「ゲームの世界に住んでた」OZworldのゲーム愛

──ここ数年、コロナ禍による巣ごもり需要なども相まってゲームに対する世間の認識も変化したように思います。ゲームへのニーズが高まっているように感じますが、ゲーマーで知られるOZworldさんはどういう時にプレイしますか?

OZworld 家にいて何をするわけでもなく、曲を考えているわけでもない時に遊んでます。とりあえずゲーム起動して、のめり込んだら12時間ぐらい平気でプレイできますね。緊急事態宣言が出てた時は、自分で自分が心配になるぐらい遊んでました(笑)。一時期、『GTAV』の世界に住んでましたから

何ならゲーム内の方がしっかりご飯を「食べてた」(回復アイテムの使用など)気もする。ハマっちゃうと本当にそうなりますね。「ゲームってここまで人を拘束できるんだ」って、究極のコンテンツだと思います。

──ゲームはアートの集大成だとおっしゃっていましたが、実際、立て続けに10時間以上も夢中になれるコンテンツってなかなかないですよね。

OZworld ですね。ドットの2Dグラフィックスからはじまり、解像度が上がって3Dになって、今やメタバース内で経済圏や生活空間の実現も夢じゃなくなってきている。

ゲームで一つの世界をつくる、それって言わば(クリエイターは)“プチ神様”じゃないですか。ゲームを含めた仮想空間について、もちろん新しいことに対する賛否もあるけど、自分は可能性を感じてるし、適応できる人もこれから増えていくと思います

──ゲームのマルチプレイは、年齢や性別を越えた共通体験が得られますよね。 OZworld 自分の場合は『GTAオンライン』で知り合った人と実際にオフラインで会ったこともあるんです。オンラインプレイ中に“沖縄〇〇”みたいな名前のプレイヤーを見つけて、自分から絡みにいったら襲いに来たのかと思われて攻撃されちゃって(笑)。それで「ウチナーンチュ(沖縄生まれ)ですか?」って聞いてみたら返事をくれて、しかも読谷村っていう車で15分ぐらいの距離に住んでる近場の人だったんですよ。地元のお祭りで実際に会いましたよ。

ゲームって、提供されたストーリーを能動的にプレイする。オンラインだとそこへ誰かが加わってきて、リアルタイムで同じ経験を味わいますよね。しかも、自分と相手の感じ方が違う場合もあって、お互いの感性をその場で伝え合うこともできる。同じ目的を共有するから同志と言って良いし、ファンでもさすがにオフラインで会ったりしないのに、ずっと一緒にゲームで遊んでた人ってリアルでも会いたくなるんですよね。人間関係ってそういうところから自然と生まれてくるのかも。 ──OZworldさんは、ビートメイカーとゲームしながら音楽の話をする時もあると以前のインタビューでおっしゃってましたね。

OZworld ゲームを一緒にプレイしながら音楽の話がどんどん進んでいくし、何ならミーティング中にそのまま「ゲームしよう」となる場合もあります。

別にゲームしながら制作の話をしようって意識してのことじゃなくて、たまたま自分が先にゲームをつけてるか、オンライン状態のフレンドを見つけて一緒に遊ぶイメージですね。そこから「これちょっと聴いてみてよ」って音源の話題になって、ゲームしながら意見交換したり。共通項(ゲーム)が出来上がってるし、気分的にはチーム競技のスポーツをしながらしゃべってる感じに近いかもしれません。

──ゲームプレイを通して音楽の話が盛り上がると、湧いてくるイメージも変わってくるのでしょうか?

OZworld ゲームに引っ張られる部分も確かにありますね。「Over Zenith -Zero-」は初めてのゲーム関連楽曲だったので意識してました。でも、FENNEL加入後につくった「Compflex」は少し違っていて。ゲームから得た着想は大事にしつつ、自分が訴えたいメッセージを包みこむように表現の仕方を工夫しました。
OZworld / Compflex(prod. Ryosuke "Dr.R" Sakai)
※「Over Zenith -Zero-」は2022年2月18日リリース。日本初となったe-Sports専門の高等学校「eスポーツ高等学院」のCMテーマソングに使われた楽曲

※「Compflex」は2022年10月28日リリース。自身が手掛けるe-Sportsイベント「Over Zenith Cup」の開催にあたって制作した楽曲

たどり着いた、究極のレコーディング方法?

──現在、アルバム制作に取り組んでいるそうですが、どのように制作されているんですか?

OZworld 並行してスコアを書くよりかは、セッションを何回かこなしつつ、イメージを徐々にすり合わせていく感じです。リリックは普段感じたこと、面白いフレーズやワードが思いついたらメモを取っておいて、レコーディング時に後から表現を変えたり組み立てられるようにしてあります。

昔は、本当にどこでもリリックを書いてたんですが、今はその空間をまず肌身で感じ、創作の際に吸収したものを活かすスタイルへ振り切ってますね。

──制作で大事にしていることはありますか?

