Rin音 × クボタカイ × asmi × A夏目座談会 「自分の中の自分」と向き合う

なんでチルってここまで広まってるの?

──「チルする」という言葉はもともとは形容詞ですが、動詞化して使われるようになっていますね。4人は世代的に近いですが、その感覚は世代に共通するような概念でしょうか?

Rin音 徐々にそういう感覚が広がっていった感じはありますよね。もともとLo-fi HIPHOP(ローファイ・ヒップホップ)とかのメロウなトラックを聴いて「これめっちゃチルいね」みたいに使ってた。

クボタカイ 音楽好きとかヒップホップ好きの間から広がっていった感じがあるよね。

Rin音 そうそう。だからヒップホップが広がっていくなかで(その概念が)一般化されて、みんなも使うようになったような気がする。普通に生活の中でも使うようになって。「サウナ上がりで今めちゃチルい」みたいな(笑)。 ──皆さんはそれぞれ異なった地元に住んでいますが、地元はチルするのに大事な場所ですか?

Rin音 僕は完全にそうですね。僕の全ては福岡にあるし、それは東京には持ってこれないものなので。だから東京で落ち着ける気はしないし、実際に東京でひと月ぐらい生活してみて「やっぱり福岡に帰らないと僕は落ち着けないんだな」って気付かされて。

もちろん、東京が嫌いなわけじゃないんです。でも、東京でも大阪でも、同じ九州であっても、福岡以外の場所では心からチルできないと思う。なんていうか……匂いや風景も含めて、自分の記憶や思い出は福岡が中心だから、そこから離れると自分がわからなくなっちゃうと思うんですよね。

クボタカイ 僕も100%同意見。もちろん地元しか知らなくて「地元最高!」って言ってるわけじゃなくて、他の土地で生活したこともあるし、それぞれの土地の良さもわかっているんですが、それでも確実に地元の宮崎には宮崎にしかない空気があるなって思うんですよね。

今まではなんとなく好きだなって思ってたんだけど、場所や人、環境を通して、地元がちゃんと好きなんだなってことに最近気づいて。そういう存在があることが、自分にとってはすごく大事なことなんだなって思います。

asmi 私は「この人がいれば心底落ち着けるな」って人が近くにおれば、「チルアウトレベル20」まではいけるんですよね。

クボタカイ 新しいチルの単位が(笑)。

asmi でもそれを超えて60とか100までいこうと思うと、やっぱり地元の大阪じゃないと難しいのかなって。ずっと住んでいる大阪が大好きなので、離れたくないなと思いますね。地元LOVEです。

A夏目 僕も100%地元がいいですね。僕は目で見たことを歌詞にすることが多いんですが、東京だとどんな景色を見ても、歌詞にできなくなっちゃうような気がする。思いついても使い所のない歌詞ばっかり浮かんで、リリックが書けなくなりそうで。でも熊本で見る景色は、自分の歌詞にしっくり来るから、やっぱり熊本は離れられないのかなと思いますね。

──チルと場所は、皆さんにとっては強く結びついてるんですね。では、場所以外で、チルに入るために必要なものは?

asmi 私は「」ですね。好きな人や一緒にいて落ち着く人がいれば、チルになれます。最近も、大阪の友達と東京タワーに行ったんですが、すごく落ち着きました。だから、やっぱり私にとってチルは、人と一緒にいることだなって。

A夏目 僕はですね。同一色だったり、統一されたカラーの中にいると落ち着きます。昔から揃えたがる癖があって、サッカー用品でも釣り用具でも同じメーカーのモノで統一して、勝手にそのメーカーと契約してるような気持ちになったり(笑)。そうやってまとまってると落ち着くっていうのはありますね。

Rin音 僕は映画館。福岡以外でも、場所を選ばずに落ち着ける場所なのかもしれない。もともと映画館でアルバイトをしてたこともあったんですが、映画館のポップコーンの匂いと絶妙な座り心地のソファー、そして大きいスクリーンと大きい音量で映画に没入して、現実と乖離している瞬間は、本当になにも考えなくていいし落ち着きますね。だから本当に切羽詰まったり、一旦ゼロになりたいときは、映画館で落ち着こうって。 クボタカイ 喜怒哀楽に当てはまらないような、「何かいいな」っていう瞬間がチルだと思うんですね。「今日の気温と空気感、バッチリだな」とか、「この何でもない景色がいいな」みたいな何かいいなっていう思えるときこそが落ち着くし、そういう小さな瞬間を集めることが、自分にとってチルに入る秘訣なのかなって思います。

──皆さんの関係性も含めて、チルの本質に触れられたように思います。ありがとうございます。
【Interview】Rin音、クボタカイ、asmi、A夏目 仲間より「家族」と呼ぶ関係
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