです。本日はお招きいただきありがとうございます。
ピーナッツくん チャンチョはピーナッツの中身で、いつもぼくに寄り添ってくれています。あんまり寝てないみたいで目の周りがくまだらけなのがちょっと心配なんですけども。
──黒いのはくまだったんですか。
ピーナッツくん そうです、『NARUTO -ナルト-』の我愛羅と一緒です。
──ものすごくしっくりきました。忍者といえば同じくショートアニメのキャラクターからスピンアウトした存在として、甲賀流忍者!ぽんぽこさんもいらっしゃいますよね。
ピーナッツくん 込み入った事情をここでドロップさせてもらうと、ぽんぽこさんはぼくの世界では怪盗ぽんぽこというキャラクターですが、ぼくのご主人様である兄ぽこさんの妹でもあるというややこしいポジションの人です。
なのでぼくにとってはすごく仲が良い友達ってところですかね、血縁関係あるのかなってくらい作風も似てますし。
5才のピーナッツこそが原宿のJKに届きうる
──ピーナッツくんは最初からバーチャルYouTuberとしてデビューされたわけではありませんでしたが、そもそも最初にバーチャルYouTuberを認識したのはいつ頃でしたか?ピーナッツくん だいぶ早いほうだと思いますよ。具体的にはのじゃおじさん(※)が出てくる1ヶ月くらい前ですかね、キズナアイちゃんを見てビビッときたのを覚えているナッツ。
※のじゃおじさん:バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさんことねこますさんの愛称のひとつ。2017年11月より活動開始。
──”ビビッと”と言いますと?
ピーナッツくん これはぼくが住むべき世界だなという直感ナッツ!
それからのじゃおじさんがYouTubeに動画を投稿しはじめて、全体がドンと盛り上がっていったんですが、その頃は少し様子を観察していたんです。
その後にいちから(※)って会社がいっぱいバーチャルYouTuberみたいなのを出すってニュースを見て「うわー企業も参入してくるぞ!」って驚異みたいなものを感じて、ぼくも改めて参入していこうと決めました。
※株式会社いちから:月ノ美兎などの所属するバーチャルライバーグループ・にじさんじを運営する企業。
──バーチャルYouTuber界への参入で、動画の再生数などに変化はありましたか?
ピーナッツくん 目に見えて変わりましたね。バーチャルYouTuberというシーンに加わっていくことで、それまでと違って誰かと比較されて見られるようになったんです。多少面白いことをやっている自信はあったので、そうして並べて見てもらえることで数字も出てきたのかなって思うナッツ。
──全体として美少女キャラクターで構成されるバーチャルYouTuberシーンにおいて、ピーナッツくんは見た目もさることながら強烈なキャラクターで独特のポジションを築かれていますよね。そんなご自身の立ち位置についてはどう分析されていますか?
ピーナッツくん 大勢が集まる企画では営業にきたお笑い芸人みたいになんでもやらせられるっていう立ち位置だと思うんですが、それによってみんなができないことをやれるので結果として独特のポジションを築くことに繋がっているんじゃないでしょうか。
ぼくやぽんぽこさんは失敗しても特に失うものもないので、他が躊躇するところをガンガンやっていけるナッツ!
そういう違いも生み出せるので放送作家とか制作側の人に優しい存在だと自負しています。番組構成に優しい系バーチャルYouTuberってところナッツ。
──まだ5才なのにさすがの考察力です。独特といえばターゲットにしている層も特徴的で、原宿JKへの認知度調査を行うなど原宿とJKに並々ならぬこだわりを見せていますが、一体なぜなんでしょうか?
ぽんぽこさんがJKや女の子文化が好きで、JKを観察したいがために誰とも知らぬJKのTwitterをフォローしていたりする不思議な人なんですが、ぼくがこういう活動をするにあたって彼女が言ってきたのが、とりあえずJKウケを狙えということでした。
そういった方針のもと続けてきたわけですが、バーチャルYouTuberのファンは男性の比率がとても多くて、実際そういう層にウケやすい美少女がたくさんいるという中で、原宿JKにウケそうなのがぼくくらいしかいない状況になっているので結果的に良い差別化ができていますね。
──ニコニコ超パーティーなど対外的な企画への出演も積極的な印象ですが、外での活動は普段と意識することが違ったりするのでしょうか?
ピーナッツくん 外の企画に出る時はとにかく爪痕を残そうとは思ってます。よく出張出演しているぽんぽこさんのチャンネルの時も外の活動だと思っていて、そうした場所では一般ウケみたいなものを意識したりもします。
その分、自分のチャンネルではぼくの面白いと思っていることを濃縮するというような意識の違いがあったりするナッツ。
ピーナッツくんが「バーチャルさん」出演した理由 師匠デカキンの教え
──外での活動といえば放映中のTVアニメ「バーチャルさんはみている」への出演もあります。ショートアニメ出身のピーナッツくんとしてはTVアニメへの出演に感慨深いものもあったのでしょうか?ピーナッツくん あまりないナッツ! ぼくは元々YouTuberさんたちみたいな個人で発信する力を持っている人を尊敬しているので、テレビに出れて感激! とかはそんなにないナッツね!
