違法性を認識せず、違法行為を繰り返す
──警告や示談の場合、違法アップロード者と実際に接することもあるかと思いますが、違法アップロード者はどのような意識で違法行為を行っていると感じていますか?担当者 悪い行為だと理解してはいるものの、その認識は極めて低く、咎められるとも思っていなかったと口にする方々が多くいます。彼らはアップロード先や動画の再生等で得られる広告収入目的や、違法にダウンロードしたユーザーから得られる賞賛によって高揚感・達成感・優越感に浸りたいという感情、さらに最悪の場合は、罪の意識はなく、完全なる善意のつもりで行っているような方もいます。
竹村弁護士 これは、多くの違法アップロード者が野放しに近い状態であったことが招いた結果だと思います。違法行為を繰り返す多くの人は、違法性を深く認識していないこともあります。
とはいえ、今は状況が違っています。CAさんの積極的な働きかけや違法ダウンロードの刑事罰化、多額の損害賠償請求が裁判で認められるなど、違法コンテンツに対する責任の重さが徐々に周知されつつあります。
また、国をまたいでの特定も積極的に行われるようになり、コンテンツホルダー業界全体の取り締まり強化の傾向は、さらに厳しくなっていくと思います。今では「知らなかった」「違法とは思わなかった」という言い逃れは通じません。その代償は高くつくことになるでしょう。
対策や取り締まりが強化される一方で浮上する問題点
──こうして、取り締まり強化の流れが強まる一方で、違法アップロードや違法ダウンロードを取り締まっていくにあたって問題点などはあるのでしょうか?竹村弁護士 前述のように、法の改正やコンテンツホルダーの危機意識が向上する一方で、アップロードやダウンロードの違法行為をしている方々の違法性の認識自体は、まだまだ低い状態です。このまま進むと、多数の青少年を本人の違法性の認識がないまま、犯罪者にしてしまうという問題が考えられます。
フランスでは、「スリーストライク制」という、ネット上の著作権侵害について、侵害者に対して数回の警告を行い、なお侵害行為をやめない人に対して、インターネット接続の停止等を含めた制裁を科すという制度を採用しています。
この制度は著作権侵害について効果を発揮しているだけでなく、採用の議論が始まった段階で、正規サイトからのダウンロードが顕著に増加しているとの報告もあり、韓国においても同様の制度が導入されています。日本においても、単に取り締まりを厳しくするのではなく、各国の状況を見ながら、日本文化の発展にとってよりよい制度をつくりあげていくことが大事なのではないかと思います。
今後は違法ダウンロード者も同様に対応していく
──今後は違法行為に対して、どのように取り組んでいくのでしょうか?担当者 今は違法アップロード者への取り締まりに力を注いでいますが、同時に違法ダウンロード者の接続情報も専門業者と協力して取得しています。ただ、現状は違法ダウンロード者のほうが圧倒的に多いため、細かい取り締まりには至っておりません。
とはいえ、すでに違法アップロード者同様、取り締まり強化の調整はしており、体制が整い次第、違法ダウンロード者も同様に取り締まっていきます。
最終的な目的は、法的措置で取り締まることではありません。理想としては、「スリーストライク制」の議論と同じように、こうして取り締まり強化を宣言することで、正規にコンテンツを購入する方が増え、違法行為自体がなくなっていけばいいと思っています。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:3263)
書類送検は逮捕ではない。