ダンスボーカルグループ・DA PUMPの新曲「U.S.A.」が話題を呼んでいる。
6月6日のリリース前から、CDジャケットやMVが「ダサかっこいい」と注目を集め、MVの再生回数は1000万回を超えた。DA PUMP / U.S.A.
シングルとしては前作から約3年半を経て発表された「U.S.A.」のヒット。2017年に20周年という節目を迎えたDA PUMP、そして「ダサかっこいいはかっこいいの塊」と語るISSAさんは、この空前の反響をどのように受け止めているのだろうか。
KAI-YOU.netではISSAさんにインタビューを敢行。「自身のルーツにもつながる」という「U.S.A.」に込められた想いを聞くとともに、グループとしての20年を振り返る。
取材・文:恩田雄多 写真:山下智也
ISSA 俺らとしては約3年半空けたつもりはないんですよ。楽曲の制作は続けてたんですけど、なかなかハマるものがなくて、それがたまたま3年半だったという。
そんなとき、急にうちのボス(事務所の社長)から「お前の声でこういう曲を聴いてみたい」って渡されたのが「U.S.A.」だったんです。 ISSA 最初はもう「マジか! いまこの曲か!?」って率直に思いましたよ(笑)。それでも真剣にデモを録ってみたら「やっぱりいいな」と。
──「マジか!?」という第一印象からはじまった楽曲制作ですが、いま「U.S.A.」をリリースする意義をどのように考えていたのでしょうか?
ISSA ユーロビート自体は1980年から90年代の流行ですが、同じ事務所の荻野目先輩(荻野目洋子さん)の「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」が2017年に大きな話題になったじゃないですか。パラパラもリバイバルなのか、改めて注目を集めていますよね。
俺らだったらリアルな世代のものを、現代風にアレンジしながらいまの若い人たちに提示できる。なおかつ、それがフレッシュな音楽として伝えられるのは面白いですよ。
──「いいねダンス」や「驚異のインベーダーフォーメーション」などのダンスは、現代的なアレンジの1つですか?
ISSA 現代的でありつつ当時へのリスペクトでもあります。
「U.S.A.」はメロディがすごくわかりやすくてキャッチー。だから、振り付けとしてもみんなが一瞬で覚えて、一緒に踊れるものにしたかったんです。 ISSA 「C'mon, baby アメリカ」と歌うサビにはアメリカ発祥のシュートダンス(「いいねダンス」)を入れてみたり、「驚異のインベーダーフォーメーション」は見ての通りM.C.ハマーさんの動きだったり。
なんだかんだ言って、振り付けは自分たちが楽しみつつ、遊びながらつくることが多いから、「それ面白そうじゃん」と思ったものをどんどん取り入れていった結果です。
DA PUMPの得意としている「真面目にふざける」部分が存分に発揮できたかなと思っています。
──実際、「U.S.A.」はCDジャケットにはじまり、MVで見せた振り付けや歌詞に至るまで「ダサかっこいい」と話題を呼んでいます。
ISSA ありがたいですね。「ダサかっこいい」って個人的には「かっこいいの塊」だと思っているんです。
DA PUMPだからこその評価という意味では、ほかには真似できないかっこよさじゃないですか。だから俺たちにとってはちょうどいい言葉なのかなって。
ISSA ハロプロのファンの人がそう言ってくれたり、実際にリリースイベントに来てくれたりして、これまで聴いたことがない人たちに聴いてもらえる、来てもらえるのは単純にうれしいですね。
ISSA 俺らのデビューが1997年、モーニング娘。が1998年で、ほとんど同じタイミングなんですよ。当時から楽曲も歌詞の内容もどこか面白くて、それを全力で真面目にパフォーマンスするっていうスタイルだったと思います。
20年近く経っても、どこか笑える要素がある曲を真剣に歌って真剣に踊る──それはいまも変わってない。
そういう意味では、時代が変わる中で常に本気のパフォーマンスを心がけてきた自分たちと通じる部分があるのかなって思ったりしますね。
──DA PUMPとして「真面目にふざける」というスタンスを意識したのはいつからですか?
ISSA もともと4人ではじまった頃から、曲も踊りも遊びながらつくっていったので、それが仕事になって、どんどん真剣に考えて、でも面白くもなって……という繰り返しでしたね。
やっぱり本人たちが過程も含めてパフォーマンスを楽しんでないと、見に来た人たちに伝わらないと思うので。 ──「U.S.A.」は歌詞にも面白さが感じられます。歌っているISSAさんはどう思っているのでしょうか?
