Rin音 × クボタカイ × asmi × A夏目座談会 「自分の中の自分」と向き合う

チルは「次の壁を乗り越えるための助走」

──みなさんがリリックを書くモチベーションはなんですか?

クボタカイ 僕は曲づくりが自分の生活の一部にあるし、つくらないと生きていけないんですよね。

Rin音 つくっちゃうよね……とはいえ「What’s up」では僕が一番リリックが遅かったんですけど(笑)。でも本当に歌詞を書く、ラップをつくるのは仕事じゃない感じなんですよね。リリックにすることで自分を整理したり、感情を発散させるっていうところから曲づくりが始まるので。

asmi イメージが溜まってきたら形にしないと気持ち悪いし、曲にすることで自分の気持ちに初めて気づくことも多いですね。同時に、フィクションや物語を書くことも好きやし、日常で人と話すのと同じように、私は曲をつくること自体が楽しいんだと思う。

A夏目 僕は「制作しなきゃ」って思いながらつくるタイプですね。自分を追い込んで、そこからリリックを出すっていう。でも「これ出しても意味ないやろ……」って悩むことも多いし、自分はラップ向いてないのかな、と思ったりもして。

全員 いやいやいや。

クボタカイ ……傷つきすぎてるね(笑)。

A夏目 そうやって振り絞ってつくってますね。 クボタカイ もしかしたらA夏目が一番プロなのかもしれない。僕やRin音、asmiは吟遊詩人的な、自分の好きなことを好きにやってる部分が強いけど、A夏目は「みんなに響く曲を自分の意思でつくってる」ということだから、それ自体がすごいと思う。

asmi 年齢を重ねていったら、またつくり方や考え方も変わるかもしれないし、それも楽しみだよね。

A夏目 ありがとうございます。今回はクボタカイさんのフックに引っ張ってもらいました。

クボタカイ 今回のフックはまず僕が考えたんですよね。それをみんなに送って、そこからブラッシュアップしていって。

──この曲のフックは「チルアウトする時間は次の壁を乗り越えるための助走であり、必要な休息である」というメッセージが中心になっていますね。

クボタカイ 「ただ単にだらだらする」のは怠惰だけど、「チルアウト」は息抜き。「一息ついてまた頑張ろう」っていうのが、自分にとっては大事なので。でも、ただ前向きなんじゃなくて、諦めと、俯瞰と、でも頑張ろうっていう感情のブレンドもそこには込められてますね。

Rin音 素晴らしいメッセージ。やっぱり今って、SNSだったり、仕事や社会的な状況も含めて、気疲れしたりすることも多い。そんな大変な中で、どれだけ休めるときに休めるかっていうのが大事だと思うし、そこで切り替えて力を抜かないと、自分の本当にやりたいことはなんなのかを見つめ直したり、気持ちを整理したりするのも難しいと思うんですね。

僕自身、曲をつくる前は、この上なくダラけるんです。もう洗濯物も洗い物も放っておいて(笑)。でもそうやって気持ちをリセットして、一息ついて、自分に向き合って集中できる環境づくりは自分にとって本当に大事な時間だし、それを歌詞にしてくれたクボタカイは本当にありがとう(笑)。 asmi 私もちょっと溜息をついてしまいがちなので、「溜息じゃなくて一息つこう」っていうメッセージは自分の全部を認めてくれるような気持ちになったし、心が明るくなる。そんなわかりやすいメッセージがみんなのイヤホンから流れてきたら、みんな私と同じように前向きな気持ちになってくれると思うんですね。

A夏目 僕もこの歌詞で一番元気になったのは自分じゃないかなって。本当にこのフックを聴いたときは感動したし、改めて尊敬が大きくなりましたね。そして自分も壁に立ち向かわなきゃなって、強い気持ちも生まれました。

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