連載 | #2 TVアニメ『アオアシ』キャストインタビュー

アニメ『アオアシ』声優 熊谷健太郎インタビュー サッカーへの情熱を注ぎ込んだ声で

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アニメ『アオアシ』声優 熊谷健太郎インタビュー サッカーへの情熱を注ぎ込んだ声で
アニメ『アオアシ』声優 熊谷健太郎インタビュー サッカーへの情熱を注ぎ込んだ声で

TVアニメ『アオアシ』で竹島龍一を演じる声優・熊谷健太郎さん

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TVアニメ『アオアシ』の放送が4月9日からスタート。毎週土曜日18時25分からNHK Eテレのほか、各種ストリーミングサイトでも配信中です。

原作は小学館『ビッグコミックスピリッツ』で2015年から連載中の小林有吾さんが描くサッカー漫画。最新27巻の発売時点では累計発行部数1100万部を突破。KAI-YOU.netでも「2021年ガチのオススメ漫画10選」に取り上げました。「熱く泥臭いドラマとロジカルなスタイリッシュさが同居する絶妙なバランス」を持ち、サッカーの知識が少なくとも楽しめる作品です。

『アオアシ』の舞台は、Jリーグを目指す高校生年代を育成する「ユース」チーム。愛媛から上京した主人公・青井葦人(あおい アシト)が入団したサッカークラブ「東京シティ・エスペリオンFC」のユースチームで幾度もの挫折を経験しながら、成長していく姿を描きます。

TVアニメ『アオアシ』キービジュアル

本作はアシトを取り巻くチームメイトにも、一癖を持つキャラクターが多く登場。仲間でありライバルでもある彼らは、アシトと時に衝突し、時に理解し合っていく関係だけに、演じる側にも主人公同様の熱量の高さが求められるといえるでしょう。

今回、KAI-YOU.netでは、そんなチームメイトの面々を演じる声優4名──加藤渉さん(朝利マーチス淳役)、榎木淳弥さん(本木遊馬役)、熊谷健太郎さん(竹島龍一役)、武内駿輔さん(阿久津渚役)──へインタビューを実施。記事最後にはサイン入り色紙のプレゼントキャンペーンもあります。 【画像】熊谷健太郎さん撮り下ろし写真 取材・文:長谷川賢人 写真:原哲也 編集:恩田雄多

目次

竹島龍一は「オン/オフの切り替えの早さが魅力」

熊谷健太郎さんが演じる竹島龍一:エスペリオンジュニアユースからの昇格組。超攻撃型サッカーのエスペリオンには珍しい、守備に特化したディフェンダー。グラウンドに彼女を連れてくるため、大友からは一方的に恨まれている。遊馬の親友。サッカーに対する考え方の違う冨樫とは黒田とともに確執を抱えている。

今回、インタビューに応じてくれたのは、竹島龍一役を演じる熊谷健太郎さん。

竹島は攻撃型の「東京シティ・エスペリオンFC」ユースチーム内にあって珍しい「守備に特化したディフェンダー」を務める人物。確かなプレーで結果を出す一方で、リーゼント調の赤髪に加え、練習グラウンドにも恋人を連れてくるような“軽さ”もあり、そのギャップも魅力の一つになっています。

演じる熊谷健太郎さんは、小学生から高校生まで9年間、サッカーを続けてきた経験者。しかも、竹島と同じくディフェンダーを担っていたそう。「サッカーを題材にした作品には、声優という仕事を夢見た頃から、いつか関わりたいと思っていました」と意気込みます。 ──熊谷さんが『アオアシ』で演じる竹島というキャラクターの第一印象を教えてください。

熊谷健太郎 なかなか外見からしてツッパってるといいますか(笑)。赤髪のリーゼントで、グラウンドに女の子を連れてくるようなところもある。でも、サッカーに対しては非常に真摯で、熱いものを持って、結果もしっかり出す。

彼なりの流儀やプレースタイルへの誇りがあり、それらを理知的に追及している印象も受けます。竹島の魅力は、そういうオン/オフの切り替えの早さにあると思いますし、僕としても尊敬できます。

サッカー選手としてもいいですよね。コーチング(試合中の味方への指示)する時にも熱さをぐわっと表に出す。それでいて、プレイヤーとしての冷静さも併せ持っていて。すごく好きなタイプのプレイヤーです。

彼自身としても、時間をかけながらではありますが、自分の弱さにもしっかり向き合えるところがあります。ポリシーを持った見た目、オン/オフの切り替え、プレースタイルと彼の信念……それらをひっくるめて、すごくかっこいい男だな、という印象です。 ──竹島役に決まったときの率直な感想を教えてください。

