『五ツ星プリンス』声優 蒼井翔太×作曲家 堀江晶太 インタビュー 意外と地味な○○?

龍臣の二面性が存分に表現されたキャラクターソング

桐野龍臣

──蒼井さんが演じる龍臣のキャラソン「極上☆C’est bon!」を実際に聴いてみていかがでしたか?

蒼井 できあがった曲をずっと聴いてるんですけど、メロディーも龍臣のキャラをイメージした、ちょっと弾むようなリズムだったり、でもちょっと今風な音色もあったりとかして、めちゃくちゃカワイイ曲だなと。

僕は音楽の種類とかはよくわからないんですけど、ブワーッみたいな音ありましたよね。

堀江 シンセサイザーですかね!?

蒼井 そうそう、あの音が僕すごく好きで。あと、歌詞も龍臣のことが書かれていて、歌うのはやっぱり楽しかったですね。

ただ、正直、アフレコの時に自分でこういうキャラで、こういう声でやるというふうに決めたのはいいんですけど、実際この声でこういう曲を歌えるのかなという不安があったんですよ。でも、やっぱりカワイイ曲だし好きな曲だから、歌い切るぞという意思は強かったです。

で、最初は声帯をメロディーの旋律に慣らすために、キャラ声ではなく普通の声で歌わせてもらって、その後にキャラ声で歌うように調整していきました。

ボイスドラマでもそうですが、「5プリ」ってすべてのキャラクターにすごく振り幅があって、その中でも龍臣って自由度が高いんですよ。僕が今まで演じたキャラの中でも特に。

だから歌でもそういう龍臣らしさが出せたらいいなと思って、ガンガンにやらせてもらいましたね。

堀江 純粋に歌がとてもうまいなというのもあったんですが、それだけじゃなくて、キャラクター表現とか演技の振り幅が非常に広い、役者的なシンガーさんだなと思いましたね。

僕は蒼井さんの通常の声出しから聴いていたんですけど、普通に歌っていた時は質の良いポップスになっていて。

その後にキャラ声で歌うのを聴いて、一瞬でポップスシンガーからキャラソンシンガーに変わる瞬間を見て、こんなにすっと切り替えられるものなのかと、メリハリを感じました。

楽曲も龍臣の二面性を表現した曲になっているんですが、その切り替えも速いし面白くて、特に蒼井さんのレコーディングの時には、いつもいい意味でスタッフから笑いが起こってましたね。

「episode2:桐野龍臣は魔法をかける」より

──楽曲のほうも、陽一郎のキャラソンがR&B調だったのに対して、龍臣のキャラソンはEDMに近い曲調になっていますよね。

堀江 そうですね。今回はK-POP調の楽曲をベースに、ポップスやキャラソンとしても聴けるように、それにプラスしてEDMやポップスといった要素も意識してつくりました。

蒼井 だからめちゃくちゃ好きなんだ。僕K-POP大好きで、よく聴くんですよ。

堀江 イントロは完全にK-POPを意識してますね。シンセがバーンって鳴っていて、音数は少なくて、シンプルな反復するフレーズになっていて。

蒼井 でも、メロディーがすごくかわいかったのも印象的でした。

堀江 そうですね、そこはK-POPのサウンド感と日本の古きよきメロディー重視のテイストを合わせようというつもりでつくってみました。

「episode2:桐野龍臣は魔法をかける」より

──さきほどおっしゃていた、楽曲の二面性というのは?

堀江 表では愛想を振りまくかわいらしいキャラなんだけど、ちょっとキレたモードに入ったらすごく腹黒い、みたいな龍臣のキャラを音でも表現しようと思って。

ここはかわいいモード、ここはちょっと腹黒いって感じで楽曲ごとにパートを分けたコロコロ変わる曲調で、一般的な曲だったら無理なちぐはぐ感をあえて出してみました。

蒼井 僕もファンから「あざとい」と言われているんですが(笑)、そこは龍臣と多少重なるところなのかなと。

曲は確かにAメロとBメロ、Bメロとサビの差といった山あり谷ありな曲調で龍臣の二面性がすごく現れていて、キャラソンとして素晴らしいできあがりだなと思いました。

読者アンケートで意外な人気を誇ったキャラは?

