謎の覆面ユニット「青い果実」が『AOKAJI』でデビュー。METEOR、KYN、butajiの三人組ユニットだということが明らかになった。
それぞれの経歴と共にアルバムの魅力をレビューしたい。
「青い果実」が突如1月にアルバム『AOKAJI』を発表した。デビュー直後は謎の三人組という触れ込みだったが、その後メディアにも露出し、その全貌がやっと明らかになった。 蓋を開けてみればラッパーのMETEOR、KYN、そしてシンガーソングライターのbutajiの三人によるユニットだった。メンバーそれぞれの個性を活かしながらも絶妙なバランスで構成される本アルバム『AOKAJI』は、デビュー盤ながらも名作だ。
極上のシティポップ、でも根底にあるのは2人のラッパーが醸し出すHIPHOPであり、そしてbutajiのハイトーンボイスはネオソウルとして心に響く。 既に「mebius feat. ico!」のMVが発表されたが、こちらも中々の名曲だ。軽やかなディスコ調のビートの上にMETEORのラップやKYNの歌が乗る。
フックではゲストボーカルの女性シンガーico!の高い歌声が伸びやかに響く。サポート役を務めるbutajiのハーモニーも素晴らしい。思わず肩を揺らしたくなる軽快さでうっかり曲に合わせて手拍子してしまう。これぞまさしくシティポップ。
客演にあっこゴリラを迎えた「野性の証明」はG-CAPLICO a.k.a.高野政所制作のエッジが効いたトラックを起用。アップテンポなトラックで攻めまくる秘密結社MMRが楽しめる。 そんなMETEORだが、実は日本で一番ラッパーに愛されているラッパーだと言っても過言ではない。多くのラッパーがMETEORを慕っているのを筆者は見てきた。
とは言っても、居酒屋で泥酔している姿を見ているだけだが、ラッパーは皆口を揃えて言う。「METEORさんは凄い人です」と。METEORと何度か顔を合わせることがあっても何が凄いのかよくわからなかったが、ある日METEORに出会った時にこう言われた。「元気だったか、心配してたんだぞ」と。ああ、この人のこういうところが皆に愛されていのるのかと初めて実感した瞬間だった。人懐こく、物凄く面倒見がいい。
先日RHYMESTER宇多丸のラジオ番組「タマフル」に青い果実として出演した際も、なんとあのPUNPEEが出演して華を添えた。トークの中でもPUNPEEに「デビュー時からお世話になってます」と言われていた。そして宇多丸に「とにかくMETEORくんをフィーチャーした特集をしたいと色々と考えている」と言わせてしまうのがMETEORなのだ。
METEORはハイテンションなやり取りの中で不意に宇多丸に「青い果実に入ってください!」と爆弾発言もしてしまう。宇多丸にはさらりと流されたが、そういうめちゃくちゃなところも皆に愛される所以なのである。
事実、多くのラッパーからラブコールを受けており、NORIKIYOの「終わらない歌 (REMIX) 」のMVでは正義感の強いキャバクラ店員という役柄で主演を務めて話題になった。脇を固めるのは、同曲のプロデュースを務めたPUNPEEだ。ちなみに秘密結社MMRの丸省も出演しており、良い味を出している。
そんなMETEORを虜にしたbutajiの作風はフォーキーで、気持ちの良いハイトーンボイスが魅力だ。その歌声はどこか素朴で懐かしい気分にさせる。 これまでもMETEORとはセッションなどをしていたが、晴れてユニットを結成するとこのハイトーンボイスにシティポップ要素が融合されて、まるでMAXWELL(マックスウェル)のように見事なネオソウルと化した。
「mebius feat. ico!」では控えめのbutajiだが、アルバムに収録されている「無重力」「許され許し」「おやすみ」では大いにその魅力が堪能できる。
KYNがラッパーとしてMETEORの対を成しているのと同時に、歌も担当することにより、ユニット内でもbutajiのハイトーンボイスと良い対比になっている。特にMETEORが個性的なラップを繰り出しているのに対して、KYNのラップは地味ながらも安定感を持っており、ユニット内でもバランスを保つ重要な役割を果たしている。青い果実が乱入! 飲み歩き番組
「mebius feat. ico!」だけでなく、アルバムとしても『AOKAJI』のクオリティは高い。「ふらつこう」「健康ランド」「なつやすみ」は「mebius feat. ico!」と同じように楽しめるシティポップ。「ほんとそう」「THIS TOWN」はDOPEなラップソング。そして先述の通り、「無重力」「許され許し」「おやすみ」は心安らぐネオソウル。
のびのびと楽しそうにラップするMETEOR、スキルとおしゃれさが際立つKYN、心が洗われる歌声のbutaji。三人の個性が絶妙なバランスでそれぞれに活かされた素晴らしい作品だ。ぜひ三人が創り出す世界を堪能してもらいたい。
それぞれの経歴と共にアルバムの魅力をレビューしたい。
「青い果実」が突如1月にアルバム『AOKAJI』を発表した。デビュー直後は謎の三人組という触れ込みだったが、その後メディアにも露出し、その全貌がやっと明らかになった。 蓋を開けてみればラッパーのMETEOR、KYN、そしてシンガーソングライターのbutajiの三人によるユニットだった。メンバーそれぞれの個性を活かしながらも絶妙なバランスで構成される本アルバム『AOKAJI』は、デビュー盤ながらも名作だ。