ISSA 何度も聴いて歌っているうちにいい曲だな、深みのある曲だなって実感しています。
俺自身、もともと地元が沖縄で、フェンス1枚隔てた向こう側はアメリカだったんです。そういう状況だからこそ、小さい頃からアメリカの文化に憧れたり、真似したり…歌詞にもある通りまさに「憧れてたティーンネイジャー」なんですよ(笑)。
本当に、当時の俺が感じていたことを歌っている。自分のルーツにも通じる歌詞だと思います。
そういう自分の初期衝動を思い出させてくれる曲に、20年を経て出会うことができて、なおかつ新しい曲として発表できる。いいめぐりあいでしたね。
ISSA 高校くらいから一緒にやってきた当時は子ども同然の4人が、芸能界という社会に出ていろいろな人と出会って、揉まれたり磨かれたりして、だんだん自我が芽生えていく。
その中で、グループとは別にやりたいことが見つかるっていうのはいいことですよ。その人の人生だし、自分で自分の道を選ぶわけだから。
本人が思い立ったときに、話を聞くことはあっても、止めたりするっていうのは違うんじゃないかっていつも思うんですよね。むしろ「頑張ってこい」って言いたい。
──これまでの出来事も、それぞれ本人の選択として受け止めている?
ISSA そうですね。個人的には深く捉えてないというか、いまの7人体制としても10年経っているし、「落ち着かないグループだな」って思われたとしても、やることは変わらないので。 ISSA もちろん活動できなかった時間もありましたけど、そんなときもグループとして少しでも前進できている喜びを感じることが多かったんです。
ここまで歩んできた歴史が今回の「U.S.A.」に繋がっている。“いま”を生きているなって実感しています。
──たとえば活動場所(ステージ)という意味でも、20年間で変化があったと思います。戸惑いはありませんでしたか?
ISSA 正直、良くも悪くも、若い頃にいい経験をしすぎたかなとも思います。でも、戸惑うというよりも、それが自分を見つめ直すいい機会になったこともありました。
どんなかたちであれ自分にとって一度きりの人生なので、変に「あの頃はよかった」みたいに振り返ることはないですね。
そういう意味では、いまのように変幻自在に動けるほうがいいのかなって思うこともありますよ。
──オリジナルメンバーがISSAさん1人になったときも「DA PUMP」であり続けた理由を教えてください。
ISSA 当時は言ったこともあったんですよ。「これはもう形態が違うから、名前を変えたほうがいんじゃないか」って。
でも、うちのボスから「ISSAがいる限りはDA PUMPでいい」という話をされて、自分としても納得できたんですよね。 ISSA いまはいろいろな場所で「DA PUMPのISSAです」と言えることに誇りを感じています。
これまでにつくっていただいた素晴らしい楽曲もいっぱいあるので、そんな曲たちと一緒に、今後も名乗り続けていきたいですね。
──「U.S.A.」もDA PUMPとして変わらずあり続けたからこそ生まれたのかもしれません。グループにとって「U.S.A.」はどんな曲になると思いますか?
ISSA DA PUMPの曲はいろいろありますけど、ここまで見に来てくれる人と一緒に歌って踊れる曲って、あまりなかったんですよ。
これまでの曲だと「if…」とか、踊るという意味では「We can't stop the music」とか、そういう定番になるんだろうなって思いますね。
一番騒げて一体感を感じられる、今後外せない曲になっていきますよ。DA PUMP LIVE、生U.S.A.を披露! ハロヲタコールにISSA激怒!?
6月6日のリリース前から、CDジャケットやMVが「ダサかっこいい」と注目を集め、MVの再生回数は1000万回を超えた。
KAI-YOU.netではISSAさんにインタビューを敢行。「自身のルーツにもつながる」という「U.S.A.」に込められた想いを聞くとともに、グループとしての20年を振り返る。
取材・文:恩田雄多 写真:山下智也
「ダサかっこいい」は「かっこいいの塊」
──前作から約3年半という期間を経てリリースされた「U.S.A.」ですが、そもそもどのような経緯で生まれ、楽曲として決定したのでしょうか?ISSA 俺らとしては約3年半空けたつもりはないんですよ。楽曲の制作は続けてたんですけど、なかなかハマるものがなくて、それがたまたま3年半だったという。
そんなとき、急にうちのボス(事務所の社長)から「お前の声でこういう曲を聴いてみたい」って渡されたのが「U.S.A.」だったんです。 ISSA 最初はもう「マジか! いまこの曲か!?」って率直に思いましたよ(笑)。それでも真剣にデモを録ってみたら「やっぱりいいな」と。
──「マジか!?」という第一印象からはじまった楽曲制作ですが、いま「U.S.A.」をリリースする意義をどのように考えていたのでしょうか?
