“おばあちゃんに見せられるもの”を描いているか
──ここまでしぐれういさんによる絶賛が続いていますが、ななさんご自身としては仕事で絵を描く際にどのようなことを意識しているのでしょうか?
なな VTuberさんの絵を描かせてもらう時は、ファンの方とご本人、あと運営さんの3つの視点を意識しています。
それぞれ見たいものやアピールしたいポイントがあると思うので、そこのバランスを考える必要があります。だからこそ、まずその方についてしっかり勉強することからはじめるようにしているんです。
──それぞれの視点を考えればこそ、バッティングしてしまう時もあるのではないでしょうか?
なな 私がやりとりするのは運営さんの場合が多いので、まずはそこのご要望に応えることが大事だと思います。運営さんがしっかりVTuberさんご本人とコミュニケーションを取れているなら、齟齬が生まれることは少ないので。
その上で、可能ならファン目線として嬉しい要素を少し加えるみたいなバランスでやっています。バッティングしてどうしようもなくなる、みたいなことはほとんどないですね。
──しぐれういさんもイラストレーターとして様々な作品を手がけられていますが、イラストを描く際は何を意識していますか?
しぐれうい ご本人の良さをしっかり出すのはもちろんなんですが、その上で私に依頼をしてくださった意味を考えるようにしてます。
しっかり本来の絵柄に寄せて描いた方がいいのか、それとも私自身の色を強めに出してもいいのか。案件によって変わってくるので、そこは結構考えて描くのが大事だと思います。
──近年、一般向けの広告などにもイラストが使用されています。見られる人が増える中で、表現に対する姿勢として変化はありましたか?
なな ここ数年での変化はないのですが、私の場合そもそも絵を描く時のラインとして「うちのおばあちゃんが見ても嫌な気持ちにならないように」という意識があるんです。
おばあちゃんは私の描いたイラストのグッズを飾ってくれるので、グッズをあげる時になるべくビックリさせたくないので。あと家族ぐるみで私のXが見られているという事情もあります(笑)。
しぐれうい 私もあんまりセクシーすぎるものはお仕事としてお受けしてないですし、自分でもあまり描かないから、そこの意識は一緒かもしれないですね。うちのおばあちゃんの家にも私のイラストのカレンダーがあったので、やっぱりおばあちゃんラインを意識するのは重要だと思います。
イラストレーターの展覧会への意識、対照的な二人
──イラストレーターの方の活躍の場として、近年個展の開催も増えたと思います。しぐれういさんも先日まで「しぐれうい展2026『Uitopia』」を開催されていましたが、リアルに絵を展示できる個展ではどんなことを意識されていますか?
しぐれうい 私の場合は、それぞれの個展によって意識を変えているところもあります。たとえば2年前の個展の時は、最初からオリジナルのイラストとVTuberのイラストを半々にすることを考えていて、しっかり絵を見てもらう個展としての意識がありました。
今回の「Uitopia」の場合は、個展というより企画展に近いもので、イラスト以外の展示物もたくさん用意してます。だから、どちらかといえばテーマ―パークに来るような気持ちで遊びに来てほしくて、みんなに楽しんでもらえるようにって意識がありました。
5月に開催された展覧会「Uitopia」
「Uitopia」の会場に登場した高さ180cm超の巨大な“しぐれぬい”
──ちなみに、ななさんは今後個展を開きたいといった思いはあるのでしょうか?
なな 私はあんまりそういう気持ちはないですね。個展や画集は、“自分らしさ”みたいなものを表に出す意識がないとつくれないものだと思うんです。
私の場合、SNSも積極的にやっていないですし、裏方でいたいって気持ちが強いので、今は誰かのお手伝いとしてイラストを描いているのが楽しいなって思ってます。
しぐれうい かっこいい……。本当に理想的な絵描き像だなって思います。
正直、同業者が絵を見れば「おや……この絵はとりあえず完成させた、数をこなしている絵だな……?」って分かってしまう時もあるんですけど、ななさんの作品にはそういう絵が一つもないんですよ。
一つひとつ気持ちを込めて描いてるんだろうなって思いますし、先ほどおっしゃってたように、クライアントやファンのことを考えて描いてることが、絵からもわかるんです。
それって当たり前のようでかなり大変だし、本当に思いやりがないとできないことなので、そういう姿勢を貫いているななさんは、本当に素敵なクリエイターさんだと思いました。
なな 嬉しい。泣いちゃうかも。
しぐれうい 私も「こうなりてぇ、頑張ろう!」って思ってます、いつも。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:13676)
お互いの関係性やリスペクト、
クリエイターとしてのプロ意識、方向性の違い...など
新たな一面を知ることが出来ました!
すばらしい記事です!