ゆりかごから墓場まで「クリエイターのファミリーに」
──「とら婚」は、質問サービス「質問箱」でのQ&Aがしばしば賛否両論を呼びますね。鮎澤 社内でも「確かにそうだよね」ということもあれば、「炎上気味じゃないか……」と話題になることはありますね。
ただとらのあなは真剣に「クリエイターのファミリーになる」を目指しているんです。結婚したいと思っているクリエイターが、最終的な「結婚というゴール」に至るまでには、決して低くないハードルがあるんです。なので、賛否両論ありますが、質問箱の回答はそういった警鐘も含んだメッセージを伝えていければと思っています。
当初は世の結婚相談サービスとは逆に男性会員が多かったのですが、最近は女性会員も増えています。これまで約600人が成婚していて、現在も毎月数十名が成婚退会しています。成婚退会率という捉え方だと60%です。 ──おお、かなり高い数字ですね。利用者さんからどういった声が寄せられていますか?
鮎澤 「一般的な婚活サービスだと、“アニメ・ゲームなどの趣味は隠してください”と言われるけれど、『とら婚』は趣味があることを前提に婚活できるのがいい」といった声は印象的でした。
──「クリエイターの人生の支援」というのは、かなり「ゆりかごから墓場まで」感がありますね……! よくネットで話題になりますが、オタク同士で老後を過ごす老人ホームのようなものもつくってほしい気がします。
鮎澤 人生に寄り添っていくという意味で、なかなか相談しづらいことを相談できる存在になっていきたいとは思っています。作品を預かって取り扱っていく以上に、ひとつでもふたつでも作家さんとの接点を増やしながら、作家さんが望まれることを事業にしていって、喜ばれるのがいいなと。
──最後に、今後とらのあなが注力していくことを教えてください。
野田 「Fantia」については、もっと様々なジャンルのクリエイターに使ってもらえればと思っています。一次創作(オリジナル)や年齢制限のない作品やアート、絵画をはじめ、山登りやキャンプや料理といったものも「クリエイト」だと考えているので、いろいろなクリエイターの方に使っていただくというのがひとつの理想です。
とはいえ「とらのあなって男性向けだよね」「アダルトだよね」というイメージがあること、そういったジャンルに強みを持っているのも事実で、異なるジャンルをすべて「Fantia」で扱うのは難しいと思います。最初はそれぞれのジャンルごとに、プラットフォームの入り口やブランドを分けていく形になると思います。
2020年12月にはプロの漫画家さんが参加する「Creatia(クリエイティア)」をオープンしました。あとは「Fantia」の機能を充実させて、もっといろいろなことができるようにしたいと思っています。 鮎澤 すでに導入している翻訳サービスもそのひとつですね。最初にインバウンドのお客様が秋葉原からいなくなった話をしましたが、日本の同人誌が好きだった海外のファンの方は今も作品を求めている。
──翻訳機能が「橋」になるんですね。
野田 クリエイターを支援する機能が充実している総合的なプラットフォームを目指しつつ、とらのあなの他サービスとの連携も進めていく予定です。たとえば「店舗を持っている」というのは、とらのあなが持っている強みのひとつという見方もできます。
──現在、秋葉原や新宿など関東に5店舗、大阪に2店舗、名古屋・岡山に各1店舗と、今後の店舗の在り方は気になるところです。
鮎澤 店舗は、商品を預かる場所であると同時に、お客さんとの接点。今ある店舗も、これまでと同じような形式では続けられないし、チャレンジもしないといけない。これまでのとらのあなの店舗をある意味否定しながら、展開を変えていく必要性を感じています。
最近では、小規模な「とらのあな出張所」というインショップ形式での出店に挑戦する中で、27年間やっていて意外と見えていなかった、新たな客層や環境なども見えてきました。店舗と「Fantia」を連携させて、クリエイターとファンが出会う場所になってもいい。店舗を再構築しながら接点にしていきたいですね。
匿名ハッコウくん(ID:4593)
イベント未販売同人誌の通販って著作権大丈夫なんですかね?
ファン活動の一部の同人イベントで売ってるものを店舗や通販で再販売のていならまあ権利者としてはお目こぼしできても