熊谷健太郎 竹島役でオーディションを受けさせていただいたのですが、オーディションで読むセリフの段階から、選考側はオン/オフを切り替えた姿をしっかり見たいのだろうと感じていました。

同じ人物という地続きではありながらも、グラウンドを離れた龍一と、サッカープレイヤーとしての龍一という、両面から来る魅力を表現しよう、と。

彼自身は他者をよく見ていて、的確なアドバイスをするなど、気遣いもできる男です。そういう「さりげなさ」を持っている普段の龍一の姿を、僕の中に明確に持ちました。それがあることで、プレーの激しさや内面の熱さといった部分がより際立つのではないか、と考えながらオーディションに臨みましたね。

──原作に描かれて見えている部分よりも、さらに「竹島龍一」という人物を掘り下げ、裏側にまで考えを巡らせていったのだと感じました。

熊谷健太郎 そうですね。竹島龍一には、身長や体重といったプロフィール、他のキャラクターから見た印象、あるいは「エスペリオンには珍しい守備重視のディフェンダーである」といった要素、対人関係の距離感がうまいというような……それら作中での客観的評価がありますよね。そこにプラスして、僕自身が思う「竹島龍一」という人物像もあります。 熊谷健太郎 その人物像は、見る人が変わればまた違ってくる。だからこそ、自分なりの龍一に対する印象や感想、人物像といったイメージを僕の中で膨らませておきたかったんです。

──その理由を具体的にうかがえますか?

熊谷健太郎 たとえば、これは『アオアシ』に限らずですが、あるキャラクターが「泣いて自分の失敗を謝る」といった世間一般としては格好の悪い姿が描かれたとする。でも、それをかっこいいと感じる人もいれば、美しさを覚える人もいるように、受け取り方は千差万別です。

それぞれで異なるからこそ、接する自分がキャラクターに対する確かなイメージを持つことで、セリフにも独自のメロディーが生まれてきます。今回は、そうして僕の中に居る竹島龍一という人物の声やしゃべり方、あるいは他の何かが、選考される方に引っかかって、お任せいただけることになったのだと思っています。

声優 熊谷健太郎のキャラへの向き合い方を変えた「壁」

──そういったキャラクターへの向き合い方をされるようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

熊谷健太郎 声優になって1年目や2年目は特にそうだったと思いますが、どこか固く考え過ぎて、凝り固まってしまったことがあったんです。キャラクターがしゃべるセリフではなく、「僕自身が言おうとしている演技」にこだわってしまう、というか。

音響監督さんからの指示にも全然対応できず、何十回もリテイクしたことがあって。その後に「もっと肩の力を抜いていいんだよ」と声をかけてもらったんです。だけど、「肩の力を抜くって、どうしたらいいんだ?」と(笑)。

それで僕なりに「肩の力を抜く」の言語化を試みたわけです。セリフも含めて他者との会話においては、相手の話しかけてくるトーンやテンション感で、こちらが返す言葉も変わってきますよね。だから、まずは相手からの言葉の受け皿となる「ゆとり」を先に設けておくことが、力を抜くということではないか。

そこから、キャラクターのバックボーンなり人物像なりを、言わば「土台」として自分の中に持ってみようと試みました。

──なるほど、その「土台」が、会話劇における「ゆとり」になるわけですね。

熊谷健太郎 土台があれば、驚かされて「びっくりした!」と発するセリフであっても、その場と人物に応じた「びっくりした」の言い方ができるのではないか、と考えたんです。

もちろん、この取り組み方が正解かどうかは、わかりません。1年後には芝居に対する自分のアプローチは変わっているのかもしれない。芝居は、数学のように明確化された正解があるわけでもなく、それゆえの難しさもあります。でも、難しいからこそ、楽しいんです。

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TVアニメ『アオアシ』キャストインタビュー

日本サッカー界とも多くのコラボレーションを続ける“いまもっともアツいサッカー漫画”『アオアシ』。 制作をProduction I.Gが担当するTVアニメは、2022年4月からNHK Eテレにて毎週土曜日午後6時25分〜放送中。 KAI-YOU.netでは、主人公・青井葦人(あおい アシト)のチームメイトの面々を演じる声優4名──加藤渉さん(朝利マーチス淳役)、榎木淳弥さん(本木遊馬役)、熊谷健太郎さん(竹島龍一役)、武内駿輔さん(阿久津渚役)──へインタビュー。

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