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インターネットが生んだ最高のヒップホップ「World Wide Words 2016」レポート

インターネットが生んだ最高のヒップホップ「World Wide Words 2016」レポート

World Wide Words 2016

8月6日、渋谷WOMBにて37組ものラッパーが集う祭典・World Wide Words 2016が開催された。

「World Wide Words2016」(以下、W.W.W)は、インターネットでの活動を出自とするラッパーやDJといったアーティストたちが一同に会する年に1度の大規模なイベント。2006年夏に発足し、2013年よりらっぷびとさんの主催となり、今年で4回目の開催となった。

インターネットラップシーン、通称 NETRAP。新世代が開拓する NETRAP の世界 インターネットを介してトラックメイカーが曲を提供し、ラッパーが自身のラップを乗せる NETRAP のシーンがいま 若い世代を中心に盛り上がりをみせている。 PC とネットが当たり前になった今でこそ、 音源をインターネット上で配信し、世界中の人からレスポンスを得る、 という手法は少なくないがそれが創り手の世界にまで及んでいることはあまり知られていない。 2006年夏には、ネットラップ出身者オンリーのライブイベント World Wide Words が発足し以降、毎年継続的に NETRAP が開催されているが、その勢いは年々大きな広がりを見せている。 tofubeats、Seiho、魂音泉、電波少女、PAGE、FAKE TYPE.、daoko など、あらゆる方面で活躍を見せるアーティストのどれもが、NETRAPというフィールドから羽ばたいた仲間達だ。そして、全国各地に散らばっているそんなヤツらが、一堂に会する年に一度のお祭りこそが、 World Wide Words なのである。 (引用:http://www.womb.co.jp/event/2015/08/08/world-wide-words-2015-day/

取材/執筆:かよちゃん 編集:米村智水

ネットラップとは何か?

ニコニコ大百科より、ネットラップの項目

ネットラップというジャンルは明確な定義がないため、筆者の個人的な見解も交えるが、YouTubeや、ニコニコ動画、SoundCloudなどの動画投稿サイトなどにアップロードされたラップやトラック、そしてその活動で生まれる音楽を指す。

そして、通常のヒップホップ/ラップに比べて「オタクっぽい」というイメージを持たれる場合もある。また、ネット発のアーティストであってもネットラッパーとして語られない人/語られたくない人もいる一方で、通過点としてネットに曲をあげただけでもネットラッパーと呼ばれるケースもあるなど、その使われ方は様々だ。

そんなあやふやなネットラップという言葉だが、開催から10年を迎えた「W.W.W2016」は息を飲むほど熱量があった。黎明期からシーンを築き上げてきたアーティストたちの努力の証と、ヒップホップの未来への期待こめてイベントの様子をレポートしていく。

☆イニ☆

トップバッターは、ニコラッパーの芸人枠ともいえる☆イニ☆(じん)さん。

2013年より毎年W.W.Wテーマ曲のREMIXを自主制作している正真正銘の「ネットラップファン」。昨年2015年には念願叶って公式のマイクリレーに参加、そして本年は初のイベント参戦することになった。

WE ARE THE W.W.W 2015

☆イニ☆さんが得意とするのは、流行曲を「非リア」「オタク」「お笑い」にアレンジするREMIX。また、ただおもしろいだけではなく、高いラップスキルや歌唱力、そして動画編集も長けおり、そのクオリティの高さから中高生の間から爆発的な人気を誇っている。

トレードマークである「真面目」とプリントされたTシャツと白のショーツで登場した瞬間、客席が一気に前に進み、会場が揺れた。 ステージ上に設置されている画面いっぱいにお馴染みの自主制作PVを流し、YouTubeで150万再生を超える「水着ギャルの間で流行ってる「MIMIMI」でラップして踊ったwww」や、高校生だった当時にたった1人で制作したという「Nico Rap Carnival」を披露。
(自分の投稿する動画は)30秒の曲しかないから」とMCで笑いつつも、堂々としたアクトには次世代を担うネットラッパーとしての期待を集めていた。

ライブの感想を聞いてみた #☆イニ☆

抹a.k.aナンブヒトシ

最もメッセージ性を強く感じたアクトは、抹a.k.aナンブヒトシさん。

抹a.k.aナンブヒトシさんは、主催者・らっぷびとさんと共にW.W.Wの運営に携わっている一人であり、ネットラップシーンを黎明期よりシーンの発展に貢献している人物。「戦極MC BATTLE」や「THE 罵倒」といったMCバトルの大会でも活躍する。

音楽業界、俺を養え」「友達とだらだら話すだけでお金を稼ぎたい」など、MC中は歯に衣着せぬワードをぶつけていきながら、楽曲「女々しい男」「HIPHOPって何だ?」を披露していった。
そして最後は、「お前ら月曜日から土曜日までしっかり仕事しろよ!」という言葉を残し、「はたらこう」でアクトを締めた。

たった20分間のライブで、共感と鼓舞を見事に観客に与えたライブは圧巻だった。仕事頑張ろう((⊂(`ω´∩)シュッシュッ

抹a.k.aナンブヒトシ W.W.W 2016 DAY LIVE映像

W.W.W 2016 DAYの感想とネットラップシーンの今後について聞いてみた #抹a.k.aナンブヒトシ

電波少女

ネットラップシーンを越え、近年目覚ましい活躍を見せるクルーが電波少女(DENPA GIRL)だ。様々な方法で観客を沸かせる様子には、強い熱意と貫禄を感じた。

電波少女とは、MC担当ハシシさんとパフォーマンス&ボタンを押す係担当nicecreamさんの二人によるヒップホップクルー。ネットラジオを中心に活動をはじめ、メンバー加入や脱退を経て現在の形となった。現場での活動も勢力的に行い、注目を集めている。