ISSA ユーロビート自体は1980年から90年代の流行ですが、同じ事務所の荻野目先輩(荻野目洋子さん)の「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」が2017年に大きな話題になったじゃないですか。パラパラもリバイバルなのか、改めて注目を集めていますよね。
俺らだったらリアルな世代のものを、現代風にアレンジしながらいまの若い人たちに提示できる。なおかつ、それがフレッシュな音楽として伝えられるのは面白いですよ。
──「いいねダンス」や「驚異のインベーダーフォーメーション」などのダンスは、現代的なアレンジの1つですか?
ISSA 現代的でありつつ当時へのリスペクトでもあります。
「U.S.A.」はメロディがすごくわかりやすくてキャッチー。だから、振り付けとしてもみんなが一瞬で覚えて、一緒に踊れるものにしたかったんです。 ISSA 「C'mon, baby アメリカ」と歌うサビにはアメリカ発祥のシュートダンス(「いいねダンス」)を入れてみたり、「驚異のインベーダーフォーメーション」は見ての通りM.C.ハマーさんの動きだったり。
なんだかんだ言って、振り付けは自分たちが楽しみつつ、遊びながらつくることが多いから、「それ面白そうじゃん」と思ったものをどんどん取り入れていった結果です。
DA PUMPの得意としている「真面目にふざける」部分が存分に発揮できたかなと思っています。
──実際、「U.S.A.」はCDジャケットにはじまり、MVで見せた振り付けや歌詞に至るまで「ダサかっこいい」と話題を呼んでいます。
ISSA ありがたいですね。「ダサかっこいい」って個人的には「かっこいいの塊」だと思っているんです。
DA PUMPだからこその評価という意味では、ほかには真似できないかっこよさじゃないですか。だから俺たちにとってはちょうどいい言葉なのかなって。
自分自身が「憧れてたティーンネイジャー」
──楽曲に対する反応の中には「モーニング娘。をはじめとするハロプロ(ハロー!プロジェクト)に通じる」「ハロヲタに見てほしい」といったコメントもありました。ISSA ハロプロのファンの人がそう言ってくれたり、実際にリリースイベントに来てくれたりして、これまで聴いたことがない人たちに聴いてもらえる、来てもらえるのは単純にうれしいですね。
──反応を受けて、改めてハロプロとの共通点を感じる点はありますか?寺田トンチキ曲に飢えてる全ハロヲタ見て
— 午前3時の初回生産限定盤SP🕒 (@3am_sp) 2018年5月16日
歌詞もMVも予想以上のトンチキ
「C'MON BABY アメリカ どっちかの夜は昼間」とかやばいww
出だしの文字やダンスで「ダサい」センサーが反応するハロヲタさん続出だ思う。
それでいて歌とダンスはしっかりしてる
DA PUMP / U.S.A. https://t.co/pEb9T19a3J
ISSA 俺らのデビューが1997年、モーニング娘。が1998年で、ほとんど同じタイミングなんですよ。当時から楽曲も歌詞の内容もどこか面白くて、それを全力で真面目にパフォーマンスするっていうスタイルだったと思います。
20年近く経っても、どこか笑える要素がある曲を真剣に歌って真剣に踊る──それはいまも変わってない。
そういう意味では、時代が変わる中で常に本気のパフォーマンスを心がけてきた自分たちと通じる部分があるのかなって思ったりしますね。
──DA PUMPとして「真面目にふざける」というスタンスを意識したのはいつからですか?
ISSA もともと4人ではじまった頃から、曲も踊りも遊びながらつくっていったので、それが仕事になって、どんどん真剣に考えて、でも面白くもなって……という繰り返しでしたね。
やっぱり本人たちが過程も含めてパフォーマンスを楽しんでないと、見に来た人たちに伝わらないと思うので。 ──「U.S.A.」は歌詞にも面白さが感じられます。歌っているISSAさんはどう思っているのでしょうか?
