経済産業省が7月17日、「音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書」を発表した。
国内外の音楽産業に関して、経済産業省がデスクトップ調査(※)や関連事業者へのヒアリング調査、有識者による研究会を実施。
その調査結果と、浮き彫りになった課題点などが73ページの報告書および117ページに渡るデータ資料集としてまとめられている。
少子高齢化の日本──海外進出が急務の音楽産業
本調査を実施した背景として、経済産業省は、少子高齢化などにより、日本のコンテンツ市場規模の成長に鈍化が見られていると説明。2026年~2027年には、若干ながら市場規模の下降を予測している。
今後も産業を拡大するために海外展開が必要不可欠な状況の中、アニメやゲーム、漫画などのコンテンツはすでに海外でも一定のシェアを獲得できている。
その一方で「音楽分野は未だ十分なシェアを獲得できていない」と指摘。
さらに経済産業省は、音楽業界がストリーミングサービスやSNSなどの普及といった「環境変化に迅速に対応しつつ、世界で活躍できるアーティストを生み出していくことが必要である」と強調。
そこで今回、音楽業界を取り巻く状況を定量的に分析。新たなトレンドを可視化すべく、経済産業省が調査を実施した。
「国内産業基盤の整備」「海外展開の促進」の課題点を整理
経済産業省は「日本の強みである創作活動の『多様性』を維持・強化し、海外に展開可能な楽曲やアーティストを生み出し続けるには、国内における産業基盤を整備することが必要がある」と説明。
「国内ビジネスモデルの詳細な可視化」「収益向上・ 資金調達方法の多様化の促進」「人手・人材の育成・獲得」の3つを軸に、課題点をまとめている。
特に、「国内ビジネスモデルの詳細な可視化」に関しては、「ストリーミング時代に合わない可能性があるビジネス構造(慣行)の詳細な可視化ができている状況ではないことから、 契約や収益配分に関する現状と課題を今後更に明らかにしていくことが必要ではないか」と指摘している。
一方、海外展開の促進については、「国際展開指標の整備」「指標を達成するため指針の策定と産業界への情報共有」「現地における海外展開機能の整備」の3方向から課題を整理。
これに関して経済産業省は、「いずれも官民一体となった取組みが必要であり、産業界自身の取組みと、行政によるサポートの連携が重要であると考える」とした上で、「今後議論の上、さらなる検討が必要である」とまとめている。
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