北海道を代表するラッパー MC松島 傑作アルバム『hospes』までの軌跡

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北海道を代表するラッパー MC松島 傑作アルバム『hospes』までの軌跡
北海道を代表するラッパー MC松島 傑作アルバム『hospes』までの軌跡

MC松島『hospes』

POPなポイントを3行で

  • MC松島が1stアルバムをリリース
  • 実力派バトルMCとして知られる
  • Jazadocumentと共作した集大成
ラッパーのMC松島 が初の全国流通盤として2月21日にリリースした『hospes』。MC松島がこれまで積み上げた功績とともに、アルバムの聴きどころをご紹介していこう。

リリースパーティでは歌わずゲームに興じるMC松島

MC松島の1stアルバム『hospes』が発売された翌日、阿佐ヶ谷ロフトAでリリースパーティが開催された。

リリースパーティといっても本人のライブは行われず、ひたすらゲームの「マリオテニス64」をするという一風変わったイベント内容だった。

MC松島主催のレーベル・トウキョウトガリネズミから、もつ酢飯や22エモンなどのメンバーのほか、戦極17章でも話題になったBATTLE手裏剣、絶対忘れるなのセルラ伊藤、KAI-YOUでも連載を持っているRAq、お笑い芸人とラッパーという二足草鞋を突き進むコマツヨシヒロなども応援にかけつけて会場を盛り上げた。 パーティ終盤、マリオテニスでコマツヨシヒロがMC松島に圧勝。MC松島は罰ゲームとして、会場内の客に1杯ずつ奢る羽目に。ファンは至近距離でMC松島と触れ合うことができ満足している様子だった。

『hospes』はMC松島にとって1stアルバムとなるが、そう聞くと違和感を覚える人もいるかもしれない。

実際、MC松島はこれまでに20枚以上の作品をリリース。しかし、それらはミニアルバムや共同名義でのリリースだったり、配信がベースのものであったり、実際に全国展開となるフルアルバムは今回が初めてのリリースとなるからだ。

北海道を代表するラッパー・MC松島とは?

北海道札幌市在住のラッパー・MC松島。2007年頃からMCバトルに参加すると、UMB2009とUMB2014の北海道予選でともに優勝、北海道を代表するラッパーとなる。

MC松島/画像は公式Twitterより

2017年には、MCバトルの人気番組「フリースタイルダンジョン」にも出場を果たした。

その活動範囲はMCバトルだけでなく、前述の通り作品も精力的にリリース。特に、2013年にリリースした曲「B.M.K.D.(バトルMCは曲がださい)」は賛否を呼んだ。
MC松島 - B.M.K.D.(バトルMCは曲がださい)Prod. by Jazadocument
MCバトルに力を入れた結果、音源のリリースはおざなりになってしまうラッパーが多かった当時のヒップホップシーンを皮肉った内容だ。

ちなみに、晋平太監修のバトルMCを集めたオムニバスアルバムにも、あえてこの曲を収録した。バトルMCとしての負い目を自分自身で感じているのかもしれないが、以降も実験的にさまざまなトラックメイカーと手を組んだ。

自身が所属するヒップホップユニット・Refugeecampのトラックメイカー・JazadocumentやLazySimon、ゼネラルド絶大はもちろんのこと、illmore、呼煙魔、8ronix、YAV、DJ6月、Lil'諭吉、A-QUIKなど、シーンの最先端にいるトラックメイカーたちを研ぎ澄ました嗅覚で選び抜き、病的とも言えるスピードで作品をリリースしてきた。
MC松島 & illmore - しらふ太郎
呼煙魔 & MC松島 - 遠い夏
MC松島 x 8ronix - ニュートラル
どの作品も甲乙つけがたいほどクオリティが高い。

さらに、MC松島は自身のリリースにとどまらず、レーベル・トウキョウトガリネズミを主催。新たな才能を次々と見出して活動の場をアーティスト達に提供している。

「もつ酢飯 But, 無理 is よくない」

フレッシュなラッパー・ヱスケーやもつ酢飯などが所属しており、その動きも見逃せない。
今日はもうおしまい prod. by ヱスケー

傑作『hospes』をかたちづくる楽曲たち

そんなMC松島の初の全国展開となるフルアルバム『hospes』は間違いなく傑作と言えるだろう。 トラックメイカーは、Refugeecamp名義でも「4seasons」という名曲を手掛けた盟友・Jazadocument。ヒップホップクルー・KANDYTOWNのリードオフマン・IOさんの楽曲などを手がけてることでも知られ、生音を前面に出したトラックは、ジャジーで洗練されている。

加えて、Mariah Careyの「Boy (I Need You)」やJennifer Lopezの「All I Have」のような、2000年前半のヒップホップシーンのトラックに通じるキャッチーさを併せ持つ。

もちろん、松島のラップも相変わらず多彩だ。曲によってはリリカルだが、遊び心を忘れずにさまざまな名曲からリリックをオマージュしている。

1曲目の「おれ達は最高」はMC松島が提唱する「君の友達」をより実感できる内容となっており、まさに松島イズムが表れている。

「努力しない」「ラッパーはモテる」「I'm wack」は、MC松島の適当具合がうまく出ていて、力を抜いて聴けるナンバー。

「東京物語」からは、北海道のローカルラッパーとしての誇りを忘れない姿勢が感じられ、それは過去作「東京行ったら変わったね」にも通じるものがある。
MC松島 - バックボーン (pro. Jazadocument)
「バックボーン」ではドラマティックなバックボーンを持ち合わせない一般人ラッパーとしての苦悩を語り、「いまの君へ」は退屈な日常を送る若者に発破をかけるもの。

どの曲も実にMC松島らしく、Jazadocumentとのトラックの相性の良さもうかがえる。

MC松島のこれまでの活動の集大成となる『hospes』をぜひ、この機会に手にとって聴いてもらいたい。

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