極上のシティポップ、でも根底にあるのは2人のラッパーが醸し出すHIPHOPであり、そしてbutajiのハイトーンボイスはネオソウルとして心に響く。 既に「mebius feat. ico!」のMVが発表されたが、こちらも中々の名曲だ。軽やかなディスコ調のビートの上にMETEORのラップやKYNの歌が乗る。
フックではゲストボーカルの女性シンガーico!の高い歌声が伸びやかに響く。サポート役を務めるbutajiのハーモニーも素晴らしい。思わず肩を揺らしたくなる軽快さでうっかり曲に合わせて手拍子してしまう。これぞまさしくシティポップ。
誰からも愛されるMETEOR
かつてSMRYTRPSにも在籍し、ダースレーダー率いるDa.Me.Recordsからもアルバムを発表していたMETEOR。中でも「4800日後...」の評価は高いが、近年も丸省、DJ RINDと秘密結社MMRを結成し、「ロキソニン~アダムとイブ~」や「島国」などの名曲をリリース。客演にあっこゴリラを迎えた「野性の証明」はG-CAPLICO a.k.a.高野政所制作のエッジが効いたトラックを起用。アップテンポなトラックで攻めまくる秘密結社MMRが楽しめる。 そんなMETEORだが、実は日本で一番ラッパーに愛されているラッパーだと言っても過言ではない。多くのラッパーがMETEORを慕っているのを筆者は見てきた。
とは言っても、居酒屋で泥酔している姿を見ているだけだが、ラッパーは皆口を揃えて言う。「METEORさんは凄い人です」と。METEORと何度か顔を合わせることがあっても何が凄いのかよくわからなかったが、ある日METEORに出会った時にこう言われた。「元気だったか、心配してたんだぞ」と。ああ、この人のこういうところが皆に愛されていのるのかと初めて実感した瞬間だった。人懐こく、物凄く面倒見がいい。
先日RHYMESTER宇多丸のラジオ番組「タマフル」に青い果実として出演した際も、なんとあのPUNPEEが出演して華を添えた。トークの中でもPUNPEEに「デビュー時からお世話になってます」と言われていた。そして宇多丸に「とにかくMETEORくんをフィーチャーした特集をしたいと色々と考えている」と言わせてしまうのがMETEORなのだ。
METEORはハイテンションなやり取りの中で不意に宇多丸に「青い果実に入ってください!」と爆弾発言もしてしまう。宇多丸にはさらりと流されたが、そういうめちゃくちゃなところも皆に愛される所以なのである。
事実、多くのラッパーからラブコールを受けており、NORIKIYOの「終わらない歌 (REMIX) 」のMVでは正義感の強いキャバクラ店員という役柄で主演を務めて話題になった。脇を固めるのは、同曲のプロデュースを務めたPUNPEEだ。ちなみに秘密結社MMRの丸省も出演しており、良い味を出している。
スモーキーなハイトーンボイスが魅力のbutaji
そんな誰からも愛されるMETEORの寵愛を受けていたのがbutajiだった。以前からMETEORから「butajiは本当に良い」と度々聞かされることがあった。事実、METEORはbutajiの才能に惚れ込み、イベントブッキングやライブ配信などでサポートをしていた。そんなMETEORを虜にしたbutajiの作風はフォーキーで、気持ちの良いハイトーンボイスが魅力だ。その歌声はどこか素朴で懐かしい気分にさせる。 これまでもMETEORとはセッションなどをしていたが、晴れてユニットを結成するとこのハイトーンボイスにシティポップ要素が融合されて、まるでMAXWELL(マックスウェル)のように見事なネオソウルと化した。
「mebius feat. ico!」では控えめのbutajiだが、アルバムに収録されている「無重力」「許され許し」「おやすみ」では大いにその魅力が堪能できる。
ユニットの中でも潤滑油として重要な役割を果たすKYN
一方、KYNもMETEORに負けないくらい立派なキャリアを持つ。NORIKYOがリーダーとなって結成したSD JUNKSTAにてラッパー兼トラックメーカーとして活躍したほか、KOYANMUSIC名義などでのソロプロジェクトも評価が高い。 トラックメイクはもちろんのこと、ラップ、そして歌すらも自由自在にこなす実力の持ち主。青い果実の洗練された音源のセンスはKYNの加入によって底上げされていると言っても過言ではないだろう。KYNがラッパーとしてMETEORの対を成しているのと同時に、歌も担当することにより、ユニット内でもbutajiのハイトーンボイスと良い対比になっている。特にMETEORが個性的なラップを繰り出しているのに対して、KYNのラップは地味ながらも安定感を持っており、ユニット内でもバランスを保つ重要な役割を果たしている。
のびのびと楽しそうにラップするMETEOR、スキルとおしゃれさが際立つKYN、心が洗われる歌声のbutaji。三人の個性が絶妙なバランスでそれぞれに活かされた素晴らしい作品だ。ぜひ三人が創り出す世界を堪能してもらいたい。
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鼎
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