OZworld 今は楽曲制作に加えて、企画を担う方々との打ち合わせ、販促プロモーションに向けて動いている段階です。だからこそ、レコーディングはしっかり息抜きできるタイミングで行ってます。

沖縄の北の方へ行って、開放的な場所で横になりながらインスピレーションが浮かんでくるのを待つ。Def TechのShenに以前「どうやったらリラックスしてレコーディングできるかな」って相談したら「大の字になって寝ながらレコーディングできれば最高じゃない?」って言われたのを思い出して。ベッドのそばにマイクを立てて、何か思いついたらその場で吹き込むっていう(笑)。やってみた感じは“無重力レコーディング”でしたね。

OZworldさん提供

──予想外の手法ですね(笑)。開放感がアイデアを招く?

OZworld 自分は、何も思いつかないまま時間が経つと硬くなるタイプと言うか、スタジオだと閉鎖的だから余計に逃げ道もなくなっちゃうんです。リラックス状態のレコーディングがすべての創作に当てはまるわけじゃないけれど、できるだけ開放的な場所を選ぶことで楽曲制作が進むようになりました。だから忙しくても一息入れるし、逆に息抜かないと死んじゃいます(笑)。

──だからこそ、息抜きや何気ないタイミングで遊んだ「GTA」が時に創作の糧になる場合もあるということですよね。今回のお話を通し、「GTA」の完成度の高さやコミュニケーションツールとしての優秀さを改めて知ることができました。

OZworld 改めてゲームは最高峰と言うか、今や経済やインフラ関連まで、多大な影響を与えるジャンルになってますよね。みんなで一緒に遊べる『GTAオンライン』も含め、同じ目的を共有できるのもありがたい。うちのブランドも、最終的にはゲームで社員間のコミュニケーションをとっていきたいと考えてます。

──いいですね。『GTAV』と『GTAオンライン』が10年もプレイされ続けている理由の一端を垣間見た気がします。 OZworld しばらく触ってなかったとしても、「GTA」の世界にふと帰りたくなるんですよね。何の気なしに起動してみて、30分ぐらい愛車でドライブしてみる。これだけでも十分に楽しいし、そこで目新しいアップデートがあればやっぱり挑んでみたくなります。プレイする度に新発見を求めるのも良いし、逆に何かをしようと特別思わなくても良い。『GTAV』と『GTAオンライン』は懐かしい地元と言うか、自分にとっては第2の故郷ですね。
OZworld:Interview ラッパーのバイブル『GTA』から学んだこと

『GTAオンライン』に「最後の一服」が登場!

3月16日(木)より、『GTAオンライン』に「ロスサントス・ドラッグウォーズ」:「最後の一服」が登場。

PlayStation®5とPlayStation®4、Xbox Series X|S、Xbox One、PCで楽しめる。新ストーリーミッション5つからサイケデリックなトリップをしよう!

「GTAオンライン:ロスサントス・ドラッグウォーズ」の壮大な物語は、錯覚や誘拐、復讐が巻き起こる「最後の一服」で驚くべき結末を迎える。他の勢力が反撃に出ると予想していたダックスとフーリガンに手を貸そう。
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プロフィール

OZworld

OZworld

オルタナティブHIP HOPアーティスト

オルタナティブHIP HOPアーティストOZworld(オズワルド)。
沖縄生まれ沖縄育ち、独特の感性とトリッピーな世界観から飛び出すリリックと変幻自在のフロウを巧みに操り独自のワールドを展開する。
2018年にリリースしたシングル“畳~Tatami~”が話題を呼び、2019年に1st Album「OZWORLD」をリリースし全国デビュー。収録曲“NINOKUNI feat. 唾奇”は、YouTubeに公開したミュージックビデオが1,700万回を超え、衣装は世界的ブライダルファッションデザイナー桂由美がデザインを手がけるYumi Katsuraより提供を受けている。
2020年にはレーベル兼マネジメント事務所I'M HAPPY ENTERTAINMENTを立ち上げ、同年に零-zero- Album「OZKNEEZ FXXKED UP」をリリースした。
2021年以降も数々のブランドやメディアとのコラボレーションを果たし、2022年には日本で初めてHIP HOPアーティストとしてプロeスポーツチームに加入し、FENNELの正式メンバーとなって話題となる。
近年では自身をキャラクター化したNFTアート作品の販売など、ヴァーチャル領域での活動を行うためのプロジェクト「NiLLAND」を立ち上げ、HIP HOPの枠に囚われない先進的な活動を展開している。

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