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DOTAMAと吉澤嘉代子が愛した街──赤羽、新代田から音楽の記憶を辿る

DOTAMAと吉澤嘉代子が愛した街──赤羽、新代田から音楽の記憶を辿る

SUUMO presents Pops in the City -DOTAMA 篇

街と音楽を掛け合わせたプロジェクト「SUUMO presents Pops in the City」にて、第2弾となる新たなアーティストたちの映像が公開された。

今回登場するのは、それぞれのシーンを代表するアーティストとして目される、DOTAMA吉澤嘉代子だ。

SUUMO presents Pops in the City -吉澤嘉代子 篇

映像では、彼らのアーティスト活動において縁のある「街」に降り立って回想し、そこで生まれた楽曲を歌っている。

街から生まれる音楽がある」をコンセプトに掲げる本プロジェクトだが、この言葉を噛みしめると、KAI-YOU.netに以前掲載した、あるDOTAMAの言葉が思い起こされる。

「フリースタイルダンジョン」のラッパー紹介のVTRでも地元愛を前面に出しますが、地方で活動しているラッパーにとっては、その土地で生まれたということがアイデンティティなんです。ヒップホップに限らず他の文化でもそうですよね。 「MCバトルをもっと楽しむ! DOTAMAとハハノシキュウが語るラッパーのリアル」より

アーティストのアイデンティティが「出生地」であるならば、音楽のアイデンティティは「街」にも宿るのかもしれない。新たに公開されたDOTAMAと吉澤嘉代子の映像からは、そう感じさせるだけの思いが伝わってくる。

文:松本塩梅 編集:吉田雄弥

DOTAMAにとって愛すべき「最初の街」赤羽

Pops in the City -DOTAMA 篇
レペゼン栃木のラッパー・DOTAMA

「ULTIMATE MC BATTLE 2015」東京予選優勝、人気テレビ番組『フリースタイルダンジョン』でチャレンジャーに立ちはだかる“モンスター”として出演、企業コラボレーション動画への参加、来る12月にはベストアルバムの発売……今でこそ八面六臂の活躍を見せる彼も、自身の活動を思い悩んだ時期があった。

地元の栃木を離れ、上京する決断をしたDOTAMAが「東京に出てきて飛躍を誓った年」と話す4年前、住む場所に選んだのは東京・北区の最北端に位置する「赤羽」だった。 「都会だけれど、僕の住んでいた地方の空気も少しある、絶妙な空気感が混ざった街」とDOTAMA。赤羽はリリックや作曲にも大きな影響を与えたという。「ライブ会場はもっと都心だから、ちょっと(赤羽からは)距離がある。その一瞬で(頭や心も)距離を置いて考えられるし、居心地がよくて作曲もやりやすいです」

映像でDOTAMAは、赤羽をテーマにフリースタイルラップを見せている。詳しくは映像をご覧いただきたいが、彼はこんなリリックで赤羽への想いを語る。

みんなで行くのは一番街 今はいらない道案内
お世話になってきた4年間
この街で鍛えられた俺は
悔しさ 虚しさ 苦しさ 嬉しさ
すべて学んだ 暮らし方
俺の東京ナンバーワンシティ Pops in the City -DOTAMA 篇の一節

23区の最も北 なぜかこの街はホッとした
かつての生活を思い出す 地元栃木まで轟かす
愛すべき最初の街」 赤羽 あの時と変わらねぇ! Pops in the City -DOTAMA 篇の一節

「一番街」はJR赤羽駅の東口からすぐ見える「赤羽一番街商店街」のことだ。

多くの店舗が立ち並び、名店との呼び声が高い「うなぎ」や「おでん」の店もある。

DOTAMAのリリックとサウンドを感じながら赤羽一番街を歩いてみれば、「悔しさ/虚しさ/苦しさ/嬉しさ」がにじみ出し、彼のマインドとより深くつながって音楽を味わえるだろう。

吉澤嘉代子の『東京絶景』が生まれた新代田

Pops in the City -吉澤嘉代子 篇
「ずっと仲のいい幼馴染がいるんです。彼女が上京して、ひとり暮らしを始めた街が新代田でした」

そう静かに話し始めたのは、吉澤嘉代子。2014年にミニアルバム『幻倶楽部』でメジャーデビューし、個性的な作風が音楽業界のみならず、役者やクリエイターを中心に評価を集めているシンガーソングライターだ。

2016年には2ndアルバム『東京絶景』リリース、全国7箇所でのホールツアー実施、大型音楽フェスヘの参加、私立恵比寿中学南波志帆らへの楽曲提供など、目覚ましい活動で注目を集める。

「彼女の家に何度か泊まりに行ったんです。環七沿いをクルマがびゅんびゅん流れていく景色だったり、小道に入ると閑静な住宅街が広がっていたりして、とっても『東京っぽいなぁ』と思って。新代田は、東京で初めて身近に感じられた街でした」 世田谷区にある新代田は、京王電鉄井の頭線が走る。

ライブハウスがあったり、下北沢や渋谷にも行きやすくて、ミュージシャンには優しい街」と吉澤は微笑む。そんな新代田をテーマに生まれたのが、吉澤がアルバムタイトルにも据えた『東京絶景』だという。

幼馴染にプレゼントするためにつくった曲だったが、「今となっては自分もたまに支えられる時がある曲になったな、と思います」と語る。

映像で、吉澤嘉代子は『東京絶景』をアカペラバージョンで披露している。

東京はうつくしい 泡沫のプラネタリウム
星なんて一つも見えないけれど 夢をみているのよ Pops in the City -吉澤嘉代子 篇より

「東京は夢を持った人が、たくさん集まって生きている場所です。もやもやとした憧れ、それに不安や寂しさを感じることがあって、(いちばんの)敵は自分自身だったりすることも見えてきます。そんな日々の中でも、希望を見いだせるような音楽をつくっていきたい」

この街でしか鳴らせない音を聴こう

Pops in the City -ダイジェストver
本プロジェクトはタイトルにもあるように、リクルート住まいカンパニーが手がける不動産・住宅情報サイト「SUUMO」が展開している。

これまでにも新世代の注目アーティストとして、ORESAMAPAELLASYOUR ROMANCEが登場し、それぞれの音楽に「街」がどのような影響を与えたかを語っている。 音楽を生み出すアーティストは、たとえ最新鋭の機材を使っても、環境がフルデジタル化しても、基本はその心身を費やし、ひとつずつに魂を込めているのは変わらない。「SUUMO presents Pops in the City」は、「音楽と暮らし」の関係性を通じて、まさにその魂の一端に触れるような喜びを教えてくれる。

特設Webサイトの一文は、こんなふうに主張する。


──この街でしか鳴らせない音を聴いてほしい


音楽はいま、インターネットを通じて聴く時代になった。あるいは「流す」時代になったといえるかもしれない。YouTube、iTunes Store、Spotify……そのワンクリックの先には、アーティストの生き様が、暮らしが、街が、たしかにある。

作品世界により踏み込みたくなったとき、そして自らがつくり手にまわったとき、「」と「音楽」を結びつけて考えてみるのは、「流す」だけではわからない新鮮な発見となって立ち現れてくる。

その街で生まれた音色をごくごくと飲み干しながら、体と心でじっくりと聴く。そこに、DOTAMAがいるように。そこに、吉澤嘉代子がいるように。僕らはもっと、感じられるはずだ。アーティストを。音楽を。

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