ISSA 何度も聴いて歌っているうちにいい曲だな、深みのある曲だなって実感しています。
俺自身、もともと地元が沖縄で、フェンス1枚隔てた向こう側はアメリカだったんです。そういう状況だからこそ、小さい頃からアメリカの文化に憧れたり、真似したり…歌詞にもある通りまさに「憧れてたティーンネイジャー」なんですよ(笑)。
本当に、当時の俺が感じていたことを歌っている。自分のルーツにも通じる歌詞だと思います。
そういう自分の初期衝動を思い出させてくれる曲に、20年を経て出会うことができて、なおかつ新しい曲として発表できる。いいめぐりあいでしたね。
「DA PUMPのISSAです」と言えることに感じる誇り
──2017年に20周年を迎えたDA PUMPは、メンバーの変動など動きの大きいグループでした。その変遷をどのように捉えているんでしょうか?ISSA 高校くらいから一緒にやってきた当時は子ども同然の4人が、芸能界という社会に出ていろいろな人と出会って、揉まれたり磨かれたりして、だんだん自我が芽生えていく。
その中で、グループとは別にやりたいことが見つかるっていうのはいいことですよ。その人の人生だし、自分で自分の道を選ぶわけだから。
本人が思い立ったときに、話を聞くことはあっても、止めたりするっていうのは違うんじゃないかっていつも思うんですよね。むしろ「頑張ってこい」って言いたい。
──これまでの出来事も、それぞれ本人の選択として受け止めている?
ISSA そうですね。個人的には深く捉えてないというか、いまの7人体制としても10年経っているし、「落ち着かないグループだな」って思われたとしても、やることは変わらないので。 ISSA もちろん活動できなかった時間もありましたけど、そんなときもグループとして少しでも前進できている喜びを感じることが多かったんです。
ここまで歩んできた歴史が今回の「U.S.A.」に繋がっている。“いま”を生きているなって実感しています。
──たとえば活動場所(ステージ)という意味でも、20年間で変化があったと思います。戸惑いはありませんでしたか?
ISSA 正直、良くも悪くも、若い頃にいい経験をしすぎたかなとも思います。でも、戸惑うというよりも、それが自分を見つめ直すいい機会になったこともありました。
どんなかたちであれ自分にとって一度きりの人生なので、変に「あの頃はよかった」みたいに振り返ることはないですね。
そういう意味では、いまのように変幻自在に動けるほうがいいのかなって思うこともありますよ。
──オリジナルメンバーがISSAさん1人になったときも「DA PUMP」であり続けた理由を教えてください。
ISSA 当時は言ったこともあったんですよ。「これはもう形態が違うから、名前を変えたほうがいんじゃないか」って。
でも、うちのボスから「ISSAがいる限りはDA PUMPでいい」という話をされて、自分としても納得できたんですよね。 ISSA いまはいろいろな場所で「DA PUMPのISSAです」と言えることに誇りを感じています。
これまでにつくっていただいた素晴らしい楽曲もいっぱいあるので、そんな曲たちと一緒に、今後も名乗り続けていきたいですね。
──「U.S.A.」もDA PUMPとして変わらずあり続けたからこそ生まれたのかもしれません。グループにとって「U.S.A.」はどんな曲になると思いますか?
ISSA DA PUMPの曲はいろいろありますけど、ここまで見に来てくれる人と一緒に歌って踊れる曲って、あまりなかったんですよ。
これまでの曲だと「if…」とか、踊るという意味では「We can't stop the music」とか、そういう定番になるんだろうなって思いますね。
一番騒げて一体感を感じられる、今後外せない曲になっていきますよ。
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1件のコメント
恩田雄多
「一番騒げて一体感を感じられる、今後外せない曲」(ISSAさん)が、20年を経て新たに生まれたという点は、DA PUMPがいまを生きている何よりの証拠なのだろうと思いました。
その曲がISSAさんのルーツに通じている、自身が「アメリカに憧れてたティーンネイジャーだった」と聞くと、ひたすらにハイテンションな「U.S.A.」の違った一面が見えた気がします。
個人的なことを言うと、DA PUMPがCMに出演していたシャープ製MDプレーヤーを使ったり、C.C.レモンを飲んでいた自分にって、感慨深さを感じるインタビューでした。