ピーナッツくんが見せつけた“Flex” 『Walk Through the Stars Tour』in 渋谷レポート

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ピーナッツくんは"複雑"だ。

まずもって、ピーナッツくんは複雑だ。様々な"帽子"を持っている。

クリエイターとしての、アーティストとしての、VTuberとしてのピーナッツくん。

多彩なスキルと、常日頃から氏が語る「マルチバース」的世界線の重なりが、彼の複雑で立体感のある人物像をタテヨコに織りなしている

そんな彼を端的に説明することは困難で、「ピーナッツくんとは?」という問いは絶えずそこに在り続ける。

今回の「Walk Through the Stars Tour」はその問いに対し、これまでの軌跡を丁寧に拾い紡ぐことで一つの答えを出してくれる、そんなライブだったと感じている。

何度か位置を確認してから足を置く慎重派のピーナッツくん。

ピーナッツくんを上下左右から見るようなライブ体験

ピーナッツくんの多様な側面をライブ構成とあわせて解きほぐしてみたい。
兄的な存在としてのピーナッツくん
もちろんピーナッツくんはぽんぽこさんの兄とは全くの別存在だが、兄ぽこに親しく、普段は兄ぽこの代わりのように振る舞っていることには異論はないと思う。

ライブの冒頭で流された”いつもの”和室と、そこでの二人の会話は、毎日ぽこピーの動画を観ているおともナッツ・里のみんなにとっても日常の一幕だ。

そこで交わされる普段の会話からにじみ出るピーナッツくんの「ぽんぽこに対する兄らしさ」というエッセンスがまず披露されたオープニングだった。

スイッチの入っていないカメラを振り回すぽんぽこさんと、それを澄んだ目で見つめるピーナッツくん。

アンコールでもその「らしさ」は現れる。

動画企画をステージ上で撮るぽんぽこさんに対し、その企画に見事にひっかかるピーナッツくん。

ぽんぽこさんの言い間違いに突っ込むピーナッツくん。

そして「幽体離脱」「はなとなり」を一緒に歌い踊るピーナッツくん。。

アンコールはYouTube同時視聴では視聴できなかったので、ぜひこちらをご覧いただきたい。
ピーナッツくんのライブ裏で実はこんなことやってました。

スーパーモデル

シャイボーイとしてのピーナッツくん
ピーナッツくんは5歳の男の子でもある。

それ相応のシャイさをみせることも、一方で、無邪気な欲望を露わにするアンビバレントな側面がある。

ピーナッツくんの前作『Tele倶楽部』では、ゲストとの共作で、その側面を取り入れたPOPでcuteな曲が多数収録されていた。

今回のライブにおいて、ゲストを迎えて披露された「School Boy」「ペパーミントラブ」「KISS」はまさにそれを象徴する曲たちだ。

途中、おめがシスターズとの掛け合いの中でみせたデビルバットゴーストでおめシスを避けて行くムーブはその真骨頂だろう。

あの動き、中学生男子が女子相手にはしゃいで繰り出したそれにそっくり……いややめておこう。

この距離感。最高。

“デビルバットゴースト”を披露するピーナッツくん。

アニメクリエイターとしてのピーナッツくん
個人的にとても嬉しかったことの一つが、ピーナッツくんがオリジナルアニメをライブの構成要素として、ふんだんに取り入れていたことだ。

『どうぶつの森』に絡めたwetなアニメの採用もさることながら、ジョビルボ松本をゲストに迎え、一曲しっかりと歌い上げてくれたことに、アニメファンのおともナッツにはたまらないカタルシスがあった。

「大丈夫、忘れてないから。」そう、聞こえた。

原点としてのアニメ。その良さを語るに足る筆力が私にはないが、ピーナッツくんがアニメに込める"毒"の魅力はピーナッツくんを語る上で欠かせない構成要素だろう。
第24話「あぶない!どうぶつの森」
それにしてもジョビルボのセンスある動き(観た人には伝わる)がたまらない時間だったな……。

舞台の端から顔だけ覗かせるチャンチョ。

召喚獣チャンチョ。。

そして、HIPHOPアーティストとしてのピーナッツくん
ピーナッツくんが今何よりも大切にし、そして大きな広がりを見せているもの。それがHIPHOPアーティストとしてのピーナッツくんだろう。

その熱量が十二分に伝わる演出が、140分もの間に途切れることなく放たれる。

■ 密度の高いアートワーク。

・もはや公式化した「DUNE!」非公式MVを「POP YOURS」に続いて再披露。

・「Unreal Life」で見せた市松寿ゞ謡さんの圧倒的存在感。

・新作「PetbottleRocket」のMVを告知なしでドロップ。

この映像たちが一瞬でO-EASTを異質な空間に組み替える。

ライブ中に初披露された「PetbottleRocket」のMVからは、ピーナッツくんの込めた思いが伝わってくる。

この曲に限らず、今作は僕だけじゃなくてぽこピーの日常やストーリーがふんだんに入れられているように思うナッツ。撮影して、動画を公開して、いろんな世界と繋がって……という毎日が反映されてますね。(quoted from: https://premium.kai-you.net/article/538/page/4#11)

非公式MVを背に。

瞬時に異空間に飛ばされる。

新作MVを引っさげて堂々と仁王立ちするピーナッツくん。早く公開してくれ。

■ 突き抜けたサウンドと楽曲。

ミサイルのような破壊力をもつ新作アルバムをひっさげ、DJにはnerdwitchkomugichan氏を迎えた本ライブ。

アルバムをなぞるように繰り出されるパフォーマンスは一つ一つが物理的に触れるのではと錯覚するほどに高密度だ。

「Makeup」「KidsRoomMan」「KFC」「PEEPEE」…

アートワーク、サウンド・楽曲、そしてピーナッツくんのボーカルが三位一体で空間を支配する。

新作MVを引っさげて堂々と仁王立ちするピーナッツくん。早く公開してくれ。

cuteでキャッチーなダンス(振り付け)も見逃せない。明らかに身振り手振りがいつも以上に洗練されている。

おともナッツへのプレゼント。

ここまでピーナッツくんの多様な"帽子"をいくつか観ながらライブ構成をみてきた。

もう一つ触れなければならない"帽子"がある。

それはエンターテイナーとしてのピーナッツくんだ。

このライブはピーナッツくんからオトモナッツへの5年間越しのプレゼントのようにも感じるシーンが多数あった。
観客を巻き込むパフォーマンス
ライブ途中、ピーナッツくん(正確には一部チャンチョ)が観客にリクエストを飛ばすことが何度かあった。

そのオーダーは、ピーナッツくんがこれまで重ねてきたステージの場数が糧になっている証左だ。

先人たちのテクニックを貪欲に取り込んで自分のスタイルに昇華させている。

・「SuperChat」で爆発するチャット欄

・「zakkyobuilding」での「みんなしゃがんで! 3,2,1 Let's goでジャンプしよう!」

・「Walk Through the Stars」での「携帯のライトを照らして!」

やりとりのたびに、観客・場・ピーナッツくんが渾然一体となっていく。会場は、一人の恒星が放つ光を反射し返す。 zakkyobuildingを歌うチャンチョを憑依させたピーナッツくん。怪しい光をまとう。

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9件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6865)

masterpiece🌟

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:5929)

あの動きはデビルバット〝ハリケーン〟です

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:5718)

素晴らしい記事でした!ikuraさん、文才ありますね…!

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