出演前にはニコニコ生放送にて会場の様子や他の出演者との交流を放送する裏番組的な企画を行い、アクト中もそのまま番組内で放送を行うことによって来場できなかったファンを楽しませていた。
最新アルバムに収録されている「オーバードーズ feat.NIHA-C」ではnicecreamのダンスパファーマンスにより会場を彩り、そして名曲「MO feat.NIHA-C」では、トラックが流れた瞬間に歓声があがり、満員のWOMBの観客との大合唱となった。

この日一番となった会場の一体感と歓声は、MCのハシシさんが語った通り「ネットラッパーで、みんなの代表で、頑張っている」という言葉を的確に表していた。

電波少女 W.W.W 2016 DAY LIVE映像

今日のライブの感想を聞いてみた #電波少女

らっぷびと

「俺のわがままで、俺の好きな人たちと一緒に主催をやれて、好きな人たちばっかり出てもらって、みんな売れに売れているのに、俺のために出てくれて本当に嬉しいです。」

そう言ってトリを務めたのは、今イベントの主催者・らっぷびとさん。

らっぷびとさんは、ネットラップの代表格としてニコニコ動画を中心に活動しているラッパー。ニコニコ動画に投稿されるラップのことをニコラップと呼ぶが、この発祥は2007年にらっぷびと・enju間で起こったBEEF(ラップを用いた論争)において、動画に「ニコニコラップ対決」というタグがついたのが元だとされている。

つまり、らっぷびとさんが存在しなければ「ニコラップ」という言葉は生まれておらず、ネットラップ/ニコラップという文化を最前線で築き上げてきた一人だ。 「365日に1度だけの体が壊れてもいい日です!」と言い登場したらっぷびとは、1曲目を歌い終わると、おもむろに上着を脱ぎ、らっぷびとさん、アリレムさん、ill.bellさん、タイツォンさんの4名からなる新クルー「ヘイヘイパスダマイカフォンズ」を発表。
そして同時にデビュー曲「ヘイヘイパスダマイカフォンズのテーマ」を披露した。

残念ながらill.bellさんは不在だったものの、シーンを代表するラッパーがクルーを結成したことに対して、最高としか言いようのない盛り上がりが伝わってきた。

らっぷびと LIVE映像

W.W.W 2016 DAYの感想とネットラップシーンの今後について聞いてみた #らっぷびと

そしてフィナーレへ「WE ARE THE W.W.W 2016」

W.W.Wでは、毎年イベント開催前にYouTubeやニコニコ動画に、各アーティストがマイクリレーを行った楽曲「WE ARE THE W.W.W」をフル尺で公開している。

今年参加したのは、抹a.k.a.ナンブヒトシさん、ytrさん、Jinmenusagiさん、SHAKABOOZさん、[…] サンテンリーダーさん、ぎぎぎのでにろうさん、オンレイさん、アリレムさん、NIHA-Cさん、セラぴょんさん、Romonosov?さん、タイツォンさん、らっぷびとさんの13名。

WE ARE THE W.W.W 2016

俺らはWE ARE THE World Wide Words!!」というらっぷびとの言葉とともに続々と出演者がステージにあがり、今年度のテーマ曲「WE ARE THE W.W.W 2016」のマイクリレーを披露。「W.W.W2016-DAY-」の最後を飾った。

昨年の夏の楽しさを感じるゆるりとしたメロディーに対し、今年はよりエレクトロ調のトラックとなり、参加者全員の個性を引き立たせる力が増している。

音楽性がそれぞれ異なるアーティストが、マイクを代わる代わる渡しながら一つの名曲を作っていく様は、まさにレペゼン・インターネットだ。

リアルがかっこよくて、インターネットはダサい?

Jinmenusagiさん

テレビ番組「 フリースタイルダンジョン」などにより、日本語ラップシーンが以前よりも確実に社会一般にも浸透してきてはいるが、やはり先行したマイナスイメージは残っている。

ちょっと怖そうな人たちが、夜な夜なクラブに集まっては踊って歌って……。端的に言えば「悪そう」という意識が、好き嫌いを問わずにこの記事を読んでいる人の中にもあるかもしれない。

しかしヒップホップとは、ラップとは、誰でも気軽にはじめられるものであったはずだ。この点、ネットラップというものは非常に気軽にはじめることができる。ストリートにいなくても、なんの繋がりもなくても、マイクとPCですぐにはじめられる。

Dragon Oneさん

「W.W.W 2016」の来場者には女性も多く、いつもはクラブにあまり足を運ばないような方も多い。

しかし、このような人たちもラップは大好きで生でライブを見ることを望んでいる。その証拠に、昼の部だけでも8時間ぶっ通しのアクトにも関わらず、OPENから会場は即座に埋まり、ENDまで人の出入りは殆どなく、全アクトを全力で楽しんでいた。

ライブ中、来場者にどこから来たのか聞く場面があったが、都内だけでなく、茨城県など地方から来られた方も。なんとこの日のために北海道から来たという声もあった。

序盤でも触れたが、ネットラップシーンはオタクのものとして時に線を引かれることがある。しかし、その現状を打破しようと多くのラッパーが立ち上がり、シーンを活性化し、外の世界にも認めさせようと一丸となって頑張っている様子は確かな成り上がりの精神を感じた。

一口にネットラップといえど、その音楽性はバラバラだ。しかし、自分たちが発信する音に対して、自分が通ってきたシーンに対して、発展させていくという意思をどのアーティストからも共通して感じとることができた。

来年の開催に関しては、明言はしなかったものの、らっぷびとさんの「WWW2017で会おう!」という言葉を信じていきたい。新たなヒップホップの潮流を生み出し続けているネットラップは、今後どのように変化していくのだろうか。

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