連載 | #6 古今東西ボードゲーム探検!

【試遊レポ】VRボードゲーム『アニュビスの仮面』 VRの弱点を逆手に取った斬新な発想

『アニュビスの仮面』をクリアするために立てた作戦とは?

このままではあまりにも無様すぎる!

なにより、『アニュビスの仮面』の魅力を十分に伝えられるのか? という編集部の懸念もあり、再挑戦させてもらうことに。絶対に負けられない戦いがここにはある……!! ということで、私たちは戦略会議を実施した(もちろんゲームプレイ中に戦略を話し合ってもOK)。

協力型のゲームでは、この戦略を話し合う時間が一番楽しかったりする。

「自分が立っている場所をゼロとして、まず最初にどこに壁があるのか伝えよう!」「タイルの種類ごとに、“L字”“一本道”“三叉路”“行き止まり”って呼ぼう!」とか、あーでもないこーでもないと話し合いながら、作戦を練っていった。

特に今回クリアできなかった大きな要因として、数種類あるタイルやオブジェの呼び方、自分の立っている地点を1マスとカウントするかしないか、最初に必ず伝えるべき情報などなどが、チーム間で共有できていなかったことが挙げられる。

そこで決まった私たちの基本的な作戦は、以下の通り。

クリアするために立てた3つの作戦!

・VR上で自分が立っている地点をゼロとする

・最初に前後左右の壁を申告。この組み合わせから、最初の通路タイルを探し出す(ちなみに、私たちはこれを“ゼロの壁”と勝手に命名。ゲーム中、こうしたオリジナルワードが飛び交うのも楽しい)

・その後、1マスごとに“L字”“三叉路”といった通路タイルを確定させ、そこに置かれているオブジェを説明する


ちなみにプレイヤーが立つ場所は、たとえ他のプレイヤーが立った場所と近い地点であったとしても、見える角度が異なるため、中々そのことに気づくのは難しい。

ただ、同じ種類の白いオブジェは1つしかないため、たとえば2人のプレイヤーが同じオブジェを見た場合、そのプレイヤーが見た情報は同じであると判断できるため、迷路を完成させる上で、非常に重要な情報となり得るのだ。

私たちがつけたタイルの名前は、上段左から“一本道”“L字”“三叉路”、下段左から“入り口”“出口”“はてな”“行き止まり”

こうして準備が完璧になったところで、いざリベンジ!!

VRゲーム『アニュビスの仮面』再挑戦の結果は……?

「ゼロ地点の後ろと左が壁。前1マスが“一本道”。そこに、四角いオブジェが置いてある。前2マス目は右に曲がる“L字”で、その正面の壁に時計があって、左側の壁には椅子。右1マス目は“一本道”で、右側の壁に椅子、左側の壁に絵画がある。右2マス目が“三叉路”で、右側だけが壁です」

HMDを覗いていたプレイヤーは、青い7の目印の位置にいたので、セリフと照らし合わせて確認してみてほしい。迷路には人形や椅子、時計、四角いオブジェなどの様々な目印が置いてあり、これを他のプレイヤーに伝えるのが、パーツを組み合わせる上でとても重要

最初のグダグダな説明と比べて、その上達ぶりがわかってもらえると思う。HMDを外すと、さっきまで見ていた通りの迷路が組み上がっているではないか!! 「すごい合ってる!」と叫ぶと、ほかのプレイヤーも思わず笑顔。

さらには、壁をすりぬけて同じ3マス間を移動する「ゴースト」というギミックも登場。このゴーストも「ここの壁とこっちの壁は隣り合っているんじゃないか?」と地図を組み合わせるヒントになる。

どちらの壁にゴーストがすり抜けていったかをマーカーで目印に

その後、大きなミスもなく、ほぼ間違えのない迷路のパーツ9つができあがった。後は重複部分を考慮しつつ、ひとつの迷路として合体させる。

作戦が功を奏し、緑色のスタートのパネルから赤色のゴールのパネルまで繋がる道をどうにか組み合わせることができた!

答え合わせでは冒険者コマを1マスずつ動かしていくのだが、順調にゴールに向かっていく冒険者コマに「まっすぐ! 次は左!!」と大盛り上がり。冒険者コマは見事ゴールに到達! リベンジを果たした私たちはみな快哉を叫んだのだった。

みんなで手軽に楽しむことができるVRゲームの可能性

今回、『アニュビスの仮面』をプレイして驚いたのは、一人で楽しむものだったVRゲームを、みんなで力を合わせて喜びを分かち合うという、まさに真逆の楽しみ方を提供していたことだ。これは、VRゲームの新しい可能性ともいえるだろう。

濱田さんによれば、ギフトテンインダストリ社では、VRゲームのほかにも「アイ・トラッキング(視線追跡)」や「AR(拡張現実)」など、“一時期もてはやされたけど、いまいち普及しきれていない技術”を使って、世界初のものをつくろうと会議を重ねているという。

ギフトテンインダストリ株式会社 濱田隆史さん

このあたり、ゲームボーイの生みの親・横井軍平さんの哲学「枯れた技術の水平思考」(最先端ではなく、ある程度実現性が高まるも有効活用されてない技術を応用する、という考え方)とも通ずるところを感じる。

また、『アニュビスの仮面』で使われるHMDは、スマートフォンを装着するゴーグル式の「ハコスコ」が採用されているので、スマートフォンがあれば遊べるという手軽さもうれしい。すでに国内のVR関係者や大手玩具メーカーの社員らも興味を示しているという。

今回プレイしたのは試作品だったが、商品化の際にはゲームタイトルの通り、ゴーグルがエジプト神・アヌビスをイメージしたデザインになるなど、より世界観が強調されるというので、見た目だけでも楽しめそうだ。

2016年2月末頃に行われるゲームマーケット神戸での発売を予定している。その後はギフトテンインダストリの通販サイトでの購入が可能。現在予約を受付中。

アニュビスの仮面予約ページ

今後もゲームショーなどに出展予定とのことで、これからますます注目を集めそうだ。

2016.02.24 追記:一部ルールの変更

記事公開時は開発中だったため、ゲームの一般発売に伴ってルールが一部変更となっている。

まず、ターン数が9から7に変更された。あわせて、プレイ人数も2〜9人から2〜7人に。

また、記事中では、9ターンだったため9パーツで迷路が構成されているが、製品版では7ターンで7パーツの迷路の完成を目指すこととなる。

3月1日(火)からの発売に向けて既に予約受付は開始されており、3月上旬から順次発送予定とされている。
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ゲーム情報

アニュビスの仮面

ジャンル
VRボードゲーム
プレイ人数
2人〜7人
発売日
2016年3月1日(火)から
公式サイト
http://anyubis.com/
開発
ギフトテンインダストリ株式会社
http://gift10.net/

※記事初出時は開発中だったため、ルールが一部変更となっています

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1件のコメント

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CKS

CKS

めちゃくちゃに面白そうすぎるオブザノミネート

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