米政府機関のキャンペーンソングが本格的すぎる 現代の“ポップスセオリー”が満載

『We're Safety Now Haven't We』フルアルバム動画

米国消費者製品安全委員会(CPSC)が、生活安全を促すキャンペーンソングのコレクションEP(ミニアルバム)『We're Safety Now Haven't We』をWebサイトとYouTubeで日本時間9月20日(水)に無料公開した。

動画の説明欄では「生命が危ぶまれる状況を避けるよう、若い世代(13〜24歳)を教えるためにつくられた歌のコレクション」だと記されている。

その楽曲について、政府機関の教育資料としては、現代ポップスのセオリーを忠実に意識したつくりになっているとして、にわかに話題になっている。

遊び心を感じさせる、ポップスに向き合う姿勢

動物やヘルメット、家電製品などの写真をコラージュした粗悪なアートワーク。

これはインターネット上のデータ複製による、無尽蔵のイメージ劣化現象を再現し、ネットミームの文法を実践するかのようだ。

その露悪さに気を惹かれてクリックすると、ウータン・クラン(Wu-Tang Clan)の「Protect Ya Neck」をいじったラップソング「Protect Ya Noggin'」がバイク、自転車、スケートボードなどに乗る際、ヘルメットを被っで頭を守るべしといった"ストリート・ナレッジ"を披露する。
Protect Ya Noggin' - We're Safety Now Haven't We
続いて、ファッションショーのランウェイ・ウォーキング・ソングのような「Phone Away」では、言葉通り"歩く"際に、携帯電子機器の利用に注意を喚起するダンス曲を展開。

流行の真っ只中にあるレゲトン風ビートに、スペイン語を使って火災報知器の設置を促す「Se Pon Caliente」や、花火で遊ぶ際の安全要綱をポップなメロディーに乗せるフューチャーベース楽曲「Going Off Like Fireworks」、アウトロ「Beats To Relax / Be Safe To」ではYouTubeのリラックス・プレイリストでお馴染みのローファイ・ヒップホップを再現。

とにかく現代的で、多彩なポップスのセオリーが満載だ。

CPSCとは──公共機関としての普及の役割

CPSCロゴ

このアルバムを公開したCPSCは、米大統領室の直属機関。

消費者製品に関連するケガや死亡に至る危険を減らすために、製品の安全標準を開発してそれを施行し、消費者とメーカー各社の教育に尽くす団体だ。

各収録曲の補足説明は、実際に対象年齢(13〜24歳)の人々が安全事故に遭った統計データを示している。

自転車などによる事故や歩きスマホの問題、火事などのテーマは統計上で多発した実在の脅威なのだろう。

実は、このような安全キャンペーンで多くの関心を惹いた前例は他にもある。

『The Messenger News』の記事(外部リンク)では、このキャンペーンソングのキャッチーさを説明しつつ、公共機関が行なったキャンペーンがネット上で反響を起こした例として、オーストラリアのMetro Trains Melbourneが企画したフラッシュ・アニメーション「Dumb Ways to Die」を取り上げている。
Dumb Ways to Die
市民安全意識向上のための政策や広報は、公共の義務的な営みである。

一人でも多くの人に知ってもらうために、印象深く訴えるために音楽的に"ガチ"につくられている。その努力があるからこそ、一聴する価値がある。

アルバムはCPSCのWebサイト(外部リンク)で無料ストリーミングおよびダウンロードできる。
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