YOUNG HASTLE×大川竜弥 対談 超肉体派ラッパー × ネットで一番顔が知られている男

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ガヤにこだわった4thアルバム『Forever Living Young』

大川 ヤングハッスルさんの曲は、ラップの合間に入る言葉がおもしろいですよね。

ヤングハッスル ガヤですね。ラップの隙間に別撮りで声を入れることをガヤっていうんですけど、前作のアルバムまではガヤを入れる曲、入れない曲がわかれてたんです。だけど、今回は全部の曲にガヤを入れました

2016年の夏、ある人に「ヤングハッスルのラップは、ガヤがおもしろいよね」って言われたときに、「これは俺の武器なんだな」って再認識して。

ガヤが入ったほうがリズムが取りやすくなるし、言葉がよく聞こえるんですよ。隙間にどれだけ面白いことが言えるかが見せ所になる。
Young Hastle / V-Neck T
ヤングハッスル 俺は1stアルバムにも入ってる「V-Neck T」のころからガヤを入れてて。昔からディプロマッツのジム・ジョーンズっていうラッパーが好きなんですけど、彼のガヤを入れるスタイルに影響されてるかもしれない。

大川 ガヤが今作のテーマになってるんですか?

ヤングハッスル テーマの1つっすね。ほかには「Nobody's Perfect」っていう曲でも言ってるんですけど、やっぱ100人中100人に好かれるのは絶対無理じゃないですか。

だったら俺のミュージックが好きな人が喜ぶことをやりたいなと。なるべく面白いものにしたかったし、今まで言ってこなかったようなパーソナルな部分も出してるっすね。身を削りながら。

大川 アルバムの「支払い」なんてかなり赤裸々ですよね。“支払い 支払い 今月もまた支払い”っていうストレートなラップが印象的で……。今回のアルバムを聴かせてもらって、ヤングハッスルさんの人となりがわかったような気がしました。 大川 対談をするときって、相手の方のインタビューや映像を事前に見るんです──それでも中々、どんな人かわからないじゃないですか。

だけどヤングハッスルさんは、曲を聴いただけで、すでに知っているような気持ちになれて。例えば「酔ってる」を聴いたら、お酒が好きだけど、すごく弱い人なんだなとか(笑)。
Young Hastle / 酔ってる feat. DJ TY-KOH & UZI
大川 「酔ってる」に参加されているTY-KOHさんやUZIさんとは、プライベートでもよく飲むんですか?

ヤングハッスル UZIくんは2013年に川崎のクラブチッタ25周年のヒップホップイベントで、はじめて会って挨拶したんですよ。

俺はライブに出てて、UZIくんはベロベロに酔って遊びにきてたんです。その後、一緒に地方営業に行ったり、ノリで延泊して2人で遊んだり。あとDJ TY-KOH とUZIくんはオンラインゲームの『ドラクエ10』(ドラゴンクエストX)仲間だし。

3人みんな仲良いので定期的にメシ食って、酒飲んで。しかもUZIくん、先輩だからって全部奢ってくれるんですよ!

大川 めっちゃいい先輩ですね。しかし「酔ってる」のリリックは衝撃的でした。以前「ストロングゼロ」って曲に参加して「今日も(ストロングゼロ」)開ける」ってラップしてたのに、“ストロングゼロ毎日飲むのは止めた”って…。
K-YO “ストロングゼロ” feat. YOUNG HASTLE, DJ TY-KOH
ヤングハッスル ストロングゼロは、もともとあんまり飲まないんですよ。俺、酒弱いから効いちゃうんで

でも、「ストロングゼロ」に入ったからには、やっぱ飲まないとって多めに飲むようにしてたんですけど……やっぱりダメ。

しかも、友達がストロングゼロ飲みすぎて捕まっちゃたし(笑)。毎日飲むのはやめようかなと。

大川 「酔ってる」でも言ってましたが、“飲みすぎたダチが暴れた/記憶無くして捕まった”の後の「逮捕!」っていうガヤは笑いました。

ヤングハッスル 「ストロングゼロ」を出した後のリリックだから、フリがばっちり効いて完全なる大ボケじゃないですか。反応してくれて嬉しいっすね。こっちはツッコミ待ちだから。

笑ってほしいし、ツッコんできてほしい

──2016年は伝説的ヒップホップイベント「さんピンCAMP20」にもFLY BOY RECORDSとして出演されましたね。

ヤングハッスル 俺は当時の映像とかも見てなかったし、「さんピン」だからっていう気負いは無かったっす。お客さんいっぱいいるし「かますっしょ!」みたいな感じで楽しくやりました。

──特に「バイトしない」の盛り上がりは凄まじかったです。

ヤングハッスル 超ヒップホップな曲だけに、リアクションはさまざまですけどね。ヒップホップに馴染みがない人たちは"バイトしない"っていうフレーズだけ取って、「いやいや、働けよ」みたいなリアクションもあったりする。

「やりたいことでメシを食う」ってことは、経験がないとわからないから。
DJ TY-KOH / バイトしない feat. KOWICHI & YOUNG HASTLE
──そういった感想もありますが、3月17日にFLY BOY RECORDSとして出演していただく、KAI-YOU主催のパーティ「グレイトフル・ポップ」での反応も気になります。

ヤングハッスル 我々が普段出てるヒップホップのイベントとは全く違うジャンルのアーティストが集ったパーティーですよね。多くの人たちに知ってもらうチャンスだから、ちゃんと笑いもとりたい

大川 笑いを取ることは重要なんですね(笑)。

ヤングハッスル 面白いリリックが聞き取れたら、その場で笑ってほしいんですよ!

今まであんま言ってこなかったんだけど、ヒップホップとかBボーイとかって固定観念を捨てて、面白かったら笑ってほしいし、全然ツッコんできてほしいっす。
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Young

ラッパー

中学3年時にキングギドラに出会い、衝撃を受ける。ZEEBRAのスタイルに憧れると同時にUSヒップホップを吸収。2002年にラップを始め、渋谷のクラブなどでライブ活動を展開。一切のブレを感じさせない彼の性格が、アンダーグラウンドの現場で日々泥臭く戦うラッパーを沸かせ、厚い支持を受ける。2017年3月、”見た目二枚目 やること三枚目 これがハスバム四枚目” とヤンハス節全開の、4thアルバム「Forever Living Young」をリリース。日本語ラップシーンを代表する超個性派ハードライマー。

大川竜弥

フリー素材モデル

自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデルです。お仕事ください

1件のコメント

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ryotan

ふじきりょうすけ

インタビュー/編集を担当しました。
筋肉自慢のMC・ヤンハスさんの対談相手を考えた時に、大川さんがTENGAの広告でキレッキレのボディを披露してたことをふと思い出し、トントン拍子で進んだ対談。
原稿でも触れていただきましたが、大川さんが「workout」をヘビロテしていたり、ほぼ同世代だったり、大会出場経験者だったりと、共通点がどんどん出てきていい対談になったと思う。
原稿には盛り込めなかったけれど、マニアックなサプリの話やトレーニング方法など存分に語っていただき、ガリガリで体育会系とは程遠い僕ですら筋トレしたくなるほどのナイストークでした。