はじめてテレビに出たときは多少思うところはありましたけど、今回の企画に特に思い入れがあったりはしてないです。チャンネル登録者もめちゃくちゃ伸びるわけじゃないですしね!
本当にアニメ然としたものであったら違ったとは思います。「バーチャルさん」はテレビアニメとは言っていますが、バーチャルYouTuberが集まってのお祭りみたいなものなので。
──それでも出演オファーを受けたのはなぜなのでしょうか?
ピーナッツくん 自分のコンテンツを充実させるっていう本筋の活動に重きを置くのはもちろんなんですが、大きな対外的なイベントとかにも多少は出ておかないと存在感薄れるナッツからね! そういったことは師匠であるデカキンさんにもアドバイスを受けていたりもするナッツ!
ピーナッツくん もちろん、手当たり次第に受けてきたわけではなくて、セーブするって観点でもありますし、企画が合わないなと思えば断ることもありますナッツ。ブランディングってやつです。
──全体を見据えたセルフプロデュースなんですね。プロデュースといえばこれまで24時間配信という前代未聞の企画をぽんぽこさんと共に主催し、2度も成功されています。そうした大勢を巻き込んだ企画の時は、古参として業界を引っ張っていこうという思いもあるのでしょうか。
ぼくやぽんぽこさんは普段からものすごく他のバーチャルYouTuberさんの動画を見ているので、世間が知らない面白い人達がまだまだいるのをよく知っているんですよ。だからこそそうした人達と一緒に盛り上がりたいという気持ちでやっていますし、なにかエールになればなによりと思ってるナッツよ。
ふなっしーに一泡吹かせたい
──VTuberカルチャーの隆盛と共にこの1年間は特にご自身の環境も含めて様々な変化があったと思います。改めて振り返ってみてピーナッツくんとしての活動の中で一番印象に残っていることはなんですか?ピーナッツくん やっぱり原宿での誕生日イベントですね。ファンの方の熱気を直接感じることが出来て、本当に感激したナッツ。ぼくらは社員やスタッフがいないから、数少ない友人がイベントの運営を手伝ってくれたんです。
これ以上ないアットホームな雰囲気で、いつもアウェイ感を感じながら活動しているぼくにとっては、とても居心地のいい空間だったナッツよ。
ぼくの活動はぼくが面白いと思うことを突き詰めてやってきたんですけど、それを面白いと思ってくれる人がこんなにいっぱいいるんだって分かって、ぼくはこの人たちのために頑張ればいいんだなって思えました。
──そうしたオリジナリティ溢れる活動を続ける一方で、活動の本筋であるショートアニメももう70話以上にも及んでいます。
ピーナッツくん 長く続けられてはいますが、まだまだぼく以外のキャラクターの認知度が低いのがちょっと悩みどころですかね。 ピーナッツくん ご主人様は物語として進めている以上いつか完結させるつもりでいるみたいですし、やがては映画にしたいと目論んでいるみたいナッツ。
──映画! スクリーンでのご活躍が今から楽しみです。
ピーナッツくん 乞うご期待です。打倒ピクサー!
──そんな波瀾万丈の大冒険を経て3D化やリアル原宿でのイベントなど様々なことを成し遂げられてきましたが、これからはどんな活動を計画されていますか?
ピーナッツくん ゆるキャラですね。
──……ゆる?
ピーナッツくん ぼくは見た目が見た目なのでゆるキャラ界でも通用すると思うんですよ。なのでゆるキャラグランプリにVTuber界からの黒船として出場したいと思っているんです。
その為には準備がまだまだ必要なんですけど、やがてはあっちの世界の親分であるふなっしー親分に一泡吹かせたいナッツ!
──まさかそんな意外な野望をいただけるとは思ってもみませんでした。
ピーナッツくん これがぼくのスタンスなんです。これまでも自分の思うとおりにやってきましたし、これからもふざけた感じでやっていくナッツー!
KAI-YOU Premiumでさらに深掘り
新メディア「KAI-YOU Premium」にて、ピーナッツくんと甲賀流忍者ぽんぽこさんの「生みの親」こと兄ぽこさんのインタビューも掲載中です。 VTuberプロデューサーにして、稀代のクリエイターでもある彼の素顔、そしてVTuberシーンの1年を振り返って見えてきた知見、未来への展望など、ビジネス/カルチャーの双方の面からお話をうかがいました。要チェック!この記事どう思う?
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