「episode2:桐野龍臣は魔法をかける」より

──漫画が掲載されている「別フレ」の読者アンケートでは、女性読者からヒロイン・笹山ひなたの人気が特に高かったそうです。女性向けコンテンツでは珍しいことだと思いますが、そんな彼女のキャラクターについてはどう思いますか?

蒼井 めげないでよく頑張ってるなと思いますよ。とんでもない人間が揃ってる中で、よく普通にいられるなと。困惑しながらも、ひとりひとりと前向きに向き合って、関わっていけるのがすごいなと思います。

でも堀江さんのような作曲家さんからしたら、ひなたちゃんがみんなお仕事をしている間に入ってくるように、作曲の途中とかに人が入ってくると、やっぱり気が散るものなんですか?

堀江 どうだろう(笑)。僕は人から見られているのも好きというか、その方がちゃんと仕事しなきゃな、となるタイプなんです。今は自宅でひとりで仕事をしてるんですが、逆に人がいる環境で働きたいな、という願望はけっこう前からあって。

何か励ましたりしてもらえると、ちょっといいところを見せようとする気持ちになったりするので、意外とそういう人もいるのかもしれませんよ。

漫画家・声優・作曲家、それぞれが表現する「5プリ」

──「5プリ」では、漫画だと見られない一面がボイスドラマでは見えるといった場面が多いと思います。それぞれ声優・作曲家として、そういった漫画とボイスドラマの両軸で展開されているコンテンツに関わる上で、何か意識されていることはありますか?

蒼井 僕からすると、ボイスドラマにしか出てこない一面を印象づけるというか、キャラクターの裏側も楽しんでいただけるようにという意識で演じていますね。

──ボイスドラマやPVといったコンテンツで世界観をつくる上でも、楽曲という存在は結構大きいと思いますが、堀江さんはそういった点で意識されたこともあるのでしょうか?

堀江 楽曲は、すべての設定やキャラクターを象徴するアイコンだと考えていますが、漫画を描かれている原作者の方やキャラクターを演じられている声優さんなど、それぞれの「5プリ」という世界を表現する方がたくさんいる中のひとりという意識で参加しています。

僕にとって「5プリ」は2次創作に近いイメージがあって、それぞれのクリエイターやアーティストたちが、「5プリ」というコンテンツの大きな世界観をもとに自分なりに表現した「5プリ」を投じている。

こうしてそれぞれが思う「5プリ」が集まって、ひとつのコンテンツとして世界観が構築できればと思いますね。そういう意味では僕もかなり好きにやらせてもらっていて、僕なりの「5プリ」の音はこうじゃないかな、といった提案も積極的にさせていただいています。

蒼井 声優側としては、本当にそのキャラクターがそこにいるかのごとく演じなきゃいけないので、2次創作まではいかないですけど、何かひとつのスパイスとして、全体の味を引き締めるような役割を担っているとは思っています。

そこら辺はやっぱりキャラクターとして重要だとは思っているので、大きなプレッシャーと闘いながら……!

──ボイスドラマを視聴する専用アプリ「ウルトラ!プレイヤー」は、実際に使用されてみていかがでしたか?

蒼井 すごいなと思いましたよ! 漫画の絵が場面ごとに登場しながら音楽が流れて、アニメを見ているような感覚で気軽に物語を楽しめる。雑誌についているカードから読み込むことができるっていうのも、すごい技術だなと。

堀江 漫画でもなくボイスドラマでもない中間点のような、それこそ新しいメディアが出てきたなと思いましたね。これからもっといろいろと発展していくんじゃないかと、楽しみにしながら見ています。

──漫画の世界が立体的になったかのような臨場感がありますよね。

蒼井 すごく新鮮で、ワクワクしましたね。見る前も、見た後も。もう1回最初に戻って見たくなるような、面白いプレイヤーだと思いました。

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